あらすじ
「孤独だからこそいいんだ。孤独だからこそ速くなれる」友人、家族、世界、愛――すべてを置き去りにして、鬣の生えた少年スプリンター・成雄は、速さの果てを追う!そこに何があった? 何が見えた??――誰がいた???疾風怒濤!! マイジョウオウタロウの世界は、限界の向こう側へ! 『山の中の師見朋成雄』『獣の樹』とリンクする、鬣の生えた少年、成雄の走りまくるストーリー。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
本全体を貫く疾走感を感じた
収録作はどれも厳密に言えば独立した物語である
だが、登場人物が同じだったり共通点があったりで、読んでいる最中はまるで繋がりがあるように錯覚する、あるいは疑心を抱く
そして、1作目の強烈な疾走、読者をも置き去りにしかねない疾走
そういった、強烈な出だしと繋がっているような感覚がいい意味で頭を麻痺させてくれ、たっぷり舞城世界を堪能出来た
ちゃんとラストは、全体を包括するような(ように見える)物語で、疾走の流れも向きもそのままに幕を閉じる
それもまた悪くはない
Posted by ブクログ
全七編の短編で構成されるお話。
全篇を通して主人公は成雄という少年であり、登場人物も変わらない。
しかし、パラレルワールド的な作りになっており、それぞれの話で主人公・成雄の立ち位置や他の人物との関係性はがらりとかわってくる。
どのお話でも、成雄は一貫して「速さ」を求めて行動する。
走って走って走って。遂には音速に到達する。
そうして手に入れた速さで成雄は何を得たのか。
終始荒唐無稽な世界観が展開されており、なんだこりゃと思う間もなく、主人公は次の行動に移っている。
それはそれで面白いんだけど、七編にわけるんじゃなくて、やっぱり長編で読みたいなと思った。
章が変わるたびに主人公の立場が変わるため、成長がわかりづらくなって全体の濃度が薄くなってしまっている。何よりテンポが悪くなっている。
全篇通して主題のブレはないけれど、伝わりにくいと感じた。
同じ舞城作品の成雄シリーズの「山ん中の獅見朋成雄」、「獣の樹」と比べる、とちょっと物足りないなあ。