あらすじ
まるで拾った宝くじが当たったように不運な一日は、一本の電話ではじまった。私立探偵の沢崎は依頼人からの電話を受け、目白の邸宅へと愛車を走らせた。だが、そこで彼は自分が思いもかけぬ誘拐事件に巻き込まれていることを知る……緻密なストーリー展開と強烈なサスペンスで読書界を瞠目させた直木賞受賞作。
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Posted by ブクログ
沢崎探偵シリーズ第二作。
この作品は読んだことがある気がした。
シリーズものは最初から読むことにしているので、
なぜ1作目を読まずに2作目を読んだのかは全く覚えていない。
覚えていないと言えば、ほとんど内容も覚えていなかった。
幸運と言うべきか。
ハードボイルドに不可欠なもの、主人公の生き様、に加えるとすれば、
都会的雰囲気、としたい。
それは、LAでもNYでも東京でも良いはず。
ただ、新宿では鮫が泳いでいるらしいが、
東京は現実であるがゆえに、虚構の舞台にはなりにくい。
ただ、この作品の中の東京は、現実ではない。
ブルーバードが走り、喫茶店で呼び出しがかかり、第一勧業銀行がある東京。
懐かしいというには、多分、自分は若すぎる。
覚えていたのは、結末。
うろ覚えながらそれを覚えていたから、
誘拐の身代金の運搬に失敗するという、
息が詰まる展開に耐えられた。
面白かった。
Posted by ブクログ
私立探偵って大変だなあと思う。
依頼人の勝手な依頼を、仕事だからと受け入れ、警察に目の敵にされたとしても、弱音を吐くことはできない。
あくまでも守秘義務を貫くストイックが要求される。
というわけで、どこまでも巻き込まれていく主人公の沢崎は、依頼人から請け負った仕事をこなすうちに、誘拐事件の真相にたどり着く。
が、実行犯から事件の真相へたどりつく部分が、飛び過ぎて置いていかれる。
どうしてその真相にたどり着いたのか、そのとっかかりがどうにも納得できなかった。
とはいえ、被害者がいたいけな少女であることに加え、結構残虐な事件だったので、沢崎がどう解決するつもりなのか、彼の行動から目が離せなかったのは事実。
最後の最後。
この事件の真相を解明した沢崎のセリフが刺さる。
「家族を守ると言うが、(中略)一番苦しめているのは、(中略)つまりはあなた自身ではないのですか」
家族の問題って、突き詰めればそういうことなのかもしれない。
Posted by ブクログ
憧れのマキコさんが勧めてくれたこの寡作の小説家は、なんと高校の先輩でした。そして、私の好きなジョージさんが、この先輩のことを「日本にもこんなハードボイルドが書ける人がいるんだと思ったよね」なんてかっこいいこと言ってました。確かにおもしろかったし、読み応えあったけど、怖かったわ。