【感想・ネタバレ】自己肯定感は高くないとダメなのかのレビュー

あらすじ

自己肯定感は、日々葛藤しつつ生きていくことで少しずつ高まるもの。成長途上の若者が自分はまだ未熟だなと思うのは自然な事。ほめたらのびるものではない。高校生の7割が「自分はダメな人間だ」と思うことがあるという。そもそもどのようにして測定されているのだろうか。その心理メカニズムを解明すると、何を鍛え、何を高めればいいのか、本当の自己肯定感を育む方法が見えてくる。 【目次】第1章 自己肯定感っていう言葉を最近よく耳にする/第2章 日本の若者は自己肯定感が低いって言われるけれど……/第3章 自己肯定感はどのように測定されるのか?/第4章 ほめられても真の自己肯定感は高まらない/第5章 ほんとうに大切なことに目を向けよう

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Posted by ブクログ

自己肯定感を高めることばかり言われていることがまちがいであることを、欧米との文化差として日本人の謙遜や自己向上力、自己価値感情、コミュニケーション力など多くのことや著者自身の調査から明らかにしている。
 引用文献が全く書かれていないので、学生がそのままこれを利用して卒論を書くことができないのが残念である。

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2025年11月13日

Posted by ブクログ

【目次】

はじめに

 1.自己肯定感っていう言葉を最近よく耳にする
自己肯定感を高めようという働きかけへの違和感/自己肯定感の低い自分はダメなのか?/ほめられても自己肯定感が低い自分はおかしいのか?/自分に満足できなくなるのは心の成熟のしるし/自分の現状に満足できないからこそ成長できる

 2.日本の若者は自己肯定感が低いって言われるけれど……
国際比較によれば日本の若者の自己肯定感は極端に低い/ここで浮上する三つの疑問/海外と違うと日本に問題ありとする図式が問題/データを真に受けることで気持ちが萎縮してしまう/なぜ日本の若者は自己肯定感が低いのか/文化の違いに目を向ければ謎が解ける/他のデータと照らし合わせることで見えてくるもの/自己コントロールできる日本人、できないアメリカ人/自己肯定感の得点が低くてもまったく問題ない

 3.自己肯定感はどのように測定されるのか
自己肯定感という言葉のあいまいさ/自己肯定感って何だろう?/自尊感情という言葉の意味/自己肯定感はきわめて主観的なもの/自己肯定感には向上心も含まれるべき/自尊感情はこのように測定される/自尊感情尺度には文化的要因が反映されない/自己肯定感尺度の開発と自己満足の意味/国際比較調査における自己肯定感のとらえ方/自己嫌悪は向上心のあらわれでもある/自分に満足できない心理についての理解が救いになる/国際比較調査のデータが意味するもの/自己肯定したがる欧米人、周囲に溶け込みたがる日本人/自己肯定感の高め方は文化により異なる

 4.ほめられても真の自己肯定感は高まらない
ほめる教育・ほめる子育て全盛の時代/欧米の親や先生はほめ上手と言うが……/ほめる教育・ほめる子育てで自己肯定感は高まったか?/なぜほめても自己肯定感が高まらないのか/「なぜ先生は叱ってくれないの?」/ほめる教育・ほめる子育ては他人の評価に依存する心をつくる/自己肯定感は安定的なものであるはず/できれば上がり、できなければ下がる、それは自己肯定感とは言えない/心理学の世界における自己肯定感の安定性についての議論/ほめられてばかりではメタ認知が機能しなくなる/ほめるばかりでは自己コントロール力が身につきにくい

 5.ほんとうに大切なことに目を向けよう
ほんとうの自己肯定感とは?/自己肯定感の心理メカニズムは文化によって異なる/自己肯定感を高める教育への違和感/小手先のテクニックで向上するようなものではない/自己肯定感が自然に高まっていくために大切なこと

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2025年05月27日

Posted by ブクログ

【内容紹介】
自己肯定感は、日々葛藤しつつ生きていくことで少しずつ高まるもの。成長途上の若者が自分はまだ未熟だなと思うのは自然な事。ほめたらのびるものではない。高校生の7割が「自分はダメな人間だ」と思うことがあるという。そもそもどのようにして測定されているのだろうか。その心理メカニズムを解明すると、何を鍛え、何を高めればいいのか、本当の自己肯定感を育む方法が見えてくる。

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タイトルだけ見て「自己肯定感は高くなくていい、ということかな?」と思いましたが、そういうことではなく、「もちろん自己肯定感は高い方がいい。ただ、海外と日本の文化の違いを無視した指標で安易に『日本の若者は自己肯定感が低い=海外と比べて劣っている』と決めつけている世の中の風潮は間違っているし、誉めることだけで自己肯定感が高まると思っているなら全く見当違いだぞ。努力して苦難を乗り越えないと自己肯定感は高まらないぞ。」という内容の本です。本当におっしゃる通りだと思いました。
結論自体には異論はないのですが、気になった部分が一つ…。筆者は「自己肯定感が低い=目標が高い=向上心」ということをおっしゃっていますが、私はそれは違うかなと思いました。目標云々以前に、「ただ落ち込んでるだけの人」「どうすれば良いかわからないだけの人」も沢山いると思うんです。要は、「自己肯定感を高める土俵にすら立てていない人」です。そういう人には、筆者のおっしゃる「努力で苦難を乗り越える」より前に、まず「やってみよう」と思えるような安心できる環境が必要ではないかと思いました。そのためには、「ただ誉めるだけ」とまでは言わないものの、多少の甘やかしや寄り添いも重要だと思います。

最近、我が子が自閉・ADHDの傾向があることがわかり、その対処についてやたらと「誉めること」が強調されていることに違和感を感じていました。「誉める」という行為には、「努力を・頑張りを」という枕言葉がセットでついていないといけない。それをこの本で痛感しました。

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2025年08月05日

Posted by ブクログ

自己肯定感という言葉をもてあそんで、人の不安につけこんで金を稼ぐ自己肯定感ビジネスが流行りまくっていることに腹が立ったので読んだ
内容については概ね同意する。でも日本の文化を協調的であること謙遜すること、そこに馴染むように生きているのだから世界から見て日本の子どもの自己肯定感が数値として低くても機にする必要はないというのは、逆に言えばそこに馴染みにくい子のことを切り捨てているような気がした
もっとあらゆる子どもを包摂して、その前提で論じてほしかった
とはいえ自己肯定感を高くするためにむやみやたらに褒めたりすることは逆効果だと私も思う。とにかく褒めておけばいい、という教育の仕方は結果を褒めることになりがちで、経過をスルーしてしまうことも多い
そもそも自己肯定感とは自己を肯定することだから、褒められて上がるような自己肯定感は自己を肯定するというものではないだろ…と思う
自己肯定感が高くなけれbならないというプレッシャーが強くなるなかで大事なのは自己肯定感は別に高くなくてもいいというメッセージではないか

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2025年07月23日

Posted by ブクログ

ひとまず表題の問いに関しては、理路整然としたかたちで反駁している。概要としてはウェルビーイングの定義を巡る議論などにも通ずるものがあるが、とりわけ自己肯定感の議論においては量的調査の目に付く部分を行政や教育の中でいびつな形で取り入れてしまっているのは、そもそもそれが必要なのかという疑問を持つ身からするとなんと不毛なことかと。

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2025年07月05日

Posted by ブクログ

「自己肯定感」。最近よく聞くワードで、たしかに、高くないといけないと思い込まされている節がありますよね。本当にそうなのか?の本質に迫っていて大変参考になりました。自分にも、仕事にも、子育てにも参考にできそう。巷にあふれる自己肯定感本とは一線を画すものでとても良かったです。

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2025年06月29日

Posted by ブクログ

自己肯定感という概念に振り回されていないか?高いことが良いとし,海外諸国に比べて低いことを問題視することは妥当なのか。自己肯定感を上げるというお題目を短絡的に「褒める」「叱らない」につなげることの弊害。特に,人格形跡の子供たちにとっての影響を考える。自尊感情研究ではGood Enoughの理解が重要である。自分のダメなところも良いところも総合的に受け入れる。完全体はないのだから。褒められてばかりだとメタ認知が育たないというのは納得。自己肯定感という単一指標でみる危うさ。自己肯定という行為の定義が必要かな。

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2025年10月04日

Posted by ブクログ

 日本の若者は自己肯定感が低いと言われ、自己肯定感を高める方法についての書籍や記事をよく目にする。しかし、自己肯定感が低いことは、悪いことでしかないのだろうか。そもそも、自己肯定感はどのように測定されているのか。叱らずほめて育てれば、子どもの自己肯定感は高まるのか。
 この本では、これらの疑問を紐解きながら、本当の自己肯定感とは何かについて考える。自分に自信が持てない人や、子ども・若者への接し方に悩む人にとって、見方が変わるヒントになるかもしれない。

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2025年08月07日

Posted by ブクログ

重複した内容が多い印象。
自己肯定感が高いことと、客観的に感じるその人の印象とでは差があることはすごく理解できました。
それから「ほめる」だけでは子どもの自尊心は育めないことも。
とても丁寧に書かれているので、自分に自信がもてずに悩んでいる学生さんや子育てをしている方にお勧めしたいです。

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2025年07月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自分も自己肯定感が低いと感じている一人なので本書を手にとった。
育児中の人や、教育に携わっている人、10代、20代の人達が読んだ方がいい本かもしれない。
中年まで生きていると、もはや今更人は簡単に変われないと思う。
それでも、本書にあったとおり、短所も未熟さも含めて自分を受け入れる、楽観的に考える、習慣形成によって自己効力感を高める、というのは本書以外でもよく言われているし、自分もそうありたいな、と思った。

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2025年05月10日

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