あらすじ
日本を代表するSF作家のひとりであり、歴史小説でも人気作を手掛ける著者、2年ぶりの短編集。雨が夜にしか降らなくなった都市を描いた表題作ほか、書下ろし「天窓」「南洋の河太郎」2編など、上田早夕里の真骨頂を味わえる全10編。
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Posted by ブクログ
短編、中編集。
どれもこれもしんみりと、泣きたくなるような、それでいてSF度が濃い目でまさに射抜かれたという感想です。
現実的な部分を踏襲しつつ、超非現実的な近未来(?!)でしかも、歴史をキチンと捉えつつ、読者の知識や記憶や想像力を熱く厚く、刺激を与えるこの一冊、私の記憶と記録に残る本となりました。
「龍たちの裔、星を呑む」の中の一節、「龍の悠久の命と比べれば、人類の命は、日の出と共に葉の上から消えてゆく朝露に似たものだった。」という表現に納得。私達人類は朝露と同じ。
SFファンタジーというか、超歴史もので人間よりも人間臭いひとつひとつ。短編集扱いしているのがもったいない!!
Posted by ブクログ
・化石屋の少女と夜の影
・ヒトに潜むもの
・封じられた明日
・成層圏の墓標
・車夫と三匹の妖狐
・龍たちの裔、星を呑む
・天窓(書下ろし)
・地球をめぐる祖母の回想、あるいは遺言
・ゾンビはなぜ笑う
・南洋の河太郎(書下ろし)
SF全10編。久しぶりの上田早夕里。
どの作品も面白く読んだが、
どこか切なく、悲しみがにじむファンタジーとして完結している。
南洋の河太郎だけは続編が読みたいと思った。
Posted by ブクログ
様々なタイプの10作品を収めた短篇集。基本的にはSFだが、バリバリのジャンル小説ではなくて、肩肘張らずに読めるタイプの作品だ。
初出は6篇がアンソロジーシリーズ「異形コレクション」、中国の「春節SF祭り(科幻春晩)」とアンソロジー『地球へのSF』から1篇ずつ、そして2篇が書き下ろしだ。アンソロジーに収録された作品が多いので、作者の熱心なファンだと既読が多いかもしれない。
どれも愉しく読めたが、「封じられた明日」、「車夫と三匹の妖狐」、「ヒトに潜むもの」がもろにツボだった。
Posted by ブクログ
化石屋の少女と夜の影
ヒトに潜むもの
封じられた明日
成層圏の墓標
車夫と三匹の妖狐
龍たちの裔、星を呑む
天窓
地球をめぐる祖母の回想、あるいは遺言
ゾンビはなぜ笑う
南洋の河太郎
いつのながら、上田早友里さんの異端者物語は面白い。
この短編集もどれをとっても外れなし。面白かった。
お薦めはすべてですが、特にといえば
「ゾンビはなぜ笑う」
「南洋の河太郎」
Posted by ブクログ
中短編10作
どこを切り取っても作者らしい解釈で、その世界観は唯一無二だろう
単に悲観的なだけではなく、そこにある人情模様というか、ベタベタするわけじゃないけど突き放さない、絶望の中に光を探す、そういうところが好き
Posted by ブクログ
独特で不思議な世界観を感じる短編集。
「化石屋の少女と夜の影」この最初の話からいつの時代のことなのか?と思いながら読み始め、短篇なのが少し物足りなく感じる。
表題作の「成層圏の墓標」は、ここ数年の危ぶまれそうな気象から考えられそうな未知の話のよう。
雨坊(アメボウ)は人間から記憶を吸い取り雲の中へ帰り、成層圏の地球保存領域は、人間の記憶を回収し、蓄積していく。
宇宙のどこかの惑星で、新しい知的生物を作る活動に必要な素材として、地球人の記憶が好まれる…などと、いったいどの世界のこと⁈と思ってしまう。
怪異として面白かったのは「車夫と3匹の妖狐」で明治時代に車夫として働いていた高祖父が、狐に命をとられそうになった話。
Posted by ブクログ
SF×純文、みたいなこの独特の読み口、とても好きなんだよなあ。
上田早夕里さんは長編よりも短編集のほうが好きかも。
忘れた頃にまた読みたくなる、そんな文章の作家さんだなあと思っています。
Posted by ブクログ
表紙からの印象とは異なり、SF短編集だったので少し驚いた。もう少し奥行きがほしいと思ってしまったが、現代の日常から時代ものまで、想像力の対象が割と幅広いのはよかった。