【感想・ネタバレ】フードテックで変わる食の未来のレビュー

あらすじ

2040年の食生活、食産業はどうなっているのだろうか。AIがサポートしてくれるため、経験の浅い人でも失敗しない都市農園が普及し、食料自給率対策の一つになっている(すでに現状、ロンドンには3000箇所以上の都市農園があるという)。さらに家庭内にも、野菜や穀物を育てる栽培庫ができ、採れた食材は3Dフードプリント機能付き家庭用調理ロボットが調理してくれる(現在、植物工場スタートアップのプランテックスは生育状況をかなり精緻に制御する技術を持ち、スーパーマーケット用などに巨大な植物工場コンテナを手がけている)。日本の食産業における変化としては、各地方ごとに循環型経済を実装する「マイクロフードシステム」が構築されている。また「シン輸出拠点」も設置され、冷凍装置や粉体化装置など、世界中に輸出できる設備が配備されている(冷凍技術の進歩は目覚ましいものがあり、将来は生ケーキやお弁当を輸出できるかもしれない)。著者は本書の第3章で、このような未来シナリオを7つ提示している。本書の「未来シナリオ」は、現在すでにある技術の延長線上にある未来をシミュレートする「未来予測」とは異なるものである。未来のある時点において、社会や生活者がどのようなニーズを持ちうるのかの洞察、技術や社会環境の変化の予測と根拠、社会として人類として大事にしたい価値や哲学という観点から考察を進めた上で、解像度高く絵や言葉に落とし込み、ストーリーとして編集したものだ。本書では、食に関するプレーヤーの間での「共創」を生み出すための事業を展開している企業「UnlocX」の二人が、第1章で過去5年間に変貌を遂げたフードテックの最前線、第2章で「サステナブルからリジェネラティブへ」という未来を考えるための大前提について解説したあと、上述の「7つの未来シナリオ」を提示する。その後第4章で、この未来シナリオを社会実装するための「新経済モデル」について語り、第5章では、食品メーカー、銀行、大学、メディアのキーパーソンを招いて、7つの未来シナリオについて徹底議論する。最後の第6章では、本書の総括として、日本発で日本の強みを活かした食の未来をどのように共創していくのか、今、どのような取組みが動いているのかについて考察する。巻末には、本書で登場する注目すべきスタートアップやプロダクトなどを解説した。食の未来を構想する視野が圧倒的に広くなってワクワクするとともに、明日から始められる具体的なビジネスのヒントが満載の一冊である。

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Posted by ブクログ

フードテックで変わる食の未来
著:田中 宏隆 ・ 岡田 亜希子

著者は、フードテックを、狭義では食のシーンにデジタル技術(特にIOT)やバイオサイエンスなどが融合することで起こるイノベーションのトレンドの総称としてきた。フードテックとは、何か特定の技術というわけではなく、食に関わる無数の技術の集合知とも言える。デジタル・AI時代だからこそ、過去の匠の技や知恵も含めて今の時代に再定義していくものである。

テクノロジーは進み、未来は変わる。受動的に受け止めるだけではなく、未来を共に描き続けること。主体的に関わること。食の未来に関係ない人は誰もいない。多くの人が、食の未来を共創することに関われるような社会をつくっていくことに挑戦したい、そんな強い想いを根底に本書は以下の6章から構成されている。
①変貌を遂げたフードテック
②食の未来を考える大前提
③2040年の食の未来シナリオ
④未来シナリオ実現は新経済モデルと新産業共創がカギ
⑤食の未来を実装するために必要なことは?
⑥日本発でつくりたい食の未来を共創するために

フードテック業界のみならず、AIの劇的な進化により、多くの産業が様々な変化を遂げている。その波は最先端で進んでいる「スタートアップ」にも及び、さらにその変化のスピードに合わせてチャンスも増大している。

本書では、最先端のフードテックを学べるだけではなく、いわゆる森である、技術・産業の変化と今の情報を得ながら、その中からフードテックの最新情報を伝えてくれている。そして、世界の中での日本の状況や、過去から今後起こるであろう近い未来と少し先の未来についても、日本だからこそ活躍できる勝ち筋等を提示してくれながらリスクの中にも希望を見出しながら学び読み進めることが出来る。

広い領域である「フードテック」
日本人の特性が武器となり、世界でも戦える領域でもある。
複合的な概念の集積が鍵を握る。多くの「個」「企業」が手を取り、国策としてのバックアップも必要とも言える。日本の明るい未来を切り拓くきっかけは「フードテック」領域なのかもしれない、

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2025年09月13日

Posted by ブクログ

持続可能な社会のため、食の分野でどんなことが起こるのか… 本書は、今出てきている食に関するトピックを交えつつ、2040年に起こりうることを7つ取り上げている。

AIが自然になっている中で、よりパーソナライズされつつ共有もできるというのは、食の持つ楽しさを考えたときに個人的に良いなと感じた。 健康や安全安心という面から、今自分が関わっていることはどんな風に絡んでいくかと考えながら読んでいた。
本書は安全より安心が先に出てきたりで、希望先行な面が強いと個人的に思うが、ある意味熱量とも言えるし読んでいて著者達の思いは伝わってきた。

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2025年11月22日

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