【感想・ネタバレ】川の名前のレビュー

あらすじ

菊野脩ら小学五年生三人は、自分たちが住む地域を流れる川を、夏休みの自由研究の課題に選んだ。そこにはそれまで三人が知らなかった数々の驚きが隠されていた。少年たちの行動をとおして、川という身近な自然のすばらしさ、そして人間とのかかわりの大切さを生き生きと描いた感動の傑作長篇。

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夏休みの自由研究に野生のペンギンの観察をする。それだけ聞くと荒唐無稽ですが、そこにリアリティという説得力を持って来るのがこの作者のすごいところでしょうか。
夏と少年の物語。少年たちはそれぞれ家庭の事情があり、越えるべきものを抱えている。重苦しくなく軽やかに、それぞれの挫折と成長が書かれています。子どもだからできないこと、子どもだからこそできること。大人の関わりは干渉となり手助けとなり。はじめ小学5年生という設定はこの物語のテーマに対して幼いのではないかと思いましたが、その幼さがもつ無茶が起爆剤として素敵に作用していました。
物語の内容についてはここでは書きません。何故なら読んで欲しいから。作品のタイトル『川の名前』は実にこの物語を表わす言葉なのですが、なかなか手に取ってもらいにくいだろうなとも思います。少年たちの煌めきに共鳴できる、そんな作品だから大人にも子どもたちにも読んで欲しい一冊です。

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2017年09月19日

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【あらすじ】
菊野脩、亀丸拓哉、河邑浩童の、小学五年生三人は、自分たちが住む地域を流れる川を、夏休みの自由研究の課題に選んだ。そこにはそれまでの三人にとって思いもよらなかった数々の驚くべき発見が隠されていたのである。ここに、少年たちの川をめぐる冒険が始まった。夏休みの少年たちの行動をとおして、川という身近な自然のすばらしさ、そして人間とのかかわりの大切さを生き生きと描いた感動の傑作長篇。

【感想】
面白かった。

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2010年01月06日

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良いよ、なんか。多分著者と自分の考え方が近いんだろうなって思う。夏のロケットの時も思ったのは知識のすごさ。今回も多摩川水系の歴史的な話から始まってペンギンの生態他とても詳しく調査したことが感じられた。夏のロケットのロケットに関する知識よりもやはり生態系の知識の方が自分には受け入れやすいんだなって実感し、納得もする。この著者の作品を好むことに対して哀愁的な現実逃避とか言われがちだ。確かにそう考える向きもわからないではない。でも、いつまでも子供でいたい自分にとってはこうした主人公に若者を使ったとても受け入れやすいテーマなのだ。哀愁的であることは悪いことではない。変化するだけが発展ではないわけで。ただただ、変わらなきゃって感じで過去を清算せず切り捨て、前だけを未来だけを見つめる
ことを前向きと呼びあたかも絶対的な善とするような風潮がある。でも、成功体験を踏襲し、過去の反省を活かしてこそ素晴らしい成果が待っていると思うのだ。

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2009年10月04日

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手放しで絶賛します!すごく面白かった。 

両親が離婚して、世界中の自然を撮影するのが仕事の父親と暮らしているためひとところに長く居られない小学生の男の子が主人公です。

発達障害の妹がいるゴム丸、物静かで内向的な河童、文武両道でちょっと憎たらしい手嶋、謎の呪文のような言葉を叫んでは校庭で喇叭を吹き鳴らす喇叭爺、と、登場人物はみんな魅力的。

タイトルの「川の名前」は、自分の暮らす場所を、行政が勝手に引いた県とか区とか市とかの人間が後付けで勝手に作った呼び名ではなくて、元々自然にある川、どこの海に流れるどこの水系の川で、表そうじゃないか!、という、生物学の岸由二教授が提唱した考え方だそうです。

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2011年01月08日

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ネタバレ

【動機】
川端裕人さんにて未読だったため

【内容】
小学五年生の少年たちの川をめぐる一夏の冒険。
鳳凰池にやってきたペンギンの家族たちを中心に巻き起こる様々なできごとと、少年たちのアイデンティティの話。

【所見・まとめ】
この作者の小説が大好きで、当時大学の学部を決めたのも『リスクテイカー』という小説を読んだことがきっかけ。
本小説もとても面白かった。

ドキッとしたのはタイトルにもなっている「川の名前」の概念。
自分がどこに立っているのか、どこから来てどこへ行くのか、そしてどこに帰るのか、そんなことを考えたことは一度もなかった。
普段使用している住所が人間が作ったもので、街とか番地でしか自分の居場所を表現できないとか、気にしたこともなかった。いわんや、自分がどの川の流域にいるなんて、をや。
自分がいかに好奇心が欠如しているかわかる。考えているつもりでも、欠けている。自分のことについても、周りの環境についても。

川は海となり、世界へつながる。
自分がどこのカワガキなのか、わからない。わからないまま旅をしているのかもしれない。
これまで獲得したと思っていたアイデンティティと居場所は本物か?自然か?そんなことを考えてしまう小説だった。

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2020年02月24日

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川端裕人の初読み。
児童文学かと思いながら手にとってみた一冊。

冒頭。
恐竜を発見?うん、やはり、ファンタジーだね・・・と思いきや、読み進めるとすぐに、そうではないと分かる。

青春モノ・・・と呼ぶには登場人物たちは幼いし、少年達の冒険譚と言い切るには、リアリティもあるしテーマ性も深く感じる。
・・と言いつつも、この物語を一言で表すならやっぱり、「少年達のあるひと夏の冒険」ということになるのだけれど(笑)。

子を持つ親としてはありえない冒険だけれど・・・・最後の大冒険はやっぱり「トンデモ」に違いは無いけれど、そのバックボーンとなる事前設定は示されているので、そんな「トンデモ」な展開にもそうそう大きな違和感はなく物語に没頭できる。少年期特有の悩みと、友情、苦悩からの脱皮など、忘れかけていたような懐かしい気持ちをたくさん蘇らせてくれるこの本を、声を大にして「名作だ」と呼びたい。

大人にも子どもにも読んでほしいと思える一冊。
活字の苦手な子どもでも楽しめるように、映画かアニメかになって、より多くの人の目に触れてほしいと思った作品。

★4つ、9ポイント。
2016.11.07.図。

※夏休み終盤の風物詩となっている(?)皆が紫のTシャツを着込んで24時間生中継する番組って・・・(笑)。

※カルガモ親子の行進、矢ガモ、玉川のアザラシ・・・現実世界でも似たような騒動は何度か目にしてきたが、その裏でも実は、本作で描かれたような報道モラルを問われかねない問題が勃発していたのかもしれない、と思ってみた。


※自分の「川の名前」は、何だろう?
「寝子屋川」かな、「荒川」かな。

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2016年11月07日

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小学5年の夏休み。たぶん子ども時代の最高峰。
この黄金の時間を、川を切り口にしつつ、個性的な男子3人組+優等生+奇妙な爺さんを軸にして、オカルトもファンタジーも一切ぬきで奇跡的な物語に仕立て上げた作者すばらしい。
自然の描写、川というものに関する深い考察、カヤック競争の様子、美味しいネタをハゲタカのように漁るマスコミ陣のありさま、いずれも膨大な資料や知識を元にしていると思われ、たいへん好感が持てた。
子どもたちの内面も丁寧に描かれていて、やはり良い感じ。5年生といえば、ちょうど自我が主張を始める頃で、自分の「こうありたい」気持ちと周囲からの視線との齟齬に気づき、いろいろ悩むものなのだ。
面白くて魅力的な男子がそろっているが、なかでも鳳凰池の主っぽい風格を持つ「河童」くん、最高。

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2016年09月28日

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多摩川の支流の支流の小さな保護池でひっそりと暮らすペンギンの夫婦を発見した少年達が、夏休みの自由研究で彼らの観察をする事を思いつく。平和に思われた日々もある時にエサを探して狩りに出た雄ペンギンを見た人からマスコミに漏れ、一大騒動に発展するのだった。

少年たちが輝いてい過ぎて、自分の青春とはかけ離れていますがそれでも川に惹かれて、自分たちの居場所と自然をリンクさせて飛び込むあたりは自分の中にもあるものだったので共感しました。野田知佑氏の提唱するカワガキを増やす運動にまさに通じる所があり、自然の未来を明るくするためには、自然を好きな大人を養成していくしか方法は無いんだと思います。

この本はある意味物語性よりもその辺りの啓蒙要素が多い気がします。僕は好きですが人によっては説教臭く感じるかなあ。

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2016年06月29日

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割合ファンタジーぽいのかと思ったら、意外にしっかりした内容。

小学生のとき、こんな夏過ごせたら楽しいやろな~。

ゴム丸も河童も手嶋もどんどんいいキャラになるし。
微妙な年頃の感性を捉えた感じで読み応えあった。

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2012年06月26日

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主人公が川でペンギンを見つける。ペンギンの観察を通して、川について知り川餓鬼になる。面白い。作中に出てくる桜川は創作らしいけど、ウチの近所にある野川などが出てきて話が身近の感じられたのも大きい。自分も常に側には川があったなと感じられた。

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2011年11月08日

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小学5年生の彼らは夏休み直前、
街中の川であるものを見つける。
やがて彼らの冒険は小さなものから
大きなものへ、そしてその夏は
彼らを大きく成長させる夏になる。
自然と人間との微妙な距離感を
描きつつ読み手に過ぎた時間を
振り返るきっかけをくれる作品。

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2011年08月27日

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今まで川の近くに住んでいたのに、まったく川に対して関心がなかった。しかしすべての川は海につながっていて、海は世界とつながっているのだと、当たり前のことがとても実感できた一冊です。

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2011年02月09日

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 良いなあ、川端裕人の小説は。きちんとし過ぎて物語の迫力はないけど、しみじみとしてて。
 海や山も良いけど、やっぱり夏休みは川だね、なんてね。そうか、川は世界にそして宇宙まで繋がってたのか、なんて妙に納得。
 ただ、途中、知識自慢みたいな部分が鼻につくのが、どうやら川端小説の弱点のような気がする。それと長いのもね。なので、次々と読む気になれないのが、とっても残念。

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2009年10月04日

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菊野脩、亀丸拓哉、河邑浩童の、小学五年生三人は、自分達が住む地域を流れる川を、夏休みの自由研究の課題に選んだ。そこにはそれまで三人が知らなかった数々の驚くべき発見が隠されていたのだ。少年たちの川をめぐる冒険がはじまった。身近な自然の中で川が指し示す「今ここ」と、見果てぬ「遠い未来」への夢を描いた、感動の傑作長篇。

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2010年05月24日

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ネタバレ

とんでもないことをしでかす小学5年生がいたもんだ。
あまりに危険で、あまりに常識はずれだが、羨ましさを感じるところもある。一つの川の近くに暮らす人々、それを取り巻く人々。あるものは、ペンギンを保護しようとする。あるものは、ペンギンをお茶の間の話題のタネにショービジネスのネタにする。また、あるものは保護するでもネタにするでもなく、真剣に向き合い、自分の生まれや未来について、世界について思いを馳せる。
川は同じなようで刻一刻と変わり続けている。そして、自然の中に生きる人間もそうである。ペンギンという小さな存在が、人生を大きく変えていく。
世界に出ようとするということは、自分の足元を固めることでもある。この本に出会えて、自分の足元をしっかりと見つめることの、大切さを知った。

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2023年10月15日

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まあこれも、少年文学の王道にのってはいるけれど、ちょっと少年には難しいなんやかやもあるのかなあと思ってみたり。

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2014年10月10日

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正しいことは常に正しいとは限らない。自然界と付き合うには、自然界のやり方に従う。正義感なんて、一つの個人的主観に過ぎない。本当に相手のためになること、それが他の相手にどう影響あるか。近郊を破るにはそれなりのリスクがあるよね。

なんて、そこまで深い話ではないですが、自然との付き合い方みたいなものをこの本が少し教えてくれます。子どもは自然と戯れて、自然の良さを知るのです!

子どもが主人公なので、大人、特に親が悪者になりがちなのと、クール優等生キャラがどうも親しめないのが、読んでて微妙だったりするのですが、まぁ、それは個人の感想。ストーリー全体としては、テーマがしっかりしてて読みやすいです。

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2012年03月08日

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久々に『手に汗握る』YAを読んだ! ずっと低音域を這ってゆくようなものばかり読んでいたので、ああこれだよなあひと夏の冒険はこうでなきゃ! と思った。小学生の夏休みにぜひ。

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2012年02月26日

Posted by ブクログ

ぐんぐんと物語にのめりこまされてしまったお話です。そうだ、国家の前に地域だ、自分の存在する地名だ!と言う発想が面白い。そして4人の少年たちが本当に生きて存在しているような少年たちなのでほっとします。カワガキ!これからも存在して欲しい存在です。

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2009年10月07日

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