あらすじ
20代の頃の恋愛、作家デビュー、そして母との別れ……。川端康成の『掌の小説』に触発された著者が「ささやくように」書きつづった、美しく、ちいさな24の物語。私小説のような味わいを持つ掌篇のストーリーと切れを楽しみながら、人気作家の素顔を垣間見ることができる、あなたのための特別な1冊。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
再読。石田衣良さんは好んで読んでいるのですが、手元に置いているのはこの1冊だけ。「書棚と旅する男」にほれ込んで、いつでも好きな時に読めるように購入しました。連作短編集やスピンオフ短編集ではなく、貫くテーマもなく、多様性に満ちた完璧な、お手本のような短編集。必ず好きな一編が見つかるでしょう。おすすめです。
Posted by ブクログ
短編集です。
実はこの作者さんは、テレビ番組に出てるのをみることの方が多くて、作品をそんなに読んだことないんですが、この短編集は好き。素直にそう思える作品でした。
「小説」は「小説」なんですけど、作者さんの実体験を下にしたものであるとか、どちらかというと「私小説」に近い形。
作者さんの人柄が滲み出してくるような小説でした。
おまけに、一つ一つの小説の前に、作者さんが何を思ってその小説を書いたのか、解説がついている。
普段、後書き等で作者さんの想いを見ることが多いのですが、多くの小説は、作者さんが小説を書き終わってから随分経ってから書かれていることが多いようで、皆さん「あとがき」を苦手としている人が多いような気がするんですよね。おまけに、時間が経っているので、何を思って作者さんがこの小説を書いたのか、とかいうそういうフレッシュさは失われていて、それはそれで楽しいんですが、この短編集の解説は、その小説の短編を書き始める前か、書き終わった直後に書かれているように感じられるもので、その作者さんの言葉まで含めて一つの作品なんだなあ……という感じ。
かきむしられるような切なさも、ミステリーにつきものな、ハラハラドキドキ感もないですが、ほっと一息つきたくなるような、肩の力を抜きたくなるような時に読むのにはオススメの小説です。