あらすじ
妻に苛められることで愛を確認するヒモも同然の婿養子。何を言われても耐えられたが、どうしても許すことの出来ない一言を妻は口にしてしまう。愛は憎悪に変わり、男は自分の「ある能力」を駆使した殺人計画を練る。だが、事態はまったく予期せぬ展開を見せる――。『七回死んだ男』『人格転移の殺人』と並ぶ、西澤ミステリの傑作が新装版になって登場!(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
メカニズムもへったくれもないトンデモ設定を大前提に、条件の中でいかに論理的な謎解きを展開するか、というのが、この方の作品の見どころですね。しかし、今作はご都合主義やこじつけが論理を上回っているような印象を受けて残念。そして登場人物たちの心情や、そこから生まれる行動が、いまいち腑に落ちない……。
瞬間移動のために「アルコール摂取が必要」「着ている衣服が脱げる」「移動先にある何かが対価として移動されてくる」といった条件が、謎解きの要所要所で生きてくるのはさすがですが、しかしここでもトリック成立のためにあとからこじつけたような設定もあって、う~ん……という感じ。
そしてラスト、話の収拾をどうつけるかを、あんな形で丸投げして終わらないでいただきたい。いや本当に。