【感想・ネタバレ】追想五断章のレビュー

あらすじ

大学を休学し、伯父の古書店に居候する菅生芳光(すごう よしみつ)は、ある女性から、死んだ父親が書いた五つの「結末のない物語(リドルストーリー)」を探して欲しい、と依頼を受ける。調査を進めるうちに、故人が20年以上前の未解決事件「アントワープの銃声」の容疑者だったことがわかり――。五つの物語に秘められた真実とは? 青春去りし後の人間の光と陰を描き出す、米澤穂信の新境地。精緻きわまる大人の本格ミステリ。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

母が亡くなった真相は父親だけが知っていた。22年後に娘は父が書いた小説を探す。
解説を読んでこれは、リドルストーリーという形式だと知った。結末がない物語という意味らしい。その中で東野圭吾の「どちらかが彼女を殺した」が上がっていたが、そういえばあれは最後の変わった話だったと思い出した。なんだか消化不良になりそうな感じだったが、そういえば似たようなものも読んだことがある、そういう形式のものだったのか。それで結末はどうなるの?自分で考えるの?というコメントも見たことがある。

読後感が余りよくなかったので、形はなんとも言い切れないが、この「追想五断章」は面白かった。

結末はある、真相も分かる。でも作者が書き残した最後の部分は読者が推測してもいい仕組みになっている。作者の意図通りに収まるのが当然だが、途中で自分なりに遊んでみるのも面白い。

両親と娘の三人家族である、裕福な家に生まれた父は放蕩の末、女優の妻を貰い,娘も連れて海外を転々として暮らしていた。スイスに逗留中に、ベルギーのアントワープを訪れた。その時滞在していたホテルで妻が首をつって死んだ。その時夫は古い拳銃を持っていてその弾が妻の腕をかすっていた。
自殺か、他殺か、当時は大事件として報道され、夫に疑いがかかった。しかし起訴はされず、22年前に帰国して、松本でひっそりと暮らしはじめていた。そして。

成長した娘は手紙を見て、亡くなった父親が小説を書いていたことを知る。

父が書いたはじめての小説が同人誌に発表されていた。帰国して二年後だった、筆名が「叶黒白」といい小説は五編あったことがわかる。

娘は発表された同人誌「壷天」を探して古書店に来る。
応対した店員にいきさつを話して、残りの小説捜索を依頼する。店員には一作見つかると10万を出すという娘の言葉もあって探すことを約束するが、だがいつどこに発表されたのか皆目見当がつかない。

暗中模索、紆余曲折の末5編の小説は見つかるが、どれも結末の部分が抜けていた。

ところが彼が逼塞して過ごした家の文箱に、五編分が一行ずつ書かれた5枚の紙が入っていた。
娘は事件当時4歳だった。ぼんやりした記憶しか残っていないその時の出来事を知りたいと思った。
ついに見つけた小説から、事件の輪郭や、当時の父の思いに気づく。

そうそう、でちょっと思ったのだが、お父さんは白黒つけるために小説を書いた、それはいいけど、じゃそれを知った娘はって思う。(ネタバレじゃないつもりだけど)


と言う事なのだが、父親の書いた小説と言うのが実によく出来ていて面白い、結末が知りたくてじりじりするが、最後の一行は文箱の中にある。
これは読んでみなければ分からない、娘と店員の小説探しもあって二重に楽しめる。余り長い話ではないが真相がいい。 父と娘の少し暗い蔭のある悲しい出来事も深みがある。

0
2026年02月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

5つのリドルストーリーにあるはずのない結末5文が見つかってそれが現実の事件と、繋がってるという話。ひとつの話の中に5個の短編があって、小説の中で小説を読むという不思議な体験をした。一つ一つの話が、「黒白叶」が書いたという個性がはっきり分かって米澤穂信さんの書き分け力が素晴らしいなと思った。これは結局、母親が「死んでやる!」と言ってじさつをほのめかし、それを4歳だった娘が実際にやってしまって、父親がそれを隠したということで合ってるのかな?すごい、家族愛というか。それを隠し通したのはすごい娘への愛を感じた。でも結局、「俺は本当はやってないんだ!」って言うことをアピールしたかったんだなあ、と思い、ほんとみんながみんな人間らしい登場人物で、面白かった。

0
2025年08月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

古典部シリーズや小市民シリーズと違って、あまり期待せずに読み始めたけれど、いつの間にか夢中になって読んでいた。
謎がさすが!という感じ。

結末は多くの人がきっと想像するであろう感じだけど、パズルのように組み替えられることや、『雪の花』が結局リドルストーリーで終わるところが良かった。
リドルストーリーって昔はモヤモヤしたけれど、今は結構好きかもしれない。

一点、主人公の芳光には復学なり夢を見つけるなり、希望を感じる終わりだと良かったな。
でもそこも敢えてよく分からないのがこの作品らしいのかもしれない。

0
2025年03月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とてもおしゃれな作品だと感じました!
アントワープの銃声の真実を世間に問いかけるためのリドルストーリーが、娘から真実を遠ざけるために使われている。
各リドルストリートも引き込まれる面白さがあり、しかも結末を入れ替えることもできる。
そして何といっても最後に、愛があったのかを謎にのままにし、リドルストーリーのように締めくくっていて、本当に何から何まで洒落ている作品でした!

0
2025年08月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

推理をしても劇的に状況が改善するわけでもない、みんなそれぞれ大変なんだよという感じのミステリー
結末が決まってないリドルストーリーだから、オチが実際のものと入れ替わっているというのは面白かった
笙子さん結構好きだった

0
2026年09月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この本の結末こそがまさにリドルストーリーだったとは。可奈子が母を殺めてしまったのかは父にしか分からないが、彼が雪の花と題して真実を葬ったという事実だけを可奈子には受け止めて欲しい。
母が雪の花の中で手に入れようとした正しく雪の花と呼ばれたものは、もう失われかけた夫婦愛を永遠にするための手段としての自殺であり、父は母への愛があるかは答えなかったが、可奈子が殺人を行ったかを述べないことで可奈子への愛を伝えたのかなぁ。

0
2026年07月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

知らなくていいことってあるよね。というのが率直な感想。自分は無実だと訴えたいけどそれを話すと娘のことがバレてしまうかもしれない。真実は雪の中に閉じ込めておきたいという父親の気持ちは娘への愛だ。お話と結末が違い確信に踏み込んでいくページは鳥肌もの。主人公が頭がよすぎてバイトの女の子の影が薄すぎたけど話がとっちらからないからこれくらいがいいのか。でも結局誰も幸せにならなかったな。主人公もおじさんも何も解決してないし、きっと今以上に良くなりたいとも思ってなさそう。ページ数にしては読み応えもあるし余韻も残ったが気持ちが落ち込んでしまうから少しでも希望がほしかった。

0
2026年07月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

リドルストーリー系は苦手と思ってたけどこれはおもしろかった!!!わりとわかりやすく進めてくれているので、真相に自分で気がつけたりして楽しい。
主人公の暗い状況は何も打開されずでそれは残念だったし終始お話は暗かった。それでもやっぱり謎が解けていくのは快感で大変面白かった。
最後の愛については、眠ってる=誰にもわからないってことでいいのかな?

0
2025年10月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

おもしろかったね…!本をちゃんと読み始めてそんなにたってないけど、一番好きな作家かもしれない。本の構成が独特で引き込まれるというか。本を探す話ってなんかどきどきする。作中に出てくる小説の作風というか、書き方がなんとなく絶妙におもしろくなくて小説家ってすごい。(本編はあんなに面白いのに)多分事実はこの子がころしたんだろうなとは途中で察しがついたけど、そこまでの過程がすごくよかったです。ずっと薄暗さが漂っていて、結局主人公すら打開策みたいなのはないままだなあとおもった。

0
2025年10月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

米澤さんの作品は「氷菓」「本と鍵の季節」を読んであまり刺さらなかったけど、これはすごく好きなタイプの話だった。(そもそも米澤さんの文体が私にはあまり合わない。今回は選書サービスで届いた本だったので読んでみた)

事件の記事のあたりからもしかして…と思ってたことが的中してやるせない気持ちになると同時に、ミステリーはこういうのがあるからクセになるんだよな、とも思う。
なんとなくガリレオの「真夏の方程式」を思い出した。

娘のことを邪魔だとは思ったけど無碍にもできない、真相を告げることもせずなんだかんだで守り育てたというのが、人間らしくてよかった。
最後の掌編だけ明確な答えが提示されてないのも余韻があっていい。

0
2025年06月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

リドルストーリーを初めて知りました。読者に結末を明かさず、想像に任せる手法らしいのですが、この作品では主人公が「結末だけを残した作家の本文」を探します。結末はあるけれど、本文はリドルストーリー。主人公はお金欲しさに本文を探し、その過程で作者の関わった事件の真相を知り、華やかな作者と自分を比較します。そして、残すべき物語を持つ作者に嫉妬。主人公は考え方が屈折し、疲れてもいて、作品の雰囲気を荒廃したものにしているように感じます。私にも残すべき物語はきっとないのでしょう。地味ながらに大変好きな作品でした。

0
2026年03月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なんだかめっちゃ暗いお話だったなぁ。
ストーリーは捻りが効いていて良かった。別に作ったたった一行の結末を入れ替えると違った解釈が出来るなんて展開がこのミステリの真相だなんて斬新でワクワクした。んだけど、この父親がねぇー、……娘を守る為にダンマリ決め込んだ割には匂わせ小説なんか書いちゃって…気持ち悪いわ。笑。
私が娘なら傷付くわぁー。

いろんな関係性を持った人達が出てくるけど、どの関係にもあんまり愛情が感じられなかったなぁ。

0
2025年09月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

米澤さんの作品ははじめて
この作品自体もリドルストーリーと言っていいのだろうな
読み終わってからの余韻というか、今後の登場人物についてもやもや考えています

0
2025年06月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

リドルストーリーという言葉は本作で初めて知ったのですが、考察の余地がある作品が好きなのであらすじに惹かれて手に取りました。
推理小説というよりは明治時代の純文学を読んでいるような感覚。大きな盛り上がりはなく割と淡々と物語が進むので一気読み必須!という感じではないけれど、徐々に過去が浮かび上がってくる様が面白かったです。でも全てが詳らかになるわけでもないのがこの物語の結末としては最適解だと思います。

叶黒白こと北里参吾は『山月記』の李徴に性格が似ていると感じ(本文より引用「自尊心が強い割に皮肉なところがあって…」「この誇り高い男に…」)、斗満子は『痴人の愛』のナオミを連想させる女性だな(「彼女が悪ずれしているように思えて…」「斗満子さんの移り気と贅沢に悩まされ…」)などと思っていたら、解説で「(米澤穂信さんは)たぶん中島敦も好きだろう。」と書かれていてやっぱりそうだよね?!とちょっと嬉しかったです。

0
2025年02月16日

「小説」ランキング