あらすじ
一八七〇年ウィーン、理想の音楽を希求するベルンシュタイン公爵は、音楽を絶対的な快楽に変えるという麻薬〈魔笛〉の流行を知る。ある画期的な技術を売りにした舞踏場との関わりを調査する公爵は、〈魔笛〉と〈音楽機械〉をめぐる謀略の渦中へ……虚実混淆の西欧史を舞台に究極の音楽を幻視したデビュー長篇。
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Posted by ブクログ
緻密な音楽SF、ファンタジー、ミステリー?
ある程度の音楽知識がないと読み進めるのが難しいかもしれないが、知らなくても十分に楽しめるストーリー性はある。
ブルックナー存命中のヨーロッパ、フランスはナポレオン3世が失脚した第三共和制時代なのに、音楽機械とかメモリとかの言葉が頻出する不思議な世界観。
無賞のデビュー作。このクオリティを持続させるのは難しいのではないかと思うが、次作も読んでみたい。期待大。
Posted by ブクログ
ブルックナー教授大活躍ですよ。おまけに近代ヨーロッパのおいしいとこ取り。クラシック音楽+スチームパンク、最高ですね。
音楽SFという素敵なジャンルがあるとは知らなかった。これは「分かる」どころではなく、最初から自分の中に広がっていた世界だったりする。
Posted by ブクログ
書籍が商業である故の弊害か、或いは流されやすい自身の性格由来か、売る側の位置づけと、実際に読んで得る位置づけとが大きくずれていて腑に落ちない結果に終わるというパターンが最近多いように思う。音楽「SF」と呼ぶには少しお粗末で、ただ此処には、過去も現代も混ぜた「音楽」とそれに取り憑かれた人々が在る。
ラストに至るまでの緊張感も、最終的な展開も、Jコレクションで刊行されているものと比べしっかりしていて、もしかこの人の作品の中では一番好きかもしれない。キャラクターとしてはエオンが不動の一番だけど。
映画化するなら、ジュノリアクターかアヴェンズ希望。というか、今作をテーマとしたコンピレーション希望。オーケストラあり、パイプオルガンもあり、テクノもあり、アシッドトランスもノイズロックもピアノも何でもありの。大沢さんとかジオーブがさりげなく居たりして。
Posted by ブクログ
1870年、ナポレオン帝国が力を失ったヨーロッパ。
ウィーン音楽家達の間で密かに流行している麻薬『魔笛』。
ベルンシュタイン公爵は魔笛の特徴が、戦時中に開発させたものの
精神に重大な後遺症を残し、やがて廃人になることがわかり
すべてを廃棄したはずだった『イズラフェル』に酷似していると気付く。
魔笛の流行と重なるように出現した舞踏場:プレジャー・ドーム
プレジャー・ドームの常連客に多い中毒患者。
ベルンシュタインに預けられた音楽にしか反応しない
ミューズ(舞踏と合唱叙情詩の女神):マリア。
才能がありながら認められないウィーンフィルの若き指揮者フランツ。
相次ぐ音楽家の失踪と怪死。
『機械の音楽(ムジカ・マキーナ)』とは?
廃棄されたはずの魔笛(イズラフェル)の出所は?
巧みに仕組まれ、細部にわたって計算され
綿密に施された精巧なカラクリ・・・
音楽に憑かれた人達が、究極の音楽を求めた結果、
それぞれが導き出した結果は・・・
途中、説明がくどいところが結構あるんだけど
音楽を体感してる状態を活字にするにはしかたがないのでしょう。
478Pの長編ですけど、苦にはならないです。
途中、グロイ描写がちょっとあります。
苦手な人の為に一応・・・
最初は文章に慣れるのにちょっと手こずったけど
一気に加速しますから大丈夫です♪