あらすじ
2013年、先進国と新興国の経済規模が逆転。日本人の強みを生かして「失われた二〇年」を終焉させる新しいグローバル化とは何か? 日本人は、グローバル・エリートになり得るスキルを世界でもっとも豊富に持っている。日本企業の現場でグローバル化をリードする著者が示す、グローバル人材を育成し、組織を変革するためのバイブル。
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Posted by ブクログ
自分の勤務先にとっても、いよいよ現実的に重要性が高まってきている"グローバリズム"。
いかに日本企業が、新興国市場を主軸とした企業のグローバル化に対応していくべきか。組織から個人へ、販売から製造・経営組織レベルへ、しっかりしたフレームを立てて、明快に論じており、読み易かったです。
特に、黒船到来以来からの日本の他国との対応の歴史的文脈から導かれた著者の主張には、納得させられました。
自分も、日本人の価値観である「和」の重視と、相手を理解しようとする謙虚な心遣い があれば、必ずグローバル化や多様な組織運営にうまく対応できると信じます。
本書は、きわめて論理的で且つ理性的な構成でしたが、そんな著者の日本企業応援の想いも、感じました。
著者の主張する"グローバル・エリート個人の8つのスキル"は、我が社のグローバル能力発揮モデルとの対比など、いろいろな面で参考にさせてもらおうと思います。
Posted by ブクログ
「自力モデルは自社の企業理念に沿った確実な成長を行うことができる反面、成長のスピードは緩やかにならざるを得ないという問題がある。まだ成長スピードが遅いアフリカなどの市場を狙うのであればよいが、中国のように急成長している市場を今から狙う場合、自社の現地の人材や技術を育てながらじっくりと成長するモデルでは、市場の拡大に乗り遅れてしまうことになるだろう。さらに、自社の中で企業理念の明確化とそれを徹底する仕組みなど基盤が十分でない場合、それらを作ることから始めると、相当な時間がかかる。このような場合は、他力を活用したグローバル成長を考えるべきだろう。日本企業の場合には、海外現地の人材や海外事業経験が豊富な日本人が育っていないばかりか、英語が話せる日本人役員や中堅社員がほとんどいないという企業もまだ多くある。これらの企業でグローバル化を一から目指す場合は、他力を大きく活用せざるを得ないだろう。」なるほどなるほど。次は『フラット化する世界』でも読むか。
Posted by ブクログ
・日本のグローバリゼーションは三つの段階1)sales &Marketing 2)Manufacturing 3)Org
・今はOrgにきている。人材の多様性を増やすことが日本にとって重要
・日本がグローバルするcore competenceとして、製造業かサービス(おもてなし)
・人材のグローバルエリート・ローカルサポーターの二極化。ローカルサポーターはコモディティ化し、価値が低下
とても良い本です。日本人に「一億層中流なんてありえない」と目覚めさせてくれる本。自分の価値、差別化ポイントを考えさせてくれます。
Posted by ブクログ
"一般に目に触れる情報だけでも立派な書物が出来上がることに感動した。
内容は、これからの日本企業のとるべき戦略は、グローバルに展開することが必要で、そのためには何が必要なのかを考察したもの。
著者が学生時代にアップしていたブログをときどき読ませていただいていた。
地頭の良さがよくわかる。"
Posted by ブクログ
日本企業がこれからどのように海外展開に取り組んだらいいのか?という点について、具体的に提案をしている。こうした内容は、実はなかなか本で見つけられておらず、参考になる点が多々あった。ただ、一部に事実誤認があったり、大企業の話にとどまるのではという印象を与えたり、という点は気になった。
Posted by ブクログ
グローバル化の時代において、日本企業、日本人に必要なものは何かを考察。結論は、組織のグローバル化と、個人のグローバル化が必要ということ。そもそもグローバル化とは、国を超えて地球規模で交流や通商が拡大すること(広辞苑)である。人事部が日本人だけを評価して、外国人は各国のマネジメントに任せますでは話にならない。社長から外国人社員も日本人も等距離になければ、グローバル化したとはとても言えないのである。本書の主張するように組織がグローバル化してしまえば、多様な価値観を持つ個人が同居することになるので、共通の理念である企業理念や行動規範の浸透と実践が最も大事だと感じる。市場はGDPで見ても、2050年には中国、アメリカ、インド、ブラジル、メキシコ、ロシア、インドネシア、日本、イギリス、ドイツ、ナイジェリア、フランス、韓国、トルコ、ベトナムの順。つまり、アフリカ、アジアの人口の多い国が台頭してくるという予想である。その中で、組織と個がグローバル化していなければ、当然淘汰されるだろう。個としての必要スキルは、「異なるものを理解し、受入れる力(感受性、異文化理解力、柔軟性)、物事を組み立てて、前に進ませる力(オーナーシップ、ゼロベース構築力、問題解決型思考)、適切なコミュニケーションにより人を動かす力(説明力、粘り強さ)であるという。何とか今の状態で(国内にしがみついて)一抜けを狙っているおじさん達。そして、実際にグローバル化の中で戦う我々の世代。この間見た、東のエデンとなんだか同じようなテーマになっているな。。。
Posted by ブクログ
賛成する所が数多くあった。
海外に出ていく人が読むべき本であると同時にそう考えてない人が読むべき本でもあると思った。
グローバル化は最早、海外と多くビジネスを展開している企業やビジネスマンだけの問題ではない。自分は日本から出ないから大丈夫なんてことは絶対にない。いつまでも内輪で盛り上がってやっていけるものではない。日本人の価値観を根本から変える必要はない。でも価値観を拡張する必要はある。こういった本を読んで少しずつ世界を広げていくべき。
Posted by ブクログ
紙幅を割いている割に内容はやや冗長、ただその主張するところは的確で内容的には至極同意。
ものづくりでも弱体化し始めている日本においては、この先のイノベーションや成長の源泉は「和」と「おもてなし」にあるのだと思う。
間もなくすると外資系企業が日本企業のグローバル化を支援する時代は終わるんだろう。外資の日本支社はローカルサポートに留まるから。では、グローバルに打って出るにはどうすれば⁈
そのヒントがここにあるかもしれない。
Posted by ブクログ
・ MBAを受験するにあたっての参考情報<主に英語力>
・記事のコンテンツの面白さ
で抜群だと思うブログが、
「My Life After MIT Sloan」
このブログの書き手である倉本さんが、著書を出されるとのことで、息抜きも兼ねて購入読んでみた。
ブログ同様、非常に面白い内容。
改めて「グローバル化」とは何か?個人はどうあるべきかを考えさせられる。
Posted by ブクログ
グローバル・エリートの時代
個人が国家を超え、日本の未来をつくる 倉本 由香利
2013年、先進国と新興国の経済規模が逆転。
日本人の強みを生かして「失われた二〇年」を終焉させる、新しいグローバル化とは何か?
日本企業の現場でグローバル化をリードする著者が示す、グローバル人材を育成し、組織を変革するためのバイブル。
【ポイント】
19/グローバル採用の時代 ←組織のグローバル化が「グローバル採用の衝撃」
?外国人従業員がとてつもなく増える「量」の時代
日本人の社会人なら当然こうしたが通じない
?外国人を早期に海外幹部社員として育てる「質」の時代
28/先進国を追い抜く勢いで拡大する新興国市場。製品・開発・販売まで、先進国とことなるものが要求され
現地での技術を理解した人材によるマーケティングれ製品開発が欠かせない。
30/グローバル化第1の波:販売機能のグローバル化
グローバル化第2の波:生産など労働集約機能のグローバル化 現地生産
グローバル化第3の波:経営や研究開発も含む企業活動全体と組織のグローバル化
経営判断に必要なセンスや判断力をもった新興国出身の人材を活用し、損広告のニーズに合わせた
イノベーションを起こせるような組織が必要。←日本と新興国の橋渡しの働きができる人材。
→これを「グローバル・エリート」と呼ぶ
117/日本企業A社の2025年の仮想ストーリー
125/A社独特のコミュニケーションのパターンで英語を克服。←構造化された話し方のパターン
142/グローバルな組織」の要件
?グローバルに成長の基軸をおく覚悟と戦略の構築←戦略の明確化、社内での徹底共有、組織全体としての方向性
?グローバル化のための手段を明確化する意思決定(割り切り)
?グローバル成長をローカル部門と別立てして優先する組織体制 ←グローバル部門に優秀な人材を集め、組織をつくる
現業の既存事業との別立ての組織を作る。
?グローバル化を促進する組織運営の仕組みの構築 →組織と人材を配置したら、それに血を通わせる運営の仕組みが必要。
?グローバル人材の登用と育成の仕組み
?企業理念などの共通価値観を全社員に浸透させる仕組み
153/?コミュニケーションのグローバル統一化
メッセージを明確にし、構造化して伝えるスキルが重要。すべてに構造化されたテンプレートの活用。
?研究開発のグローバル化
?最先端の技術開発は先進国の研究開発拠点でおこなう。
156/ ?新興国での研究開発ではアプリケーション・イノベーションに特化する。
?新興国で生まれた製品を先進国へ展開 ←リバース・イノベーション
?経営組織のグローバル化
159/A社が日本に本社をおいて、多くの日本人を雇っている理由
?A社の事業の中心の産業が日本に集積しており、技術的、人材的にも世界を圧倒している。
?2025年時点で、グローバルに活躍できるグローバル・エリートが多くいる。
177/自力をベースとしたグローバル化の組織構築
?企業理念の明確化と社員に徹底する仕組みの確立
?現地の人材を育てて活用する、企業理念の統制の利いた現地化の仕組みの確立
?足りない経営資源を獲得するための戦略的な買収条件の見極め
?新興国発の確立と先進国への展開
179/問題点は、成長のスピードは緩やか。市場の拡大に乗り遅れることもある。←→買収によるグローバル化
206/進む二極化 グローバル・エリートとローカル・サポーター
自国内で働くひとには2種類
?「ローカル・スペシャリスト」:高い専門性で高い付加価値を創造する人々「自分にしかできないことむ
?「ローカル・サポーター」:だれにでもできるコモディティ化した仕事をする。
国内での消費・税金で経済に貢献しているが「替えがきく」知識やスキルしかもたないため、
収入がひくく雇用調整の対象になりやすい。
かつてのローカルスペシャリストも同じスキルを持った人の増加で替えがきくようになる。
232/グローバルエリートに必要な8つのスキル
?違いを感じる「感受性」文化背景、価値観
?異文化・価値観への「理解力」 異なる価値観を尊重し、その理由を理解する。
?多様なやり方に合わせる「柔軟性」 ただし絶対に譲れない線は譲らす
?異質な環境での「オーナーシップ」
?「ゼロベースの構築力」 解決方法、戦略をゼロから論理的に構築する力
?「問題解決型思考」 対立・不信感を放置せず、問題を特定し解決法の幅を広げる
?積極的・論理的な「説明力」
?コミュニケーションの「粘り強さ」
237/違いを感じたとき、なぜの違いが出るのかを考えて、仮説を立てることが大事。
「感受性」とは、人々の反応や態度からちょっとした違いを感じて、その原因と
なる価値観・考え方の違いを特定する力
238/自分の価値観を表現する勇気を持ち、一方で他人の価値観や信念を正当なものとして
認識きる能力を「成熟さ」と呼ぶ →理解力
255/あらゆる産業分野でグローバルな業界標準が必要。ここでは、ゼロからトップダウンで
枠組みを作る必要がある。まず、全体の枠組みを決めて、分割し、役割分担して進める。
256/各社が自社製品を持込みテストする「擦り合せ型」の標準化は非効率。
求められる要件からトップダウンで必要なものを構成し役割分担を行う「ゼロベースの構築力」が必要。
258/問題解決型の考え方のステップ
?問題点を特定し、双方の違いの根本原因を明らかにする。
?問題点解決のための解決法の幅を広げ、解決方法を編み出す。
261/論理的な説明に大切なこと
?物事の背景・経緯など「当然」と考えていた前提条件が何かを説明する。
?論理のステップを飛ばさないこと
?表現をあいまいにせず、説明的に話す。
263/中国では、相手の面子をたてつつ相手の腹に落ちるまで説明し、お互い理解するように
努めることが、中国人の持つ市場の知識やネットワークを最大限に活用することにつながる。
272/プッシュ型のグローバルスタンダード
→「ワインに点数をつける」という方法を開発し、世界中に浸透させて、アメリカ的な嗜好を
ワイン生産業者に導入させた。
276/プル型のアプローチ成功のためには、?理解力、?柔軟性、?問題解決型思考が必要。
279/日本人が不得意なスキル:?ゼロベースの構築力、?積極的かつ論理的な説明力
280/?ゼロベースの構築力のためには、全体の枠組みを決めて物事を論理的に整理し、
仮説思考で考えることを訓練する
?論理的な説明力を養うためには、前提条件や論理に穴はないか、言葉の使い方が抽象的で
わかりにくくないかを確認しつつ、話したり、書いたりすることを日々積み重ねる。
282/日本人が得意な能力を活かしてグローバル化のリーダーシップをとれる二つのパターンとは
?製造技術を生かしたグローバル化 ?サービス業における「おもてなし」のグローバル化
日本人が製造業に強い理由 五つ
?チームワークの高さ。?一度目標が設定されると集中して課題解決できるという問題解決能力
?細部へのこだわり ?清潔・整理整頓に対する完璧主義 ?時間の正確性と約束を守る文化
Posted by ブクログ
読めばわかるけれども、新聞の解説記事のような、あるいは、学生の修士論文のような、そのような本、という感想。面白くないわけではないし、独自の視点がないわけでもないのだけれども、迫力に全く欠ける、みたいな。
Posted by ブクログ
グローバル化の定義として、
第一の波:販売、マーケティング機能の海外への移転
第二の波:製造業の生産拠点の移転(付加価値を付与する生産の海外移転)
第三の波:2010年〜 組織のグローバル化、日本人以外の社員を活躍させられるような組織運営の仕組み
としたうえで、いまなぜグローバル化が必要なのか、グローバル化するために必要なことは何かの問題の整理になった。
第三の波にあるような組織や人のグローバル化について、英語の公用語化など例をあげれば枚挙にいとまがないが、韓国のような国家としての危機感をともなってサムソンのように90年代からグローバル化に取り組んできた会社とはグローバル化の必要性と自覚の仕方が根本的に違うように思う。ましてや、内需型産業、中小企業にとってみればまだまだ遠い未来の出来事かもしれない。
いずれにしても、グローバルエリートという個人レベルの取り組みも大事だけど、労働人口の減少や事業環境の変化に伴って、企業にとっての死活問題としてグローバル化に向けどんどん改革を進めなければならないのは確かだろう(もちろん新興国マーケットの成長分野だけが市場ではないし、それ以外のオプションもありだと思う)。グローバル化したい会社にとって、何をどう手をつければ良いかのヒントとして、本に出ていた未来小説のA社が行った改革はリアリティがあって参考になった。
Posted by ブクログ
販売のグローバル化、生産のグローバル化を経て、組織のグローバル化が必要な時代。西欧のプッシュ型に対し日本のプル型が強みになる。
10年後の日本の未来に、希望が見えてきました。
変わるまでは本当に大変なのだろうけど、こういうビジョンを示してもらって、その力はある、経験もある、と励まされると。
Posted by ブクログ
■グローバル
日本企業がグローバルに成長し続けるためには、経営判断を行える人材を複数の新興国市場に分散させる必要があり、外国人を経営幹部に育てていくことが不可欠になってきている。