あらすじ
幕末の暮らしを女性自身が書き残した日記から読み解く、歴史学入門書。ご近所との付き合い、飼い猫の一生、妊娠と出産、伝染病への対処、年中行事など、史料は高校までに学ぶ幕末の事件史とは全然違った細やかで豊かな世界を我々に見せてくれるだろう。用いるのは、滝沢馬琴の息子に嫁いだ路(みち)の日記、和歌山城下の質屋に嫁いだ峯(みね)の日記、和歌山藩藩校の助教の娘小梅の日記、河内国古市の商家の娘サクの日記である。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
江戸時代、幕末を生きた、庶民といえる女性4人の日記を取り上げ、当時の日常生活に迫る。
教科書等における男性中心の政治や事件中心の「歴史」とはまた違った、地に足の着いた歴史の断片が明らかにされていて、とても面白かった。
数え年による年齢計算だった江戸時代でも誕生日を祝っていたなどの知られざる事実もあって興味深かったし、著者が強調する、史料を読み込む面白さも感じた。
親類・近所も交え年中行事をとても丁寧にこなすといった今とは異なることや、親としての子どもに対する思いといった今とも共通することの両方があるなと感じながら、取り上げられた4人の女性の人生に思いを馳せた。