【感想・ネタバレ】熊の場所のレビュー

あらすじ

猫殺しの少年「まー君」と僕はいかにして特別な友情を築いたのか(『熊の場所』)。おんぼろチャリで駅周辺を徘徊(はいかい)する性格破綻(はたん)者はゴッサムシティのヒーローとは程遠かった(『バット男』)。ナイスバディの苦学生であるわたしが恋人哲也のためにやったこと(『ピコーン!』)。舞城パワー炸裂の超高純度短編小説集! (講談社文庫)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

久々の舞城。
エキセントリックでサイコ、それでいて最高な青春小説としての爽やかさを持っているのが舞城作品だと思います!
まー君との奇妙な関係とか、フェラチオのチョコちゃんとか、共感は全然出来ないくせに、なんだか胸が熱くなる。この読み味が堪らない。
相変わらず、句読点ガン無視の文章とか、クスッと笑える語彙やツッコミとか、舞城独自の文体は癖になるなぁ。マックをむしょーに食べたくなる感覚と似てる。読む麻薬。

・不安をすぐに取り去らなければという信念は非常に分かる
・猫のお化けとか、解かせる気のない見立てとか、普通反則なんだけど、舞城なら許せる。てかカモンという感じ
・バット男のNTR要素きつかった。「割りを食いたくない」「犠牲になりたくない」「バット男になりたくない」というのは本当に共感できて、さらにきつかった。軽くトラウマだけど、それだけ力のある作品
・西暁の方言(福井弁?)好き

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2021年03月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

(表題作について)
 小学生の「まーくん」が猫のしっぽを千切って鞄に入れているという開幕早々戦慄の走る話だが、読んでいくと「まーくん」が普通に笑うどこにでもいる小学生という事実に行き着く。気味悪がっていた主人公は、一緒に遊ぶようになり、理由はどうあれ彼を庇うまでになる。子ども時代の楽しい生活は虫を潰しても何も感じないような残酷さをはらんでいる。その意味で、主人公はあくまで普通の小学生なのだろうし、まーくんも異常と呼ぶほどのものではない。虫を潰さず猫を潰していただけだろう。
 もちろん、大人になってもそれでは異常な奴として扱われるのは仕方ない。子どもというのは、互いに少しずつ異常なものを持っており、友人間でそれを見つつ見せつつ、嫌悪感を抱いたり惹かれたりしながら、それこそ熊の場所に向かうように、自分をつくり上げていくものなのかなぁと感じた。

(バット男)
 主人公は、一組の男女である大賀と梶原が織りなす破滅的な共依存的恋愛関係を観察する傍観者。一応相談に乗ったりしているが、やっぱり傍観者的。・・・いや、それより余程たちの悪い存在かも知れない。
 大賀と梶原みたいな破滅的な関係なりキャラクタは、小説として読んでいると非常に面白い。自分は歩まなかった人生であり(←これはどの小説にも言えることだが)、そうならなくてよかったという安心感と、デンジャラスな人生を歩んでいることへの憧憬が同時に降り注ぐ。太宰治の『人間失格』とか、西村賢太の私小説作品群とか。
 主人公も、そんな気分を味わっていたのではないだろうか(p.150「あっち側の自分」とか)。ただ、主人公にとっての二人は、私にとっての小説でなく、リアルな友人である。にも拘らず、それに『人間失格』を求めたらどうなるか。二人への助言を通じて、人生を操れる立場にいたらどうか。破滅的な愛なり依存の物語を、他人を使って味わってはいないか?梶原の浮気について大賀に伝えなかったのは、そうした隠れた意図に基づいた行動ではなかったか?
 変な読み方かも知れないが、これは自分自身思い当たる節があったからだ。助言という道具を使って自分では到底選ばないような選択肢を相手に強いて、相手の苦悶する表情を小説を読むように楽しんだ経験があるからだ。
 ただし、他人事だからこそ、踏み出しにくいけど良い選択肢を推せるというメリットもあるといえばある。その危険な選択肢をそろそろ自分に課す時が来ているのかなと、この短編を読んで感じてしまった。単なる破滅への憧憬なのかもしれない。

(ピコーン!)
 昨今ワイドショーを賑わす愉快犯というか理不尽な暴力や殺人。「誰でもよかった」「人を殺してみたかった」などなど。分からないものは怖いものだが、主人公「チョコ」はそれをブルドーザーの如く押しのけていく。恐怖はあり感傷もあるが絶望は無く、生命力をエネルギーにしてゴリゴリと進んでいく。一般的な小説と比べて明らかにノリがおかしいのだが、描かれていることは至極真っ当だし、さわやかですらある。

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2016年08月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

舞城さんの作品は話一つ一つに明確なコンセプトがあると感じた。

ピコーン!
が一番すき。
舞城さんのぶっ飛んでていろんな意味でキレてるオンナノコがどうしようもなく好きで、どうしようもなく憧れてしまう。

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2013年02月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

熊の場所は小学生のドキドキ感と恐怖感がよいね。
バット男は後味わるい。
ピコーンは快活で、最後のオチもすきだ。悲しいのにチョコのおかげで、なぜか清々しい。フェラチオは男子が好きなのだね。

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2012年02月21日

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