あらすじ
大家族で生まれ育ち、高校を中退してキャバ嬢をしていた天使(えんじぇる、本名)は、裕福な老人、光子の住むホテルで働き始める。長期滞在する孤独な老人たちが住むホテルで、光子に、天使は生きる術を教えてほしいと願い出る――。蓄財のノウハウを伝授され、天使の生活は少しずつ変わり始めるが、やがて世代が違うふたりの持つ過去と秘密が明らかになって――? 「天使のその後」を描く特別スピンオフ短編付き。
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Posted by ブクログ
老人たちが連泊を続けるホテルで清掃員をする主人公のお話。
主人公、天使は生活保護受給する両親のもとで生まれ育ちました。 両親はいわゆる毒親で、何の努力もせずに大人になった主人公が変わろうとする瞬間にも邪魔をしてきます。
この変わろうとしている最中に急に物語が終わったので驚きましたがお話は面白かったです。
独身の高齢者が賃貸契約がしにくい事があると聞いた事がありますが、こういった対策もあるんですね。
Posted by ブクログ
天使の出自の話とか、不動産の話とか面白くてワクワクした。けど、この作者の作品は基本的に、結局お金を貯めるにはまずは節約で元手を増やすっていう結論になるのが多い気がする。
Posted by ブクログ
「老人ホテル」
解説に寄ると、単行本と文庫版では結末が違うらしい。文庫版にはスピンオフとしてヒロインのその後の短編が掲載されている。これが何とも苦い。どんなに努力をしても、充分な成功者でも。振り切っても振り切っても逃げられない・捨てきれない・自ずと滲み出てしまうものを思う。そして、その象徴が「ファーストクラス・ラウンジ」での珍事(その後の事はある意味どうでもいい蛇足のようにさえ思う)というのは、作者の巧さが際立っていた。
しかし、ヒロインの光明となった光子もまた別種の毒親であった、という皮肉。ホテルの誰が金を?という疑心暗鬼の人間の闇。救いがないなぁ、と思う。
ヒロインは離婚になり(ヘタすっと慰謝料を請求されそう。夫は賢いし悪人でもなかろうが、ヒロインの境遇や心情を察せられそうな類の懐の深い頭の良さはなさそうだ)、裁判にもなるかもだが、状況は良い弁護士を雇うなどすれば再起不能とまではならないだろう。
光子のように奮起し、光を希望として全てを話せる誰か数名と関係を築き(逆に裁判となればヒロインの境遇を知る理解者が現れる可能性もないではない)、誰かを頼り、同じく誰かを助け、光子より穏やかに、ある意味平凡に生き抜いて欲しいと願っている。
「劣悪な毒親の呪いはどんなに努力しても3代までたたる」と個人的に思っている。それでも子が孫がその周囲が立ち向かわねばずっとアン・ハッピーエンドのままなのだから。