【感想・ネタバレ】私とは何か 「個人」から「分人」へのレビュー

あらすじ

嫌いな自分を肯定するには? 自分らしさはどう生まれるのか? 他者との距離をいかに取るか? 恋愛・職場・家族……人間関係に悩むすべての人へ。小説と格闘する中で生まれた、目からウロコの人間観! (講談社現代新書)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

よく言われる「本当の自分」とは何かみたいなものに感じていた感覚を言語化してくれた一冊。

近代に生まれた個人という概念=これ以上は分割できないという概念が、人間はひとつしかないのだから多面的な人間がいた場合、ひとつの面しかホンモノではなくそれ以外はニセモノであると捉えさせてしまうが、そうではなく、ありとあらゆる面を持っており、そのすべてが本物であり、その集合体で人は構成されている、そしてその構成比がそのときどきの性格、価値観みたいなものに表出しているというところは自分の感じていたところとしっくりくるものではある。その構成比が同じ感じでないと価値観の相違が生じる。
あるいはお互いの距離感にズレがあるのであれば、双方で使っている分人のフレームが違うということ。例えばこちらはAさん向けの分人!って感じでも向こうは知り合いという大枠用の分人を使っているみたいなケースだと合わない。
そしてそれは性格的な面だけでなく、恋愛的な面でも起こりくることでだから浮気や不倫、嫉妬が発生するとのこと。逆にそういったひとつなんだという思い込みが人間を不幸にする。

分人というのは他者との関わりの中からしか生まれてこない。1人で悩んでいるときもそれは結局自分の中の分人が入れ替わり立ち替わり現れているだけである。だからこそ人との交流の質が大事だなとも感じさせられたし、いいパートナーとはそのときの自分の分人の状態が自分で好きと思えるパートナーとのことで、そういった状態を作れる人になりたいと思う。

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2025年10月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2025.11.23時点で今年最もガッカリした作品だ

著者は「個人」という概念の着心地が悪く、「分人」という言葉ならしっくりくると主張している
残念ながらそれ以上のものは掴み取ることが出来なかった

個人すなわち意味を探究するという点において、これは哲学である
哲学とは確かめ可能な世界のことである
しかし、本著は問いを立てたはいいものの、全然確かめ可能ではないのだ
誰もが等しく理解可能な言語の使用を放棄している
また、問いを立てては投げて、問いを立てては自著の宣伝をし始める始末
大学院の修士論文でさえ、問いを立てて、仮説を検証して、自論を述べよと教わるものだが、学者でなければ、小説家であれば、果たしてそのような基本を度外視してもよいのだろうか 

例えば、私の持つ臆病さは生まれ育った家庭環境や社会生活で自分を守るストッパーとして成熟したものであると考えるが、その臆病さが個人のものなのか分人のものなのかといった議論の余地が多分にある

世の中のたくさんの人が何気なく、何の恐怖もなく過ごしている今という時間に自分は明日への不安と恐怖、おそらく杞憂に終わるものたちを抱えながら生きている
こんな時は、どんな分人なんだろうと考える
分人は完璧じゃない気がしている
今の自分は、誰とも接してない自分だと思うからだ
そうじゃないとしたら、自分は今、誰と向き合ってるのだろう?
誰の顔も浮かばず、孤独を感じる今の自分は何に帰属しているのか?

著者だけでなく編集部にも疑問を抱かざるを得ない作品である
はっきり言ってこのようなレベルであれば日記帳でやればよい

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2025年11月24日

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