あらすじ
大家族で生まれ育ち、高校を中退してキャバ嬢をしていた天使(えんじぇる、本名)は、裕福な老人、光子の住むホテルで働き始める。長期滞在する孤独な老人たちが住むホテルで、光子に、天使は生きる術を教えてほしいと願い出る――。蓄財のノウハウを伝授され、天使の生活は少しずつ変わり始めるが、やがて世代が違うふたりの持つ過去と秘密が明らかになって――? 「天使のその後」を描く特別スピンオフ短編付き。
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Posted by ブクログ
ラストに賛否ありそうだけど私はかなり好き。
これまで無気力だった天使が光子との出会いを経て、生きることに貪欲になったのが感じ取れた。
前半の天使の心の声に共感しながらテンポ良く読み進められ、話が進むにつれ前進していく彼女に勇気を貰った。
天使だけでなく光子や山田のエピソードはきっとよくある話なんだろうと思いつつ、自分も天使と同じくこの世の中のことを何もわかっていないのでこの本を取っ掛かりに色んな仕組みについて学んでいきたいと思えた。
Posted by ブクログ
不動産投資のお勉強みたいな件はあったけど、特に読みにくく感じることはなく、すっと入ってきました。
何となく引っかかっていた部分を最後の解説でノンフィクション的に読み解いてくれたのも良かったです。
私は、盗んだ金で成功しても成功にはならないとして返金した結末が良かったと思った。けどまあ一度盗んでいるけど。
これは、やっぱり主人公のその後の成功を描くためには犯罪者にしておくわけにはいかなかったんじゃないかな。
Posted by ブクログ
天使が亡くなった光子のタンス貯金を一度取ったが戻したのに、警察の確認の際にはなくなっていたという最後の結末だけあまり腑に落ちなかった。
死んだらお金は無意味で相続する人もいないし、光子をを慕い、光子に最後の生きる意味を与えた天使はお金を貰ってもいいのではないかとも思ってしまった。あとがきを読んで単行本も文庫本で結末を書き換えたと書いてあった。
Posted by ブクログ
文庫本と単行本で結末が違う本に出会ったのは初めてでびっくり!わたしは文庫本を先に読んだし文庫本の結末がしっくりきたけど、みんなはどうなんでしょうか
最後、天使は誰に祈ったのかな。わたし的には、これからこのホテルでは働けないかもしれないという恐怖を、光子に認めてもらったんだから大丈夫という気持ちで必死に抑えようとする「自分自身への祈り」だと思いました
Posted by ブクログ
特に福祉などの文脈で「救済が必要な弱者が、助けたいタイプの人たちとは限らない」といったことが言われる。
老人ホテルに泊まっている老人たちも、主人公の「天使」や、その親・家族も、どちらも両極の意味で、それに当てはまる。
老人たちはお金を払うことで、老いという弱さをカバーしているけれども、人は最終的には「どうも一人では生活できない」領域に踏み込むことになり(少なくともそのケースが多く)、そのとき急に「弱者」としてどう助けを借りるかというのが大きな命題になる。
結局金かい、という気はするけれども、お金はひとつの有効すぎる解決策だ。
翻って、天使の一家はまさに、「救いたい気持ちになれない弱者」で、生活保護を受け、仕事に就いたらというプレッシャーから逃れるために、次々子どもを産み、「大天使」「堕天使」…とキラキラにもほどがある名前を付け、自分たち自身をテレビ局にコンテンツとして売りながら、怠惰に暮らす様子は、「なんで私が頑張った税金で彼らが救われているのか」みたいな気持ちがふつふつとわくし、ここをどう救い上げるのかが福祉の課題と言われると、難題すぎるだろうという気がする。
親がそうだったから、自活するだけの知識を持たない天使を、その悪循環からどう切り出すのかという話で、「なんでか知らないけどお金がない」ところからどう進めていくのかを一つずつ教えていくのはあまりに地道だ。
これだけ買うといくらになる。いくらしか残らない。こうすると節約できて貯められる。お金のかからない自炊。そして一歩ずつの投資。夢。
ここまで丁寧にするのは、“制度”では難しいのかもしれない。親から生活を学べなかったときに、誰かの熱意とか、親切とか、そういうものに頼るしかないなんて、なんて脆弱な。
地道に教えれば少しずつ改善できると思いきや、ラストでは「やっぱり人の根本的なところはなかなか変わらないのかも」と思わされる。それでも、次の一手を思いとどまった天使に、ここから先救いがあることを祈る。
Posted by ブクログ
天使と書いて「えんじぇる」と読ませるのはまだ良いとしても、堕天使が「るしふぁー」は子どもの名前としてあんまりではないかと思いました。天使と資産について教える光子のやり取りが主だと思っていたら、天使が経験したバラエティ番組のくだりがけっこう長かったです。長編で「まぁ、このまま天使はお金を貯めていくのかな」と思わせておいて、スピンオフで「罪からは逃げられない…」という暗雲立ちこめるラスト。そもそも天使はやってないのだから逃げちゃあかんだろう。明るいんだか、暗いんだか、分からない読み心地でした。オチは好みです。