【感想・ネタバレ】となりの宮廷料理人 2のレビュー

あらすじ

闇バイトを通じて記憶喪失の冴えない中年男性・ゴンさんと出会った律。かつて宮廷料理と呼ばれたゴンさんとともに中華デリ「山東ダイナー」の活動を始めて、「俺はゴンさんと一緒に店をはじめるんだ」そう決意を固めたが――!?

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Posted by ブクログ

深まる謎と味
『山東料理』のヒューマンミステリー

第3の男の登場にざわめく2巻。

物語はますますスピード感が増しています。思いもよらないストーリーが展開され、彼らを取り巻く人間模様やドラマチックな出来事により、読者を楽しく弄んでくれます。

日本の食文化の1つである『あの業界』や、『別の中国料理』などの歴史や歩み、しきたりなどなども、杉本亜未先生ならではの切り口で深掘りされ、分かりやすく描かれており、興味深く学ぶこともできます。

主題である山東料理ほか、様々な料理の描写が素晴らしく、読み終える頃にはお腹がぺこぺこに。巻末の「とな宮レシピ」で作中の山東料理が作れるではないですか!次々に作ってみたところ、なんとも滋味深い味わい。食の細くなった病人がおかわりしたほどです。宮廷の人々の心を掴んで離さなかった魅力が分かる。何度も作って食べたくなる旨味です。

いつくかに枝分かれし、進んでいくストーリーは、さらに謎めき絡み合い、読めば読むほどに不安と期待が入り乱れます。失ったかと思っていた自分の中の喜怒哀楽のすべてが引き出され、感情の嵐が巻き起こる。

「悪い顔してたアイツが?」「正しそうに見えたあの人が?」見極める力を自分が試されているようにも思える。もしくは、「人は善し悪しでは括れない。多様な顔を併わせ持つ」という事も教えてくれる。(だから良い。すごくいい)

体や心に余裕がない時、孤独な心を抱えてしまうけど、細くなってしまった紐を手繰り寄せるように、少しでも誰かと共感し合い、誰かと支え合い、助け合うことができたら、ささやかな幸せを感じて、生きてることを楽しめるんだな、と、この物語が思わせてくれます。

1度読んだらやめられない。心と体に効く傑作。
笑って、憤って、泣いて、ホッと和む、そして食べる!生きるってこういう事なんだ。今最もおすすめしたい漫画です。

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2025年11月23日

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