あらすじ
クイズ番組の決勝で、僕の対戦相手は1文字も問題が読まれぬうちに回答し正解し、優勝を果たす。彼はなぜ正答できたのか? 推理作家協会賞受賞&本屋大賞6位、圧巻のエンターテインメント。文庫化に際し短編小説「僕のクイズ」を収録! 解説は田村正資氏。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
一気読み。★4.5。よかった、おもしろかった!
実際のクイズプレーヤーの技術・考え方に基づき、話が組み立てられている。
そのクイズプレーヤーのポジションと違うところに本庄絆がいた!本のタイトル「君のクイズ」の意味も最後にわかった(たぶん)。
勝負を決めるのはいかに情報を持つか、だけでなく、その情報をどう分析・活用するか。それはクイズだけの話ではない。
p.44「感情が乱れたとき、僕はデスクの引き出しから早押しボタンを取り出す」…これはよいと思った。自分の早押しボタンを見つけよう!
----------
26/6/13 映画を観た。本の方がよかった。
映画のVFXが少しやりすぎでうるさかった。また、謎解きが検証番組にスタイルを変え、そのせいで性急な謎解きになってしまった。さらに三島(中村倫也)と本庄(神木隆之介)に加え坂田(ムロツヨシ)がクローズアップされ、本と違い坂田のいやらしい性格が強調されていた。本庄も本のイメージと違った。たぶんここに書いた違和感は映画が狙ったところだと思うので、つまり自分はこの映画が合わなかったということ。
三島は本のイメージだったし、本とは違うこの映画のラストはよかった。中村倫也はいい男だ。
僕のクイズを問うている
僕の頭は藤川球児のストレートくらい回転している。
最序盤のこの文章から俄然引き込まれた。
すごく筋の通った展開で、タイトルとラストもリンクしていて読後感の良い作品。
Posted by ブクログ
一文字も読み上げられてないのに答えが分かったんだから、絶対イカサマやろ!
そんなの、無理やろ。
「一文字も読まれていないということは、この世界を構成するすべての事物の中から ーー つまり無限通りの選択肢から ーー 答えをつまみ上げないといけないということだ」
本文より抜粋
「絶対イカサマだ」と思いながら、読み進めていくんだけど、読めば読むほど「イカサマじゃないかも」と思えてくるのがおもしろい。どんどん引き込まれる。
本庄絆の「ゼロ文字押し」によって敗北を喫した主人公三島は、謎を解明すべく大会で出題された全16問を1問目から順に思い出していく。
その中で色々と分かったことがある。
クイズは問題を全て聞き切った後に、考えて、答えるのではなく、他の誰よりも早くボタンを押し、正解することが重要。そのため、問題を推理したり、選択肢を絞ったり、ライバルを出し抜いたりするためのあらゆるテクニックが存在する。
「確定ポイント」や「読ませ押し」といったテクニックがあることも本書ではじめて知った。
これは現実のクイズ番組でも実際に使われているテクらしい。
本書で行われたクイズ大会は「生放送」だったため、誰も答えられないクイズは出せない。問題を読み終わっても回答者がいなかったら放送事故だし、回答しても不正解だったらそれはそれで盛り上がらない。生放送だから編集でカットもできない。
かといって誰でも答えられるようなクイズも出せない。全員が答えられるようなレベルの低いクイズでは、「すごい回答をした!この人すげぇ!」というレジェンドは生まれない。
程よく難しいクイズであっても、答えにピンとこないクイズは視聴者に凄さは伝わらない。モヤっとする。
そういう微妙なバランスのもとクイズは考え出されているので、出題されるクイズにはなんらかの法則が生まれる。
過去のクイズ大会で出題されたことがあるものとか。
回答者の出身や経験にまつわるものとか。
出題された16問の問題にもやはり法則はあったのだ。
そして、最終問題の16問目で、本庄絆は賭けに出た。それが「ゼロ文字押し」はイカサマではなかったんだ。
こうやって一つ一つ解きほぐしていくと、クイズはそれぞれ独立した問題じゃなく、なんらかの意図を持った連続性のある問題であることが分かった。
クイズって奥深いなぁ。
しかも「ママ.クリーニング小野寺よ」って本当にある会社なんだね。
それも驚いた。
Posted by ブクログ
『君のクイズ』は、クイズという競技を通して、知識や記憶だけでは捉えきれない人間の輪郭を浮かび上がらせる小説である。
物語は、クイズ番組の決勝で生じた不可解な正解をめぐり、対戦相手である三島がその要因を追究していく形で展開する。早押しクイズは、単に正解を知っているか否かを競うものではない。問題文に含まれるわずかな手がかり、出題者の読み方、解答ボタンを押すタイミング、そしてこれまで蓄積してきた経験が、一瞬の判断へと凝縮されていく。
読んでいて印象に残るのは、クイズが「知識量の競争」であると同時に、その人がどのように世界を認識してきたかを映し出すものとして描かれている点である。答えに到達するまでの思考過程には、その人の過去や関心、価値観が自然に表れる。だからこそ、正解することは単なる勝敗を超えて、自らの人生の一部を確認する行為にも見えてくる。
一方で、クイズには競技としての冷静さもある。どれほど背景に人生が存在していても、最終的に残るのは正解か不正解かという明確な結果である。その割り切れなさが、この作品の魅力である。熱量と論理、偶然と必然が同一の場面に重なり合うところにも強く引き込まれる。
読み終えたあと、クイズを見る視点が少し変化した。画面上の短い沈黙や早すぎる解答の背後にも、無数の記憶と判断が存在しているのだと思わされる。何気ない出題にも、別の奥行きがあるように感じられる。クイズとは何を問う営みなのか。その問いが静かに残る一冊である。
Posted by ブクログ
小川哲さん初読み。
自分がマンガ脳だからか、登場人物のアクションがあまりなくほぼ主人公の過去話や精神世界でのストーリー展開だったので少し退屈でしたが、主人公の話し言葉で物語が進み、今までにない競技クイズのお話(ミステリー)ということでさらさらと読めました。
解説でお話しされていた、「競技クイズのマニュアル」としても読み応えがあり、それからクイズプレイヤーの心得や考えていること、技などを少し知ることができた気がしました。
知らなかった「競技クイズ」の世界、面白かったです。
これからテレビなどでクイズを見るときは、見方がガラリと変わりそうです。