あらすじ
私は、ずっと前から、滑走路で助走していたのかもしれない――パリからの留学生と暮らしを共にすることとなった夫婦、自分の強みを生かして奮闘するツアーコンダクター、もう辞めようかと悩む書店員、ある事件の影響で飛行機はおろか空港にすら近づけない女性……。空港では、多くの人びとがすれ違い、時に交差する。みなそれぞれに屈託や葛藤を抱えながら、それでも明日を信じて。
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Posted by ブクログ
最初は、どうかな?と思ったけれど、とても読後感の良い一冊。飛行機に乗る旅のお供にも良いかも。
ただし!題名、ディスイズジエアポートというカタカナはほんと不要…それ以外、めっちゃ良い。
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空港は色んな人の人生が交差する場所だと思った。さらに言うと、人生の“初めて“が詰まっている場所だと思う。自分も初海外、初ジュニアパイロット、初転校、初めて訪れる地……読みながら空港での初めての経験をたくさん思い出した。どれもわくわくと不安が入り混じる経験だった。だから今でも空港に行くと新しい自分になれる気がして、空港が好きなんだな。
本書は六話の短編集で、空港を舞台に色んな人の人生が交差する物語。全く同じ経験をしたわけではないけれど私にとって、その気持ちわかる! となる経験が散らばっていた。それは必ずしも空港にまつわるエピソードでなく、自分の人生と重なる場面があった。
最後の第六章だけ、災害•震災にまつわる話なので他の章と毛色が異なり、ずしんとくるものがあった。9.11の頃の私は正直その事件を他人事のように思っていたけれど、大好きな飛行機が、凶器となる恐ろしさを本書で痛感した。飛行機に乗って旅行ができ、無事に帰って来れていることは、有り難いことだなと初めて感じた。
本書を通して新しい経験、もっと言うと知らない世界を知ることが、私にとって重要なことであることに気付いた。特にその入り口になる空港がだから好きなんだ。本もそうだけど、自分が好きな事や物の共通点はそこかもしれない。
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私としては読んだタイミングが個人的には良かったかもしれないです。
本で背中を押して欲しいって期待していた訳では無いけど背中を押してくれるような強さがある本でした。
足踏みしている状態ではあるけど、この本を読んで勇気を持って私も前に進み出したいと思いました。
出会えて良かったです。
Posted by ブクログ
空港を利用する人、グランドスタッフや書店員、ディスプレイを施工する人など空港で働く人達の連作短編
ちょっとずつ前章の人達がでてきたり、全編通して出ていたりで、その後もわかって良かった。
特に「扉ノムコウ」「夜の小人」が好き。
時々涙ぐんだり、ほんわかしたりしながら読んでいましたが、最後のタイトルにもなっている章だけ一気に重たくなりました。
911で飛行機にトラウマをもってしまった女性。阪神淡路大震災、東日本大震災とでてきますが、少し駆け足な印象。もっとじっくり読みたかった。
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留学生を迎える夫婦、添乗員、書店員、グランドスタッフ、空港内のディスプレイ業者、ある事件の影響で飛行機や空港に忌避感のある女性。
それぞれの人生のドラマとしても、お仕事小説としても面白かったです。
連作短編集で、登場人物が少しずつつながっていくのが楽しくて嬉しい。
特に良かったのは
*「夜の小人」
空港のディスプレイを作り上げる男性が主人公。
『誰がいつやったかわからないうちに、みんなが喜ぶものを作り上げておく』
というフレーズにグッときたし、ラストの一行まで素敵で心を奪われました。
*「扉ノムコウ」
派遣の海外ツアーコンダクターとして働く女性の物語。添乗員視点から見るツアー客やお仕事の裏側がおもしろい。素敵な展開、爽快なラストが良かった。
表題作は、NY同時多発テロについての描写があり、他作品と違って重く苦しかった。突然理不尽に人生を狂わされた人が、辛い記憶を忘れることはなかなか難しい。だけど、どんなにゆっくりでもいつか癒されたと思える日が来るといい。
ラストに胸のつかえがおりて良かった。
全体的に爽やかで温もりのある読後感。
この夏、読むのにピッタリな1冊!
Posted by ブクログ
空港を行き交う人と人生を描いた6つの物語。
添乗員や空港書店員、グランドスタッフ、ディスレイ制作の人など、4つの物語は空港に関わる仕事をする人々の物語。
CAやパイロットのように目立つ仕事ではないけれど、
それぞれ自分の仕事を一生懸命頑張り、ときに壁にぶつかったり、落ち込むことがあっても、
空港での出会いを通して、また前を向いて進んでいく。
ありふれたことかもしれないけれど、
どの章も読後は爽やかで、何かを一生懸命頑張る人の話は自分も明るい気持ちになれてとても好き。
最終章の、本のタイトルでもある「This is the Airport」
同時多発テロや震災などの話も出てきて、
読むのは少し苦しくなる部分もあったけど、
主人公の女性の20年以上の物語は、読み応えがあった。
災害や事件は実際に被害にあった人でなくても、
心に傷を負った人もいたし、
その出来事で人生が大きく変わってしまった人もいるんだろうな…と考えさせられた。
Posted by ブクログ
空港にかかわる人たちの短編集。飛行機苦手なので想像したことがあまりない世界。お気に入りは、やっぱり書店員の「空の上、空の下」。旅行の時は本を持ってく派だけれど飛行機で読んだことないな。タイミングに振り回される表題作も好き。
Posted by ブクログ
短編集だけど、1話1話に読み応えがあってとても面白かったです!
空港にはさまざまな人がいる。
幸せな気持ちへ旅に向かう人も、
悲しい気持ちでどこかへ帰る人も。
そんな当たり前のことに気付かされました。
そして旅立つ人だけではなく、そこで働く人たちのお話もあるのが面白かったです。
グランドスタッフや、航空署で働く人、はたまた空港内のディスプレイ製作者や書店員まで
さまざまな職種に光が当たっていて新鮮でした。
中でもやはり書店員の矢崎さんのお話が興味深かったです。普通の書店に比べて、空港の書店に来る人はもう2度とその書店に来ることは無いかもしれない。そんな中で本を紹介する緊張感だったり、空港という場所だからこその棚作りになやむ姿など読んでいてなるほどなぁ…と思ってしまいました。
そして連作ということでさっき出てきた人が…!というシーンが度々あって楽しく読むことができました!
Posted by ブクログ
「外国の女の子」
「扉ノムコウ」
「空の上、空の下」
「長い一日」
「夜の小人」
「This is the airport」
空港を舞台にした6話収録の連作短編集。
爽快感がありとても良かった。
ツアーコンダクター、空港内の小さな書店で働く女性店員、グランドスタッフ、夜に作業する空港ディスプレイチームなど職種は様々だが登場人物の葛藤や情熱、心の揺れがリアルで共感ポイントが一杯。
表題作は実際に起きたアメリカ同時多発テロや大震災、パンデミックが描かれているのでハードだが、人と人が繋がる事で生まれる力に未来への希望を感じた。
Posted by ブクログ
6編からなる短編小説。ゆるくつながる感じ
最後のタイトルと同じ「This is the Airport」が一番良かった。
3.11のテロで飛行機に乗れなくなった瑠美。そのために大好きな夫裕也と別れることになる。辛い展開だった。
Posted by ブクログ
自分の中で重めの作品が続いていたのでインターバルとして読んだ。
空港にまつわる物語が短編で収めされていて、少々こじつけでは?というようなものもあったが、空港には従業員もお客も実にいろいろな人がいろいろな事情を抱えてそこにいるのだなというのは伝わった。
特にこのお話が好きというのもなかったが、これはちょっと、、、とというのもなく、サクサク読めました。
Posted by ブクログ
一話目であまりにも知識レベルが自分と違う人の話が出てきたので、どうだろう〜…と思いながら読み進め。
ツアー添乗員10周年目で自分の進退に迷う早織さんの話が一番好き。ロンドンツアーのメンバーが揃った時、私もうるうるしてしまった。その話を読んだ日は幸せな気分で眠れた。
小人になりたかったディスプレイ会社の人の話も好きだな。相容れないと思っていた石丸さんといい仕事ができて良かった。でもドレスは相談してからの購入の方がいい。
ラストかなり重い話での締めくくり。トラウマって言葉が軽くなってしまったけど、本来のトラウマってこういうレベルだよなあ。
そんなしんどい過去を抱えながら、周りを助けていく登場人物たちは本当に強くて、優しい。どうかこの人たちが報われる社会であってほしい。
Posted by ブクログ
空港を舞台に、6つのストーリー。
表紙のイラストに誘われて、ふわっと読める。
空港ーいろんな人が集まる場所、というイメージ通り、それぞれのストーリーが紡がれています。
この本では6話のうちで4話が、そんな空港をそこを職場(の一部)とする人たちが主人公になっていて。
海外旅行添乗員、グランドスタッフ、空港の書店員、ディスプレイ業者のリーダー。
きっと、そこで働く人たちの多くは、「人」とても興味があるんだろうなーという感じがして、
そして、そこで働く人じゃなくても、空港は、他者に思いをはせる場所でもあるのかもしれないなーと。
人をそんな姿勢にさせる場所。
各短編では、パートナーとの関係や、結婚についての話などもまあまあ出てくる。
出会いがない、難しい時代、と言ったりするけれど、
最近急にとある職場の人が、私はぜったい誰かを見つけたほうがいい、と、すごく素直に真剣に言ってきて、全然それは不快でもなくただちょっとびっくりしたのだけれど、
その後、なかなか難しいよねー、でも、人を普段からどういう目線で見るか、だよねーとか話してくれた。
なんだか普段の日常では出会わないような人と出会ってみたい、
とか、もしかしたら出会えるかも、とか、
非日常への「出会い」へのセンサー、みたいなものを、なんだか感じさせられました。人への興味。恋愛だけではなく。それは同じ人でも、空港というところに対するイメージとかが重なって、そこに近づくと自然と働くとかかもしれない。みんなではないだろうけど。そんな人も多くいる、だからいろんなストーリーが生まれる空間。トキメキ、をちょっと探してみているような。
あと、時折出てくる、コロナとか、同時多発テロとか、東日本大震災の影響。
それぞれの生活に、後を残していった出来事。自分はその時どうだったとか、また少し思い出したり、そしてフィクションではあるけれど、ストーリーを読みながら、他者の経験にも想像を広げる。
Posted by ブクログ
空港に行き交う人、仕事で関わる人の六つの物語からなる短編集です。
第一話は、初めて空港に来た家族が、ホームステイする留学生を迎え入れ、過ごすなかでの気持ちの揺れが描かれていました。次にツアーコンダクター、空港内の書店員、グランドスタッフ、ディスプレイを施す人の物語が順に語られていきました。これらの五つの物語は、空港から飛行機が飛び立つように、前向きに明るい未来がうかがえる内容でした。
最後の「This is the Airport」だけが震災、テロ、コロナ禍を扱った物語で、一人の女性の人生を中心として描かれていました。震災やテロを経験したときの恐怖や絶望、その後の人生の変化に思いを寄せることができました。立ち直るまでの大変さ、出会った人や友人との絆が描かれていました。最後は、もう一度会ってほしい人と会える場面があり、とてもいい場面でした。少しかけ足で描かれたようにも思いましたが、最後は希望が見える終わりかたでよかったです。
第一話 外国の女の子
第二話 扉ノムコウ
第三話 空の上、空の下
第四話 長い一日
第五話 夜の小人
第六話 This is the Airport