あらすじ
差出人不詳の、東北の山荘への招待状が、六名の男女に届けられた。しかし、深い雪に囲まれた山荘は、彼らの到着後、交通も連絡手段も途絶した陸の孤島と化す。そして、そこで巻き起こる連続殺人。クリスティの『そして誰もいなくなった』に挑戦した、本格ミステリー。西村京太郎初期作品中、屈指の名作! (講談社文庫)
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Posted by ブクログ
オーソドックスなミステリー。
まずは本のカバーがとてもおしゃれだった。
私が購入した際は赤い背景に原稿用紙、そして『この推理小説のトリックは、双生児であることを利用したものです。』の文字。
とある本の紹介動画でこの本の存在を知り、購入したが、このキャッチコピーが確かに押されており、自分自身もこの謳い文句に釣られて購入した。
また、もう一枚のカバーもとても素敵だった。
舞台である雪山の山荘。
この一枚のイラストのお陰で読みながらも情景がとても浮かび、物語にぐんと引き込まれたと感じる。
一種の芸術的な絵画の様な雰囲気で、このカバーの栞や文具小物等が有れば買いたいと思ってしまうほど。
作中にも度々タイトルの上がる『そして誰もいなくなった』をモチーフにした作品とのこと。
どんどんと山荘で行われる殺人事件に並行し起こる強盗事件。
始めこそ何の繋がりが有るのか分からずに読み進めて行くが、最後にかけて全てが繋がった時の感動は凄かった。
初めの語りの部分も有り、小柴兄弟という双子へ視線が向く中、実際には早川という別の双子が行った犯行。
確かにこれは双子トリックだと言われていても分からなかった。
個人的には第一の殺人が自殺という点がどうしても疑問が残る。
あそこまで計画を念入りに詰めていた双子が、自殺というある種起こるか分からないランダム性の有る物が組み込んでいた事。
そしてそれを、反省した故の自死だと勘違いした事も謎である。
復讐と言えるのだろうか。
気になる点は有ったが、とても楽しく読むことが出来て満足。
Posted by ブクログ
面白かった!!!
東京で起きた一卵性双生児による連続強盗事件と、謎の手紙に呼び出された若い男女が雪深い山荘で次々に殺されていく連続殺人事件。ふたつの事件が同時に進行する構成がまず面白い。
冒頭から「この推理小説のメイントリックは、双生児であることを利用したものです」と大胆に宣言されるこの作品は、ノックスの十戒への挑戦であり、アガサ・クリスティ『そして誰もいなくなった』へのオマージュでもある。『十角館の殺人』よりも先に、こんな面白いものがあったなんて知らなかった。
トリックそのものは宣言通りだし、割と分かりやすいのに、物語の構成と展開があまりにも巧妙で、気づけば一気読みしてしまった。トラックが解けたあとの決してスッキリとは終わらない、独特の後味もまたクセになる。読み応えが抜群だった。最高だー!
Posted by ブクログ
始めにトリックが開示されていたのにも関わらず騙された!名作オマージュに+αの要素で最後まで興趣が尽きない。一つの大胆なトリックはもう一つ新たなトリックを生み出すんだなと身を持って実感した。『そして〜』を読んでいる方にはとりあえずおすすめしたい作品。
Posted by ブクログ
作品の冒頭に『メイントリックは双生児であることを利用したものです』と書かれている。
双生児というキーワードに注意しながら読み進めるも、最後までボヤけて見える犯人像に綺麗に踊らされてしまった。
フェアな展開、様々な伏線、そして終わり方、全てが全て良さしかない。
Posted by ブクログ
クリスティーの「そして誰もいなくなった」に挑戦した作品であり、双子であることを巧みに利用した本格ミステリーで、素晴らしかったです。
雪に囲まれた山荘で巻き起こる連続殺人の真相とトリックには、結構驚きましたね。
Posted by ブクログ
初西村京太郎作品!
なんと1979年に刊行されたお話らしいが、一昔前の作品だから読みづらいといったことが全くなくスラスラ読める(漢字の送り仮名の表記が今と違うとか婚前交渉=ふしだらとか多少の前時代的な要素はあるものの)
双生児トリックは、よくあるのが「片方が実行で片方がアリバイ作り」等で色んなミステリで目にして来たけど、これはそれらの双生児トリックとはまたひと味違った。
自分達の犯行だとバレても良いけどどっちがやったかわからない以上捕まらないってことを最大限に利用して堂々としていて、双子であることをそう使うとは…!!って感心したしめちゃくちゃ面白かった!
(どうでもいいけど女性キャラの台詞の「〜だワ」の語尾カタカナが読んでてめちゃくちゃ気になってしまった…そこカタカナにすることに何の意味が込められてるのか…^^;)
Posted by ブクログ
『十角館の殺人』より先にアガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』のオマージュ作品の名作があると知って、この本を読みたくなった。
本編が始まる前に著者自らが「メイントリックは、双生児であることを利用したものです。」「これでスタートは対等になりました。では、推理の旅に出発して下さい。」と記している。
これまで読んだことのない冒頭で始まり、まるでディズニーのアトラクション乗車時に送り出された時のようなワクワク感を感じた。
吹雪の山荘内での連続殺人事件と、都内での強盗事件、この二つの事件が平行に進んでいく。
この2つの事件に何の関係があるのか?
山荘の犯人は一体誰なのか?
著者にメイントリックを先に教えてもらっているのに犯人が全くわからず、無駄な文字稼ぎのような部分が全くないので、読む手がどんどん加速してしまい、一晩で読んでしまった。
山手線の初乗り料金が30円だったり、食堂の定食が200円なので、何年前の本なんだと思ったら、驚きの1979年の作品だった。
女性の話し方や、職業に対する価値観だったり、男女の役割、警察の無能さなどには古さを感じるけど、そこは今とは違う1979年のその時代風景を楽しんだ。
犯人は最後まで当てることができず、完全に騙された。
トリックに破綻がないし、後から思えばきちんと伏線も張ってあった。
犯人の動機も考えさせられるものだった。
やはり名作と呼ばれるものは面白い!
Posted by ブクログ
『この推理小説のメイントリックは、双生児であることを利用したものです。』
これが、本作の書き出しである。
このような文があったからこそ、「双生児」という言葉には注意を払って読み進めていき、何となくではあるが先を予想出来たつもりだった。
だが、物語の所々に残った「疑問」を甘く見過ぎでいた。
本作は、東北の山奥にある山荘で起こる殺人事件と、全く別の場所で起こる事件が並行して進んでいく。
関連性の見えない二つの事件ではあるが、その中に「双生児」のトリックは巧妙に編みこまれている。
この作品の中で、個人的に最も面白いと感じた部分は「犯人が分かったあと」である。
事件の全貌が見えないもどかしさとは、何ともソワソワするものであるが、それがどこまでも続くのが非常に気に入っている。
この作品には、そっくりな人間が二人居るから表現できる面白い描き方が数多く出現する。
双生児だからこそ楽しめる、この面白さを是非とも味わって欲しい。
必読書
かなり古い作品だが、今でもそれほど違和感なく読める。現在のミステリでも使われているアイデアがふんだんに見られ、ミステリ好きの日本人なら必読書だと思う。
Posted by ブクログ
おもしろい!
最初は時代背景が昔過ぎて、古臭いな、合わないな、とか思っていたが、読み進めるにつれて、2つの事件が交互に展開され、どういうことだ、とどんどん深みにはまっていった。
アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」を彷彿とさせる事件、ベタだ、ベタすぎるだろう、と思いながらも、きちんとクローズドサークルを作り上げ、事件を展開させていく、いわゆる、王道。
片や、双生児をつかった事件が語られる。
犯人分かっているし、どこか、トリックだよと、頭に疑問符を浮ばせた。
この2つがどのように交わるのか、ずっとドキドキしていたが、後半怒涛のような展開に思わず、ため息を漏らした。
なんということか、最初のプロローグからして、私は騙されていたのだ。双生児を使ったトリック、なるほど、『双生児を使う』というのは、小柴兄弟のこと自体を指すのか。つまりはこの話には双生児は2組、計4人が出てくる。これがこの本のコア。
終わり方もいい、少し余韻を残すあたり、読ませる技術の高さを窺い知れた。読む価値は大いにある。
Posted by ブクログ
おもしろかった。
双子の入れ替わりを使ったトリック、と最初に宣言しているが、こういう形で利用してくるかと驚かされた。
強盗と雪に閉ざされた山荘での殺人というふたつの事件が同時進行し、この事件の関連は何かと色々考えていたが全然予想できなかった。
Posted by ブクログ
はじめに、この本のメイントリックは双生児であることを利用したものです、と宣言している珍しい構成。
しかしまんまと引っかかった。終盤に差し掛かってくると主人の早川が実は双子なんじゃ…?くらいには思ったものの、詳細のトリックまではもちろん気付けず。
アガサクリスティーの「そして誰もいなくなった」への挑戦ということ。
この本も以前読んでいるが、人が1人ずつ殺害されていくところや、それに合わせてボウリングのピンが1本ずつなくなっていくところなど類似点が多々あった。
宮地刑事視点と、京子視点の物語が交互に進んでいく構成で、この2つの話がどうやって噛み合うんだろうとわくわくしながら読んだ。
トリックは、多少違和感があるところもあった。(指紋全部消せんのかとか、このドンピシャのタイミングで矢部さん自殺するかねとか、等)
全然関係ないけど、序盤の食堂で、いちばん高いの頼もうと言った亜矢子のトンカツライスが800円で、高くも安くもない定食が200円という物価の違いに驚いた。笑
今なんて何食べても1000円以上することがほとんどなのになぁ涙。
Posted by ブクログ
西村ミステリーの中でも一番本格寄りなのが本書であろう。名作として名高いし、噂にたがわぬ出来栄えだった。各所で言われているが冒頭に双子トリックである、と明言されておきながら騙される、という点も良いのだが、個人的には2つの事件がどのように交差していくのかが全く見えてこない点に素晴らしさを覚える。さらに双子を活かすことで生まれる幅が物語に厚みをもたらしている。キャラのモブ感には若干不満を覚えるもののミステリ的な完成度は高い。
Posted by ブクログ
少しの違和感はあれど全く古臭くない、むしろ「そして誰もいたくなった」が好きなら色んな角度から楽しめるわくわく作品。逆に誰もいなくなったを知らない人は新鮮かつ驚きながら読み進めれると思う。願わくば誰もいなくなった、の記憶を消し去ってからこちらを読んでみたい…。
ハッピーエンド…とは言えないな。そして気付かぬうちに人を傷つけているかもしれない私たち。ネットや人との関わりが希薄になっている今こそ多くの人に読んでほしい。他人の振り見て我が振りなおそうぞ。(感想がミステリのものではなくなった。失礼。)
Posted by ブクログ
初期の西村京太郎作品も面白いよと薦められて拝読。
ほぼ産まれた年に創刊されたこの本。古臭さは感じられず スルスルと読みやすい。
トリックが最初に種明かしされているものの、面白さに変わりはなく、逆に色々と疑いながら読み進めることに楽しみが増える。
言葉の言い回しなど本全体から 不思議と優しさを感じた。
Posted by ブクログ
こういったクローズドサークルのミステリーを読むのはほぼ初めてだったが、推理しながら読むのが楽しかった。
ミステリーをよく読む人からしたら真新しいトリックはないかもしれない。
個人的には、犯人の目星がついていても双子のどっちか区別がつかないから検挙できないところが新鮮だった。現実でもそうなんだろうか?
動機は想像できなくもないが、ちょっと突拍子もない感じがする。
最後、証拠不十分でも説得で自白させようとするところが良かった。
Posted by ブクログ
西村氏の初期の作品で、発表は1971年。
本格ミステリです。
冒頭で、トリックが明かされます。
これは、イギリスの作家ノックスが発表した推理小説のルールに従うものです。
これにより、公平性が保たれるわけです。
また、アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」に挑戦した作品ということで、必ず先にそちらを読んでください。(ネタバレがあるため)
テンポよく、読みやすい文体と構成でした。
Posted by ブクログ
二時間サスペンスの時刻表トリックの人、というイメージだったが本格的なクローズドサークルミステリーだった!
でもやっぱり鉄道はからんでくるのね(笑)
■双生児
あからさまに出てくる双子とは別の双子がいるんだろうなぁとは思ったが誰なのかはよみきれなかった
実際に指紋やDNAの証拠がなく、目撃証言だけで双子の罪を証明するにはどうするんだろう?
ドラマ化されてるので驚いたけど大幅に内容が違って双生児も出てこないらしい…
そりゃあ小説ならではのトリックだしね
■罪の証明
客観的に証明できるものは何もなく逃げ切りなのか?と思ったが…最終的には自白しただろう。
撃たれた子がどこでからんでくるのかと思っていたがそう繋がるのか
確かに動機から考えればめちゃくちゃ効くよな
見てみぬふりどころか能動的に動いた結果だから余計に悪いし(-_-;)
王道のクローズドサークルミステリーでとても楽しめました
というか婆ちゃん転んでたのにホームで写真撮ってた新聞記者も復讐対象では???
Posted by ブクログ
カッパノベルスの人と同じイメージで見てはいかんです。本格的な推理モノです。
十数年ぶりに読んで、トリックはうっすら覚えていたけど楽しく読めました。
Posted by ブクログ
西村京太郎といえばトラベルミステリーの印象が強すぎて、あまり知られていない気がする超本格物のミステリー。
そして誰もいなくなったそのもので、ワクワクが止まらない。
東京と宮城の二元進行で、2つのストーリーがどういった形で結び付くのか・・・、最後まで見当もつかなかった。
真相解明の際のカタルシスがそこまで強くなく、淡々と進んでしまった印象で、そこだけはちょっと好みと違ったけど、星4.8くらいにはしたいくらい雰囲気は大好きな作品だった。
Posted by ブクログ
有名なのにまだ読んでいなかった本の一冊。
平行して起こる二つの事件がどう話が繋がっていくのか終盤に差し掛かるまで全く分からなかった。
とても斬新なトリックだと思うが、ところどころ時代を感じさせる要素が入ってしまい、まだ自分にとってはそう大昔の話では無いため、「そういう時代のお話し」として読むことが出来なかったため、普遍性の点でマイナス星一つ。クリスティの『そして誰もいなくなった』への見事な挑戦だとは感じた。
Posted by ブクログ
気持ち的には★3.5くらい。
時刻表トリック&2時間ドラマでお馴染みの西村京太郎先生。
若ーい頃にたぶん数冊は読んでるかなーと思うけど、覚えてない…(ごめんなさい)。
クローズドサークルが大好きな私は思いつくと、ネットをチマチマと検索していますが、ある時こちらがヒットしました。
えー?かなり興味をひきまして、迷わず読みましたー。
舞台は昭和44年。
当然だけど携帯もない。防犯カメラもない。
まあそれはそうだよね仕方ない…。
でもでもでも…殺人現場に新聞記者がズカズカ入り込む!被害者家族もズカズカ入り込む!!
ええぇぇぇー?!待って待ってーー!現場の遺留品をなぜか家族が燃やしているーーー!!
驚きを通り越して面白すぎる!!
でもこれは小説が悪いわけではなく、当時の捜査は実際そんな感じだったのでしょう。
ある意味、そういうところも楽しめます。
ミステリーの方はというと…
一見関係なさそうな二つの事件が違う場所で並行して進んでいきます。
片方がクローズドサークル。
アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」のオマージュ的な作品にも感じます。
ミステリー要素もとても読み応えあり!
面白かったです!!
Posted by ブクログ
最初にトリックに双子を使っている事を説明してるのが特徴の小説。
双子による強盗事件とホテルで起こっている連続殺人がどう関わっていくの分からなくてワクワクしながら読めた。
強盗の犯人が分かってるのに逮捕できないムズムズ感が新鮮。
西崎が出てきた時に明らかに怪しいなとは思ったけどトリックとか早川との繋がりとかは分からなかった。最初に説明されてるのにちゃんと驚きがあって凄い。
面白かったけど登場人物がやたらと一寸一寸いうのが気になった。
Posted by ブクログ
昔読んだ、双子トリックの名作。
(冒頭で双子トリックであることが明記されている)
新装版が出たようなのでまた読んでみたい。
初出の時代にしたら本格推理の良作だったと思う。
Posted by ブクログ
双子トリック
双子を使ったミステリートリックは数多あるが
それでも面白い
面白いが、インパクトには欠ける
インパクトには欠けるが、やはり面白い!
西村先生はこういうのを多く書いて欲しいです。
Posted by ブクログ
トリックを表紙にデカデカと書いてあるせいで、そればっかり気になってしまった、、、
が、当然ながらそれだけで犯人がわかるわけでもなく。
最後の数ページの追い詰め方がとてつもなく良きでした。最後は人の心だなあ
Posted by ブクログ
最初から「双子がトリックです」って書いておくとか正気か?って思った
西村京太郎といえば時刻表トリック!って決めつけて読んでたけど全然違った。
アガサクリスティーの「そして誰もいなくなった」を先に読んでてよかった。めちゃくちゃネタバレ書いてある笑