あらすじ
人が本を読まなくなったという。それでいいのだろうかと怪しむ。――経済界随一の本読みである著者が、人生を豊かにする読書の魅力とその意義を、滋養に満ちた言葉で綴る。
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Posted by ブクログ
資生堂名誉会長の著者による、読書について論じた本。
著者が幼いころからどのように本に接して来たかから始まり、影響を受けた本の紹介、読書がいかに重要か、そして現代の本・出版を取り巻く問題点まで、内容は多岐にわたる。
影響を受けてきた本の章では、ガレア戦記や方丈記等の古典、陰影礼賛などまで、厳選された数々の本を紹介している。単なる紹介ではなく、その本を読むことの重要性や、その本の中の名文などが語られ、本当にその本に慣れ親しみ、愛読していることがわかるのだった。
著者の書く文章も平易だが洗練されており、知性の高さをひしひしと感じた。
以下、一点だけ引用。
”私は、教養とは、情報(データ)や知識(インフォメーション)が元の形のまま集積したものではなく、人間という入れ物の中で知性(インテリジェンス)に変換された人間性の一部ではないかと考える。 では、人間の本質を見極めることがなぜ必要なのか。それは自分の中に、ぶれない軸を作る必要があるからだ。”