【感想・ネタバレ】ヒトとヒグマ 狩猟からクマ送り儀礼までのレビュー

あらすじ

生態系の頂点に立ち,近づきがたい野生動物ヒグマ.ヒトはいつどのような進化をたどってユーラシア大陸でヒグマと出会い,なぜ文化的に共存することになったのか? ヒグマの動物学的・生態学的な特徴から説き起こし,時代と地域を超えた進化上の展開を追い,クマ送り儀礼に見る人間と自然との豊饒な文化の意味にまで迫る.

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Posted by ブクログ

ネタバレ

今一度、ヒトとヒグマの関係史を知っておかなきゃなと思って手に取ってみた。

生物学、動物地理学、文化人類学、神経生理学、ありとあらゆる観点から、人とヒグマの関係を考察して面白かった。
特にユングの心理学を用いた、ヒグマの生態と人間の心理構造の相同論は新鮮に感じたし、説得力があった。
自分はヒグマに信仰的な思いを持っているわけじゃないけど、確かになんとなく神聖な感じはする。だって生態系で一番強いから。なので自分は序列的な問題でひよっているだけかもしれないが、一方、本書ではもっと筋の通った説明がなされている。冬眠をするヒグマは、覚醒=生、冬眠=死とおのずと結びつけられた。やがて生と死のシンボルと見立てられて、神聖なイメージが生まれていったという。
いずれにせよ、「なんとなく凄い感」が、ヒグマへのユング的無意識を刺激し、信仰につながったのだろう。そして信仰は人々の結束を強めて、やがて文化を形成していく。なので、集団的な無意識にある「なんとなく凄い感」は、文化の礎の一つになっているかもしれない。

また本書では、ハードパワー(=軍事力)とソフトパワー(=文化交流)について繰り返し述べられている。現代は目に見えてわかるハードパワーの時代で、先行きの閉塞感がただならない状況にある。
しかし、これも一つの文化とも言えちゃうかもしれない。だって「なんとなく凄い感」があるもの。でも「なんか嫌だ」「なんか怖い」というネガティブな無意識反応の方がずっと自然だ。軍事力は人間の結束を強め、一つのれっきとした文化だ、なんて口が裂けても言いたくない。不倫は文化と言ってるようなもんだ。どっちも気持ち悪い。
どうして気味の悪さが働くのか。その示唆となる考えも本書の中に書いてあって、噛み砕くなら、自然と人間の対称性が崩れるから、と言えよう。ヒグマが文化として成立したのは、人間がでしゃばらなかったから。ヒグマは狩るけど、その分自然を尊敬して、あくまでも対等であろうとしたから。
軍事力の気持ち悪さは、きっと対等な関係を見いだせないからなんだろう。強さだけを追い求め、弱者を圧倒する。不平等も甚だしい態度だ。対等を重んじるソフトパワーこそ、これからの時代に求められる素養なんじゃないかな。

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2026年01月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

羅臼岳で東京の会社員が下山途中にランニングしていてクマに襲われた事件の直後である。クマに襲われるということはあまり書いてはなかった。クマと文化について、特にツキノワグマよりもヒグマの神祭りの関係が丁寧。
 北大での授業の記録である。

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2025年08月22日

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