あらすじ
嫌いな自分を肯定するには? 自分らしさはどう生まれるのか? 他者との距離をいかに取るか? 恋愛・職場・家族……人間関係に悩むすべての人へ。小説と格闘する中で生まれた、目からウロコの人間観! (講談社現代新書)
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Posted by ブクログ
〜印象的な話〜
八方美人とは、分人化の巧みな人ではない。むしろ、誰に対しても、同じ調子のイイ態度で通じると高を括って、相手ごとに分人化しようとしない人である。パーティならパーティという場所に対する分人化はしても、その先の一人一人の人間の個性はないがしろにしている。だから、十把一絡げに扱われた私たちは、「俺だけじゃなくて、みんなにあんな態度か!」と八方美人を信用しないのである。 分人化は、相手との相互作用の中で自然に生じる現象だ。従って、虫の好かない人といると、イヤな自分になってしまうことだってある。場合によっては、〝八方ブス〟にだってなり得るのだ。
〜大切なのは分人のバランス〜
「生きるのを止めたいのは、複数ある分人の中の一つの不幸な分人だ」
重要なのは、常に自分の分人全体のバランスを見ていることだ。いつだって自分の中には複数の分人が存在しているのだから、もし一つの分人が不調を来しても、他の分人を足場にすることを考えれば良い。「こっちがダメなら、あっちがある」でかまわない。そのうちに、余裕が出来た時には、不調を来している分人の扱いをどうすべきか、改めて考えても良い。
〜印象的なフレーズ〜
・私たちは多種多様な分人の集合体として、存在している。
・相手が必要以上の分人化を求めてくれば、ヘンな人とでも思ってしまうのが日本人である。
・人は、なかなか、自分の全部が好きだとは言えない。しかし、誰それといる時の自分(分人)は好きだとは、意外と言えるのではないだろうか? 逆に、別の誰それといる時の自分は嫌いだとも。そうして、もし、好きな分人が一つでも二つでもあれば、そこを足場に生きていけばいい。
〜感想〜
本当の自分ってなんだろう。自分が1つのキャラクターでないと偽りなのか。と今まで悩むことがあったけれど、分人という概念を知り、どの自分も本当の自分であったと気付かされた。
また本書を読んでから、自分の中にあった不自然な分人の存在を発見することができた。
過去、人生をやめたいと思ったことが何度かあるが、もしかしたらとある分人を止めたかっただけなのかもしれない。
Posted by ブクログ
作者の考える「分人」そして「分人主義」を主張する本。同一人物でも観測者によって見える人格が全く異なるという直感自体は自分の中で以前からあり、この本はそれを分人という概念によって説明していたため腑に落ちた。一方で、その直感を自分は(そしておそらく多くの人は)個人を多面体だと解釈することで説明していたが、著者は多数の分人と呼ばれるノードで構成されるネットワークだと考えている点が興味深い。
この本が導き出す結論そのものに新鮮なものは多くないが、分人というモデル化そのものが興味深く価値がある。後半の個人の死や恋愛の話も面白いので強くお勧めする。
Posted by ブクログ
分人、よい考えを知った!生きやすくなった気がするよ。飲み会の帰り道になんだか自分のことがダサくておもしろくなくて惨めな気持ちになって死にたくなることがあるけど、その人たちとの関係性がそうさせてるだけなのかもなあ……と思った。
“不幸な分人を抱え込んでいる時には、一種のリセット願望が芽生えてくる。しかし、この時にこそ、私たちは慎重に、消してしまいたい、生きるのを止めたいのは、複数ある分人の中の一つの不幸な分人だと、意識しなければならない。誤って個人そのものを消したい、生きるのをやめたいと思ってしまえば、取り返しのつかないことになる。”(109頁)
ぜんぶぜんぶが嫌になって毎日死にたい気持ちと、でも生きなきゃな、って行ったり来たり苦しんでたけど、わたしの全部がだめなわけじゃないんだ、って救いになりました。
死にたい、と思っても、「死にたいと思うわたしもおります」って、死にたいと思ってないわたしが思ってる。
楽しい自分になれるときを見つけていきたいです。
あと、印象に残ったのが恋愛の章で例として作られた女性の告白。
“「あなたと一緒にいると、いつも笑顔が絶えなくて、すごく好きな自分(=分人)になれる。彼といても、そうはなれなかった。その好きな自分を、これからの人生で出来るだけ、たくさん生きたい。だから、あなたがいてくれないと困ると思った。」”(137頁)
さすが小説家〜〜こんなの言われたら大好きになっちゃうよ〜