あらすじ
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大日本新聞初のMBA取得者として鳴り物入社した麻倉智子。だが、社内政治の 道具として異動させられた社会部では、学歴とプライドと靴のヒールは高くても 記者としての能力は低いとダメ記者扱い。焦りと苛々が募っていた矢先、独居老人の医療問題を追うなかで、取材対象の老人が次々に死亡する。社内の権力争いの波にもまれつつも、記者としての意識に目覚めた智子は事件を 追い始めるが……。老人医療現場の悲しい現実に若手女性記者が立ち向かう、ドラマ化もされたミステリー!
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Posted by ブクログ
前々から、医療をネタにした小説を発表されている、仙川さんの著作。
最近徐々に広がり始めたのか、先日ドラマ化もされていました。
私は『チーム・バチスタの栄光』の海堂さんと同じ時期にて、
そちらとはまた違った面白さで、読み続けています。
主人公は、MBA取得者ということで鳴り物入りで入社した、麻倉智子、
なんですが、アラサーの今となってもイマイチ目が出ず、飼い殺し?状態。
その理由は、頭でっかちすぎること、、現場を見ないこと、
小手先の実感のない理論を振りかざしていること、etc、、イタタ。
そんな彼女が、老人医療現場の現実を向き合う事で、
一人の“記者”として成長していく物語、でしょうか。
最近流行りの女性のお仕事物語として読んでも、面白い。
また、仙川さんご自身が、医学部を卒業→新聞社とのキャリアで、
実体験からくる?リアリティを感じられたりも。
老人医療や老老介護、終末医療などについては、
今年に入ってからアンテナが伸びている身としては、
そちらの視点で読んでも、非常に興味深く読めました。
人はいくつになっても成長できるし、
いくつであっても成長の無い人は、、(略
ん、“現場”を知らない理論は説得力がなく、
“理論”の無い現場にも解決力がない、なんて感じた一冊です。
Posted by ブクログ
全く前知識無く、裏表紙のあらすじすら読まずに手に取った本作。タイトル名と表紙の印象から、介護を題材にした人間ドラマと勘違いして読んでいたので、中盤以降の急展開に仰天(そもそもミステリと思ってなかったので…)してしまいました。
その急展開ぶりと、タイミングを同じくして“覚醒”する主人公の目覚ましい変化はとても魅力的で、久々に没頭しながら本を読んでいました。
内容が内容だけに、読後はちょっと考えさせられますね。犯人の言い分はもっともらしく聞こえますが、結局自分勝手な想像で助けたつもりになってるだけじゃん?と思っちゃいました。
自分の思想・主張のために、要介護者たちを利用してただけだと思ったので、犯人には強い憤りを感じます。最後はドヤ顔で告白なんかするから、なおさらイラッと…
作者は元新聞社勤務とのことで、主人公達の仕事描写は自分が想像する新聞屋のそれそのものでした。そんな仕事描写の“らしさ”と想定外の仰天展開に、最近読んだ本の中では久々に楽しませてもらったような気がします。ドラマ化されるとのことで、そちらも観てみたいところ。
Posted by ブクログ
ハルキ文庫用の書き下ろしだ。
他の作品と比べると謎解き度が今一だが、やはり面白かった。
病気の老人の介護の問題を取り上げている。
自宅での介護には、お金の問題、家族の負担があり、
先行き短い老人は、治療を止めるべきか論まで踏み込んでいる。
テーマ自体はありがちだが、この作品で新聞社の様子を知ることができ、サラリーマンの有り様についても考えさせられた。出世か、やりたいことをポリシーをもって進めるべきか?
Posted by ブクログ
仙川さんは以前何冊か読んだけど、いつも読み終わった後に爽快感や充足感のようなものを感じられる。
今回は前半主人公に感情移入できなかったけど、本人が変わっていき周りも影響され結果的にはハッピーエンディングで安心した。
美しい部分だけではなく、事実をしっかり書いたうえで納得感のある話だった。
Posted by ブクログ
どんな職業でも、本人の気づきがあれば必ず成長すると実感させられる内容。
成長のない社会人は「気づかない」?
我が次男の仕事に対する姿勢を比較対象しながら、身を細めるようにして読み終えた。。。
人は仕事を通じて変わることができると、次男に知ってほしい。仕事ってそういうものやと。
何のために、この仕事をしているのか、なぜこの仕事を選んだのか。
流れで、何となく、たいして考えてない…そんな答えが速攻返ってきそうな気もするけれど…
Posted by ブクログ
これもドラマ化される(NHK BS)ので読んでみた。最初はちょっと読むのがイヤになったが、それが狙いだったんだね。見事に填められました。
最後はもうひとつすっきりしない感じだが、結構面白かった。
桐谷美玲に加藤虎ノ介か。桐谷美玲は確かにイメージある。ただ、原作よりドラマはかなり若くしてるので、その辺りをうまく処理できてるかな?
Posted by ブクログ
仙川環さんは好きな作家のひとり。今回の主人公は、今まで読んだタイプとは違い、初めのころはあまり好きになれない感じがしたが、ラストには成長も感じられ、良かった。5年後とかさらに成長した続編があってもいいと少しだけ思います。
Posted by ブクログ
MBAを持つ女性記者が、慣れない社会部で介護問題を通じて成長していくストーリー。
老人介護を取材していくうちに、同じ往診医師が担当する患者が次々と心不全で亡くなっていく。その背景には以外な事実が隠されていた。
昨今の介護問題を、執筆するに細かく取材したのか、あるいは作者がもともと主人公と同じ医療・介護問題を扱う記者であったからなのか、記者の描写は良く描写できていたと思う。
しかし、もう少し人間の最後となる「終の棲家」の意味を掘り下げて欲しかった感じはする。
Posted by ブクログ
芥川賞作品の「終の住処」と間違ってσ^_^;、手にとったが、新聞社の話だったのでリアリティがあり、面白かった。プライドの高い勘違い女性記者が泥臭い世界に足を踏み入れ、成長する物語。社内の権力争い、ジレンマも、あるあると共感するところも。主人公が最後まで魅力的に映らなかったのは何でだろう。武闘派のデスク、同僚記者の方が好き。
Posted by ブクログ
構成★★★ 良くも悪くも王道で、先が読める展開。語り手が定まらないで視点がころころ変わるのは感情移入を妨げる。主人公の魅力も最後までわからなかった。
文章★★ 作者が元記者のせいか、硬さが残る。状況を説明するのには長けてるけど、情緒は感じられない。詩的な比喩も上滑りでピントがずれた印象。
題材★★★★ フィクションだということを忘れるくらい、リアリティがあった。新聞社の描写や記者のジレンマとの絡め方もよかった。
そして読み終わるまで、これが芥川賞受賞作だと思ってた。同題別作品なのね。
Posted by ブクログ
新聞社の人たちが、老人医療の実情についていろいろ調べたり、出世するためにいろいろ考えたり、悪い人を見つけるためにいろいろお仕事をしたりするお話。
最初はMBA取得者で社内では評価されていないお嬢さんの奮闘記かと思ったけど、実際は違いました。
実力があって頑張っているのに報われないお嬢さんを最初はかわいそうと思ってたけど、あとから実情がわかって、誰の視点でストーリーを見るかで全然違うんだな~と思ったのが、この本を読んだ一番の収穫かな。
話の運びや言葉の雰囲気は好きなんだけど、なんだか内容が物足りなかった1冊でした。