あらすじ
自衛隊最高幹部が振り返る、大東亜戦争のターニングポイント最新の知見から見た大東亜戦争とはどうだったのか。
ベストセラー『参謀の教科書』(双葉社)を著書に持つ、伊藤元海将。潜水艦艦長にして米国防衛駐在官、情報官(インテリジェンス)も勤め上げた、海将だから読み解ける視点。
『作戦術思考』『心を道具化する技術』(ともに小社刊)を著書に持つ、小川元陸将。2016年熊本地震の災害派遣を指揮。レンジャー教官。装備部長、西部方面総監。米軍歩兵学校、指揮幕僚大学留学経験もある陸将だから気づくポイント。
司会進行は、防衛研究家として名高い桜林美佐!
本書は歴史書というだけではなく、リーダー論、フォロワーシップなど、現代にも通じる組織論などに言及した新しい試みの書籍です。日本にとってあの大戦を考える一つの視点になれば幸いです。
定説とほとんど違う!?
■海軍善玉論の大嘘、むしろ被害者は陸軍
■真珠湾はそもそもメインの戦いではなかった
■ミッドウェー作戦は空母殲滅作戦ではなかった
■山本五十六の無理解、南雲の善戦
■インパール作戦の牟田口愚将説という責任のがれ
■米軍は太平洋において、帝国陸海軍が強すぎて手がだせなかった
■忘れられそうな世界最大の海戦レイテ
■懸命に住民を守ろうした沖縄戦の側面
第0章 敗北ではなかった!? ノモンハン事件再考
第1章 真珠湾攻撃から学ぶべき本当の教訓
第2章 「陸」から読み解くミッドウェー海戦
第3章 令和から読み解くガダルカナル
第4章 なぜインパール作戦は「史上最悪の作戦」になったのか
第5章 世界最大の海戦・レイテ沖海戦とは何だったのか?
第6章 帝国陸海軍から見た知られざる沖縄戦
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Posted by ブクログ
大東亜戦争を元自衛隊幹部の方々が振り返れば・・・という、つまり軍事のプロの視点で描かれている。
前段で述べられている通り、これは「正解」ではないということである。歴史問題であるから視点によって変わるから当然でしょうね。反省すべき点は現代に活かしてほしい、というメッセージが含まれていると思います。
所々、現代の政治や企業組織運営論にも述べられていました。また、対話書き起こし形式の書籍でしたこともあり、割と軽く読み進めることができました。
自分自身、大東亜戦争について誤解していたと思われる部分もあり(何が正解なのか、ではありますが)、読み終えて意識をアップデートしたような気分です。
Posted by ブクログ
戦争を“歴史の出来事”としてではなく、“人の営み”として見つめ直す。
本書にはそんな静かなまなざしがある。
本書は、陸上自衛隊と海上自衛隊の元幹部が、
昭和の大戦――すなわち大東亜戦争を、
それぞれの立場から冷静に振り返りながら、
なぜ日本は敗れたのか、そして何を学ぶべきだったのかを探る一冊だ。
著者たちは、単に戦略や兵器の話をしているわけではない。
現場の兵士たちが、どんな状況で、どんな思いで戦っていたのか。
補給の尽きた戦地で、命令と現実の狭間に立たされた人々の苦悩。
その“声にならない声”を拾い上げようとしている。
読んでいると、戦史の裏に生きた「人間の気配」が立ちのぼってくる。
生きて帰ることを許されなかった兵士。
部下を守れなかった指揮官。
家族に何も言えぬまま、遠く南方の島で散っていった若者たち。
彼らの姿を思うとき、歴史は数字や地図ではなく、ひとつの“祈り”として胸に迫る。
著者たちは、それを感傷ではなく、理性で語る。
「彼らの犠牲をどう次代に生かすか」
それがこの本の核にある問いだ。
過去を美化することも、ただ批判することもない。
その中間にある「考える姿勢」こそが、
クリティカルシンキング――つまり“批判的に考える力”なのだと思う。
歴史を学ぶとは、戦った人々の痛みを受け止めることでもある。
その痛みの上に、今の平和が成り立っている。
そう感じさせてくれた一冊だった。