【感想・ネタバレ】死刑について私たちが知っておくべきことのレビュー

あらすじ

死刑制度に「なんとなく」で賛成または反対していませんか。冤罪があれば取り返しのつかない「究極の刑罰」にもかかわらずその実態は知られておらず、十分な議論もなされていない。日本の死刑制度とその運用にはどのような問題があるのか、維持するのならどうあるべきか、考えるための材料を示す。 【目次】第1章 死刑はどのように運用されている?/第2章 刑事政策の暗黒時代とその後/第3章 被害者を支援するとはどういうことか/第4章 死刑存置派と死刑廃止派の水掛け論/第5章 日本の市民は本当に死刑を望んでいるのか/第6章 「死刑は残虐な刑罰か」の過去・現在・未来/第7章 アメリカが死刑を維持するためにとった7つの観点/第8章 死刑存廃論のミニマリズム

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Posted by ブクログ

死刑について書かれたこの本を読んでいるとき、癒されている自分がいた。知らなかったことを、ひとつひとつ知っていくごとに「あ、今知れてよかった」がある。そして、1人の力で世界を変えることはできずとも、「知る」ということだけで救われる誰かもいるような気がした。冷静に、一歩引いた視点から実情やものごとの背景を知ろうとする。その、たんたんとした無感情の論理展開が、いちばん優しくて、癒されたんだと思う。いつも不思議に思うのは、死刑について議論する人は自分が死刑になったり冤罪になったりすることを想定してないのかなということ。私は、人間なんて何があるかわからないと思う。私はこの本を読んで、本に登場したひとたちのことを考えると、何も知らないくせにとんちんかんなことを言ってくるマジョリティに押しつぶされそうな圧迫された苦しさを感じた。そんなとき、敵でも味方でもないけれど、事実を知ろうとしてくれる人、背景にある苦しみに気づいてくれる人がいたら救われると思う。だから、私もその1人になりたい。私は、死刑に賛成なのか反対なのか、ここ最近ずっと考えたけどまだわかんない。でも、この本に出てくるみたいに、本当の事実を知って、今までの自分の意見と反対の意見にも共感できるようになるということが一番たいせつなきがする。

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2025年06月29日

Posted by ブクログ

親族、もしくは身近な関係間の殺人が多いのが日本の特徴であり、全く知らない赤の他人が被告人である割合は非常に少ないという事実を初めて知った。確かにこの本を読むまでは、死刑はあっても良いと思っていた。しかし、例えば自分の父親が母親を殺した場合、父親に極刑を求めるか、と問われると想像の域を超えたよく考えられない領域に入ってくる感覚を覚える。まさにそう言った考えられてこなかった、知られてこなかったこと、知るべきことを本書は改めて教えてくれる。中学生くらいからある程度歳をとった方々にも、普段あまり考えてこなかった死刑について、さまざまな角度から考える良い機会を与えてくれると思う。

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2025年09月15日

Posted by ブクログ

思い込みや知識の不足から解き放たれ、死刑について考えるためにひとまず知っておくべきことについて、プリマー新書らしき適度な骨太さで解説が施されている。

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2025年08月30日

Posted by ブクログ

薬理凶室の倫獄先生が推薦されていたのを見て、手に取った一冊。
とても丁寧な文章と実例の提示、こまやかなデータの表示がされていて勉強になる本。
論ずる前、俎上に上げる前に、その対象についての現状を可能な限り詳しく、そして論点を定めて、問題がどこにあるのかを精査するべきだという、ごくごく当たり前でありながら失念しがちな部分を小気味よく指摘している。
また、不安が暴走することによる厳罰化に対する懸念と、現実にある加害者と被害者の関係や事件事故と、イメージされるそれのと乖離についても言及されていて、イメージの先行という落とし穴の怖さを実感した。自分は驚くほど実際を知らないし、現実を見ていないのだなと思う。

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2025年08月08日

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