あらすじ
「進化は再現不可能な一度限りの現象なのか? それとも同じような環境条件では同じような適応が繰り返し発生するのか?」進化のあり方をめぐって、進化生物学者の間で20世紀から大論争を繰り広げられてきた命題をめぐるサイエンスミステリー。圧倒的なまでの筆力で進化生物学の醍醐味を伝える。『歌うカタツムリ』(第71回毎日出版文化賞)『ダーウィンの呪い』(2024年新書大賞10位)で注目される進化学者による書き下ろし最新作です。
第一章 生命史の動画
太陽系外惑星に人類はいるか/ワンダフル・ライフ/自然の実験と調律者
第二章 旅のはじまり
赤い海岸/悪夢のような世界/偶然の連鎖/とっておきの研究/子供に見える大人/進化古生物学と形の科学/美しい研究計画/白い砂丘
第三章 自然の実験
コンコルド効果/過去へ/失われた世界/隠れた多様性/表と裏
第四章 シュタインハイムの奇跡
師には見えぬ世界/化石で描いた初めての系統樹/消えた先住者/外を見て内を知る/進化ではない変化とDNA配列が変化しない進化
第五章 進化の速度と様式
新人類/古生物学の革命/ぺダンティックな仮説/適応の景色/大巧は拙なるが若し
第六章 湖底の財宝
我とともに来たり、我とともに滅ぶべし/誰もやってないから/湖で起きる種分化/魔法形質/異型精子/進化の規則
第七章 生命の樹を探す魔法
真犯人は誰だ/手段は目的になりうる/ディスプレイの向こう側/小は大を兼ねるか
第八章 ホビットと巨人 206
巨大化の謎/学園に潜む巨大生物/島嶼の規則/庭の探検/醜い者たちの神/巨鳥モア/古生代の覇者/トンボのサイズ理論/ユニークで一般的
第九章 妖精と怪物
キウイの卵/スパンドレル/制約と進化可能性/恐竜の親指/白い妖精/森の怪物/ウスリーの森
第十章 火山島
カミと進化/ジェネラリストとスペシャリスト/伝説の島/霧の中/天界の森
第十一章 緑のドラゴン
鉄人とマイマイ/魔の島/新世界での進化/殻のトレードオフ
第十二章 貝と魔物
孤独な存在/未来の創始者/受け継がれた遺産/魔物の進化/調律者の正体
第十三章 未来への旅
引き継いでいくもの/進化ふたたび/緑の未来
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
面白かったです。有名な進化学者のグールドの断続平衡説の理解と反論の歴史がもう1つのテーマ。ドーキンスと異なり、今ひとつ分からないグールドの理解が進みました。
でも小笠原行きたいです!
Posted by ブクログ
進化は似たような条件下では同じような大進化をするか、グールドは初期のころはそれに賛成だったのを転換したが、実際はどうなのか?
著者の専門であるカタツムリはグールドも実際には好んで観察していたものだが、グールドはほとんど言及していない。小笠原での観察譚も交えて、大進化の蓋然性を語る。
Posted by ブクログ
進化とは探っても探ってもその本質に辿り着けないいわば迷宮。的を射たタイトルだ。
本書では進化をコントロールしているものを「調律者」と呼んでいるが、その「調律者」を追う生物学者の軌跡。
進化という真に不思議な世界を体感することがてきた。どうして生物は進化するのか?何の変哲もない身の回りの片隅にも、気が付かないほどゆっくりとした進化が進んでいるのだろうか?
Posted by ブクログ
普通の進化ものと思いきや、概ねマイマイ、つまりカタツムリの話。全ての進化をカタツムリに託して話を進める、カタツムリ愛に満ちた読み物。
カタツムリに全く興味はないが、それなりに面白く読ませる。