【感想・ネタバレ】沈黙のレビュー

あらすじ

巨匠による端正で緻密な謎解きシリーズ第2作
ガラス職人のイヴが首を切り裂かれた父の遺体を発見した。凶器はイヴが作った花瓶でマシュー警部は慎重に聞き込みを進めるが……

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Posted by ブクログ

ネタバレ

マシュー警部シリーズ2作目。

「地味だが滋味がある」と解説にあったが、その通り。
殺人事件そのものよりも、マシュー警部補と夫ジョナサンをはじめ、
刑事たちや被害者周辺の家庭の人間関係が主題なところは、
前作と同じ。

マシューは疎遠にしていた母親を家に招き誕生日を祝い、
ジョナサンとはお互いの価値観を気遣う。
部長刑事のジェンは、捜査で子供たちの世話ができないことを気に病むが、
娘も息子も成長しているのを感じる。
ロス刑事は料理が上手で世話をしてくれる妻の態度の変化に、
妻との関係、そして自分を見つめなおす。

事件の方はと言えば、ジェンがパーティーで会った男性が殺された。
ジェンに相談したことが何かあったらしい。
男性は元医者で、現在は保健サービス東京を監視する仕事をしていた。
凶器は男性の娘が作ったガラスの花瓶だったが、そのことに意味があるのか。
男性が調査していた、精神病棟から退院させられ自殺した男性に関係があるのか。
それとも、殺人現場のガラス工房の持ち主、
金融市場で成功した投資家の老人ホーム閉鎖の計画が関係しているのか。
そして、投資家の所有していたガラスの花瓶で、もう一人の男性が殺される。

投資家の自殺はストーリー展開に必要だった?という気はしたが面白かった。
今週の夕飯はテイクアウト続きだったが、
お母さんの手料理だったらテイクアウトが良い、
と娘に言われてたジェンはちょっと可哀想だったが。

1
2025年05月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

前作同様、事件の舞台となった地域に根付く人々の生活や心情が丁寧に書き込まれ、濃密なコミュニュティ空間で起きた自殺や連続殺人について、地道に捜査していくスタンスは変わらない。前回は主役刑事とそのパートナーを中心に物語が進行したが、今回は、脇を固める刑事2名がそれぞれの家庭での葛藤も交え物語の中心となり進んでいく。ルーシーも健在。厚いけど手が止まらず一気に読んでいける面白さ。犯罪解明としての鮮やかさを問う小説でなくすっきり感は少ないものの、とても心に残る一冊。新刊が出る前に別シリーズに手を出す予定。

0
2025年10月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

イギリスの作家アン・クリーヴスのマシュー・ヴェンシリーズ第二弾。

ヴェンの部下のジェンがパーティである男と出会う。どうやら刑事であるジェンに相談したいことがあった様だが、酔いもあり次の日に約束をしたところ、その男は死体となって発見される…

非常に染み渡る作品。警察の地道な捜査、関係者が直面する問題、主役たちのプライベートなど、複数からの視点で丁寧にこつこつと描かれる。この辺りはクリーヴスの得意とするところ(というか他の形式を見たことがない)。
ただこれが好き嫌いが分かれるポイントなのかなぁと。中弛みに感じる人もいると思う。
今作に限っては、実は過去一いいタイミングで転換点があった気がする。ここぞというタイミングで新しい事件が起きるので、いつもより間延びした感じは受けなかった。

原題は、おそらくサギの鳴き声的な意味だが、邦題は「沈黙」。妻に言わないこと、パートナーに言わないこと、色々あるよなぁっていう。漢字二文字のところも、燻銀な感じで作品の雰囲気に合っている。良作。

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2025年08月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2025年の32冊目は、アン・クリーヴスの「沈黙」です。「哀惜」に続くマシュー・ヴェン警部シリーズの2作目となります。読書の舞台は、ウェスト・ドーセットからノース・デヴォンに移りました。
作者アン・クリーヴスの円熟した作品を堪能出来ます。
派手なアクションシーン等は有りません。派手な作品が好きな人には物足りないかもしれませんが、マシュー、ジェン、ロスのチームが、関係者から丹念に聞き取りを重ねて事件の犯人とその真相に一歩一歩辿り着いて行きます。最後は、一気読みでした。以外な人物が犯人です。
マシューとジョナサン、ロスとメラニーの2組の夫婦関係やジェンと子供達との関係等、捜査陣の私生活の描写が、良いアクセントにもなっており、素晴らしいシリーズ作品に仕上がっていると思います。
☆4.8年間ベスト10級です。

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2025年09月07日

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