あらすじ
著者がコペル少年の精神的成長に託して語り伝えようとしたものは何か.それは,人生いかに生くべきかと問うとき,常にその問いが社会科学的認識とは何かという問題と切り離すことなく問われねばならぬ,というメッセージであった.著者の没後追悼の意をこめて書かれた「『君たちはどう生きるか』をめぐる回想」(丸山真男)を付載.
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Posted by ブクログ
貧富の差によって人間の優劣は決まらないと思うし、お金を持っていなくても尊敬するべき人間は山ほどいるのだと思う。人間同士本当に相手のことを思って愛し合うということは、見返りを求めない好意の積み重ねだと思う。私は概ね、叔父さんと似た価値観を持って生きてきた。
けれどこの歳になって、自分と全く正反対の価値観を持つ人と会い、やっぱり自分は未熟だったから、受け入れられなくて、自分から離れてしまって、そしてその日から今までずっと考え続けている。
正しさとは一体何なのか。貧乏なんかにはなりたくないと、自分はお金持ちになることに執着するなんて、馬鹿げた考えだと思った。自分よりできない人に手を差し伸べるのではなく、なんでこんなこともできないんだと一笑に付すなんて、どうしてそんなに心が冷たいんだと叫びたくなった。でも、そんな世界で今まで、負けないように頑張って生きてきたんだねと、認めてあげることもできたのではないか。正しさと正しさの衝突が戦争なのだとしたら、相手の考えを間違っていると断定してしまうのではなく、そんな世界もあったのか、そんな世界で頑張って生きてきたのはさぞ大変で、切なかったろうねと、寄り添う力こそが自分には必要だったのではなかろうか。
大人になると、コペル君のいる場所よりもより広い場所で生きなければならない。生きることがかなり複雑になってくる。それと共に、どう生きるかもかなり難しい問いになってくる。ただ、自分はこれからも今まで自分なりに培ってきた倫理観で、周りの人たちを大切に思って生きていける自分でありたい。そしてその倫理観を分かち合える人々が、周りにいてくれると良い。
残念ながら自分は人類の進歩に結びつくような英雄的精神を持っている訳では無い凡人中の凡人ではあるけど、いろいろな考えを持つ人に接する中で、できるだけ学び取り、考え、自分というものを見つめ直しながら、生きていきたいと思った。
Posted by ブクログ
中学生のコペルくんが体験する身近な事象→社会の仕組みの流れで書かれていて小難しい社会論がスッと入る。ただ、それでも難しいから再読必須。盧溝橋事件だったり、日本も世界も混沌の中書かれた本であり、その背景が垣間見える。正直そんな古い本と知らずに読んだのでびっくりだけど、核になるものはこんなに時代が移ろいだ今でも変わっていない。
一章で一作品書けるのでは?と思うくらいとても濃い内容。考えさせられるけど、すぐ忘れちゃいそうでもったいないので都度アウトプットする。
1
-自分を中心としてものを見たり考えたりする性質があることを理解する。
-そんな考え方をしてたら、世の中のことも本当のことも知れない。→地動説にしがみついてたら天動説は出てこない
2
-たくさん経験していく
-感じたことから自分の思想を知る
3
-見えないところでいろんな人と繋がって生きている。人間通しの争いが起きるのは、人間らしい関係ではない。見返りを求めず好意を尽くすそんな関係ができたら、、
4
-自分、他者に対しての尊厳の気持ちをもつ。(身分だったり外的要素で判断しない
-自分の境遇に感謝をしたい
-自分が生産者として社会に貢献できることを探す、実践したい
5
-どんな英雄も川の流れの一瞬。どんなときも流れに逆らわない。
Posted by ブクログ
叔父さんのノートブックからは、大人になった私にまだ欠けていた事を教えてもらいました。大変恥ずかしくもなり、コペル君と一緒に成長させてもらいました。
叔父さんのノートブックでは、人間同士が敵対することは痛みや苦しみを感じる事なのだから、それは人間の本来の姿ではないといいます。本来は人間同志調和して生きていくべきなのだといいます。なのに現実世界は戦争があり、憎しみ合いが尽きません。
コペル君はこういった人間世界の矛盾に気がついたからこそ、自分がこれからどう生きていくのか、なんとなくわかり始めたようでした。
最後に問われたあの言葉で、既に大人になってしまった自分は、今までどう生きていたのかな?これからはどう生きるのかな?と自問するよい機会になりました。
コペル君と同年代の中学生にぜひ読んでほしいです。
私も若い頃に呼んでおきたかったです。
とても良い本だと思います。