あらすじ
「線状降水帯」はなぜできる? 台風はどこまで大きくなる? 空にある世界最大の川とは? 日本書紀から古代日本の台風被害を予想し、歌川広重の版画から雨粒の形に思いを馳せ、台風の謎を解明するためジェット機で突入する気鋭の気象学者が見れば、世界はこんなに美しい。明日から空を見る目が変わる気象エッセイ。
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Posted by ブクログ
地球をりんごの大きさに例えると、地球の大気はりんごの皮くらいの薄さしかありません。そして、この薄い大気の層で、雲ができ雨が降り様々な気象現象が起き
ているのです。
天気予報は身近な存在ですが、気象学といわれると何だか難しい学問のように感じてしまいます。台風はどこまで大きくなる?線状降水帯はなぜできる?本書は、天気や気象にまつわる「からくり」をわかりやすく解説した気象エッセイです。天気や気象に隠された驚くような深い真理や、地球大気で繰り広げられる美しい世界に触れることができる1冊です。
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「激甚気象はなぜ起こる」で、気象研究の最前線の面白さを知り、坪木先生のこの新しい本を買いました。「天気のからくり」には、図表がありません。文章だけで気象の面白さに読者を振り向かせようというチャレンジかも知れないと感じました。
ところどころで驚きに出会う、いい本でした。
Posted by ブクログ
天気はあまりにも日常的なものであるが、この本は天気のメカニズムについて興味深いエピソードを教えてくれる。
地球大気は極めて薄い膜で、そのなかで夥しい数の生命が繁殖し、風が吹き水蒸気が流れ、雲ができ、見上げるほど高い積乱雲が立ち、激しい豪雨が発生する。偏西風が蛇行し、低気圧が雨を降らせ、台風が大嵐をもたらす。
自分たちは何と薄い(狭い)世界に生きているんだ!
この薄い膜の中で起こる様々な不思議な現象を見事な文章で綴る。
「空に浮かぶCD」という章、縦と横の長さ(距離)から、台風はCDのような薄い円盤に例える。へー、そうなんだ。面白い例えだな。(詳しくは本書で)
「世界最大の川は空にある」という章、大気の河は大きなもので幅が500㎞以上、長さが数千kmに達するものがあるそうだ。(詳しくは本書で)
最近よく見る言葉、「日本海寒帯気団収束帯」、JPCZと表記される北陸地方で大雪を降らせる帯状雲。いつも同じような場所に発生するようだが、この原因が、朝鮮半島の付け根付近にある白頭山という標高2744mを主峰とする山岳。知らなかった。
そもそも大気は薄い膜なので、高い山があればそれなりに気象に影響を与えることは理解できる。
いずれにしても、へーそうなんだと思えるエッセイが多く、とても勉強になった。
最後の方、夢を語る。
誰しも夢を語ることはできるが、研究者には夢について特権があるといえるかもしれない。多くの研究者は夢を実現することなく、その生涯を終える。しかし、それを挫折とよばず、それでもよかった思えるのが研究者。それは、後世の人が実現してくれると信じているから。
なんとも心に響く言葉だ。
Posted by ブクログ
台風、線状降水帯、猛暑など気候も災害として無視できない存在となっている時代で私たちの見上げる空で何が起こっているのか、そのからくりを知りたいと思い購入…というのはここに書くための建前で個人的な理由で購入。笑
気象に関する知識は高校で言えば地学の分野。大の苦手だったせいで前半の章は割と専門的に(個人的には)感じ挿絵とかあればいいのなーと思いながら読みました。笑
ただ、1項目は4ページで収まるので挫折することなく、分からないことは調べながら読みました。(そうすればすぐ理解できました、というか4ページだと説明が少なすぎるくらい)
後半の章は著者の主観的な経験や考えが多くなるので面白く読むことができました。
日本人は自然に敏感な人種であり、それを表した源氏物語とか万葉集などの言葉を引用しているところなど素敵な文章がたくさんありました。
この本を購入するということは多少なりとも気象に関する知識や興味があると思うので前半部分も私のように感じることはないと思います。