あらすじ
薩摩と長州が同盟締結に向けて密かに動き出した。近藤(こんどう)の暗殺を目論む伊東(いとう)という内なる敵を抱えた新選組にとって、それはさらに強大な敵となるはずであった。その頃、伏見に再び坂本龍馬が現れたとの知らせが!彼を捕縛する為、沖田(おきた)率いる一番隊が出動。局長付のセイは待機を命じられるが!?
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Posted by ブクログ
この作品のお春のキャラクターはかなり好き。
兎角変人として描かれがちな彼女だけれど
現代の常識で言えばただただ至極普通の女の人だっただけだろう。
たとえば映画タイタニックのローズのような。
男勝りで新選組にも幕吏にも動ぜず、セイを助けにやってくる
という破天荒ぶりが微笑ましく、恰好良い。
彼女がひとり残されて泣く日がくると思うと悲しいが
それはセイちゃんも同じなのだな。
土方さんの幼少期の話は面白い。
基本的に史実通りで、変に美化しておらず
かと言ってただの女狂いとして描くわけでもなく、良いと思う。
あとがきで、自分はご先祖様いじりをしている、という言葉があって
とても共感した。
作家や歴史家には、まるで事実を見て来たかのように
「彼はこうだったから」と、その子孫の方に偉そうに話す人まで時にはいて
私としては不快なことがときどきあるが
基本的に、事実を知っているわけでもなく子孫でもなんでもないのだから
先祖いじりであって、そのあたりの謙虚さは
いくら史実を調べて知った気になっても、持ち続けているべきだと思う。
その点でも筆者の立場や考え方は非常に好き。