感情タグBEST3
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「蜩の声」(古井由吉)を読んだ。『除夜』『時雨のように』の 匂い立つエロティシズムに鳥肌がたち、『尋ね人』の寂寞感に打たれる。とにかく古井氏の紡ぎ出す濃密な言葉の連なりに圧倒され、時々息を詰めて読んでいる自分に気付く。喧騒の中での一瞬の静寂感をつきつめるその感性が胸を打つ。
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「現代日本純文学最高峰の作家の一人」言われる所以が分かる気がする。難しい、ゆえにレビューしようがない
商品説明の「対極のあわいを往還しながら到達するさらなる高み――。記憶の重層から滴る生の消息。震災をはさんで書き継がれた言葉の圧倒的密度。」に尽きる。初期の頃と比べ文章が洗練されて簡潔的になってはいるものの内容は同等の濃密さ。作者が書く作品は文字通りの文学だと思う。
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こういう文章がとても好きだ。
現実と幻想の狭間で言葉があふれかえるようでいて
落とされるべき場所に落ち、落ち着く言葉。
湿った男女の情感も廊下の徘徊も子供の背中も
しんとした湖の底を覗きこんで見ているような
いつまでも覗きこんでいたいような気持ちにさせてくれる。
Posted by ブクログ
連作8編を収めた短編集。どれも季節の移ろいに合わせ、日常の中に過去の記憶が浮かんでくる。
主人公はたいてい家の中にいて、そこで思考が奔放に駆け回るうちに、季節感や周囲の環境と身体との境界がどんどん曖昧になっていく。
さらに、気がつけば現在と過去の記憶も曖昧になっていく。
その曖昧さを表出させるのは研ぎ澄まされた聴覚と嗅覚であり、特に匂いに対する感性の鋭さは凄まじく、そこから透明感のある官能が発せられる。
匂いの密度が濃さは文体に依るものであろうが、正直まぁちょっと読んでて疲れちゃいますな。
Posted by ブクログ
私の読書不足というか読解力のなさというのも相まって、読むのにえらく時間を費やした。
霞の中をたゆたうような気分にさせられる文章だった。
私が持っている辞書には載っていない単語も多く、難解だった。
Posted by ブクログ
五感、特に匂いにかんする描写がとてもきめ細やかで香り立つような文章。現在と過去が交錯する、主人公の記憶の世界。老いるということは自己と他者、身体と環境などのあらゆる境界が曖昧になってゆくことなのか。年をとってから再読してみたい本。