【感想・ネタバレ】午前零時の評議室のレビュー

あらすじ

法廷×デスゲーム×本格ミステリ! 第28回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。大学生の実帆に届いた裁判員選任の案内状。事前オリエンテーションとして呼び出された裁判員たちに異例の事態が訪れる。一方、事件を担当する弁護士の羽水は検察のストーリーに疑問を抱き、見逃された謎に着目する。被害者の靴下が片方だけ持ち去られたのはなぜか? それを元に事件の洗い直しを始めるが……。伏線だらけのタイムリミット脱出劇。

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Posted by ブクログ

ザ・ミステリー小説、って感じで楽しかったなあー。

しっかりとポイントを散りばめつつも、単純には辿り着けない、しかし考えれば辿り着ける解が用意されている

伏線が少なかったり曖昧だったりで
驚愕の結末に繋がるタイプも好きだが、
こういう王道タイプもとても好き。

爽やか
淡々として、
疾走感。

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2025年08月31日

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裁判員に選ばれた男女が集められた評議室は閉ざされ、タイムリミットが与えられた。彼らに課せられたのは、とある殺人事件に対する評議。助かるためには午前零時までに全員一致で正しい答えを出さなければならない。被告人は有罪なのか無罪なのか、そして彼らが集められた目的は。スリリングでトリッキーなサスペンスミステリです。
市民感覚を取り入れた裁判員制度の難しさもさながら、そうでなくても「真相」を見抜くことがいかに困難かということを再認識させられます。証言するのは人間なので、その感情に引きずられることがないとは言えないし。それで他人の人生を決めてしまうのは本当に怖い。だけどそれは、職業として臨む法曹家たちにとっても同じなのでしょうね。それぞれの悔恨がつらい物語です。
ミステリとしてもまったく気の抜けない展開でぐいぐい読まされました。評議の対象となる事件のみならず、評議室で起こる事件の謎もまた魅力的。最後の最後まで楽しめました。

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2025年05月07日

Posted by ブクログ

めっちゃ良かったと思う。
若干作者の経歴や年代から作風は違うけど、深木章子味は感じましたが、しかしそれよりなによりミステリとしていわゆる法廷ものでありなおかつロジックの応酬や意外な解決とその後のどんでん返しなど自分が好きなミステリでした。
2874冊
今年102冊目

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2025年04月13日

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 法律事務所でアルバイトをしている大学生の神山実帆のもとに、「補充」裁判員の案内が裁判所から届く。まずは事前のオリエンテーションから参加して欲しいと言われ、裁判所に集まったメンバーが扱うのは、『恋人関係だった女性が別れ話をきっかけにストーカーとなり、ナイフで刺し、丸石で殴打して死亡させた』とされる事件。オリエンテーションがはじまると、元邑判事は十三年の前に、裁判員裁判によって無罪判決の出た事件を語りはじめる。その話をした途端、実帆以外のメンバーの様子がおかしい。そしてそこからが、彼らにとっての地獄のはじまりでもあった――。

 というのが、本作の導入になるでしょうか。リアルな法廷小説も書くこともできると思われる(実際、作者は現役の弁護士だそうです)ひとが、フィクションとエンタメに完全に振り切ったすごく気持ちのいい作品、というのが読み終わって最初に抱いた印象でした。

 実は最初は人物造形や心理描写に一部馴染めないものを感じていたのですが、慣れるといつしかのめり込むように読んでいて、物語は二転三転し、最後まで読むと、こんなにも様々な仕掛けが施されていたのか、と感動さえ覚える、ミステリを読む醍醐味に満ちた作品です。思い込みによって凝り固まっていた心は逆手に取られて、あっ、と声をあげてしまいそうに何度もなりました。ラストのふたりの対峙シーンも緊張感があって素晴らしかったです。

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2025年04月10日

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ネタバレ

物語が進むにつれて、真犯人が二転三転する姿は非常に興味深く一気読み。今のところ、2025年No.1の作品になりました。

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2025年07月18日

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ネタバレ

未帆。コウヤマミホ。羽水。佐藤。過去の朱音の事件。もとむら。父親。母親。法は冷たいものではない。証言。爆弾。真相。ナイフ。石。

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2025年06月08日

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メッセージ性が強く意思が明確なリーガルミステリー、裁判員制度の脆弱性に切り込む #午前零時の評議室

■あらすじ
大学生の実帆に裁判員の通知が届いた、裁判の前に事前オリエンテーションが行われるらしい。裁判官元邑の元に集まった裁判員の七名は、裁判員一般の講話や事件の概要を聞き始める。元邑は過去にあった裁判員裁判での評議に憤りを感じているようで…

■きっと読みたくなるレビュー
本作の作者の衣刀信吾先生は新人作家ながら現役弁護士。というか… 元神奈川県弁護士会長、現日弁連の副会長という大御所先生じゃないすか。お忙しいのに重厚な作品を執筆されてるなんて、ひとことスゴイ!

これまで多くの弁護を経験され、生業にしてきたからこその濃い内容になっており、メッセージ性が強く、意思が明確なリーガルミステリーになっていました。

そして内容もかなりエグイんですよ。やりたい放題、ぎゅうぎゅうに詰め込んでます、うんうん。でも私は嫌いじゃないですよ、まさかリーガルミステリーにデスゲームをぶち込むとは… 発想力に完敗しました。

特に裁判員裁判、議論のシーンなんか最高ですね。映画『十二人の怒れる男』や『12人の優しい日本人』のオマージュが詰まってて大好き。例えばあのセリフとかさー、アプローチは同じですよね。細かいネタにニヤニヤしちゃいました。

謎解き部分はしっかりと本格ミステリーなんですよ。事件の要諦では本格ならではの怪しい手がかりが提示される。裁判員の議論のなかで色々推理が展開されるのですが、これが思った以上に粘着質があるんです。こういうことかーでは終わらないんだよね、新人先生の作品とは思えません。

物語の展開も十重二十重に色んな仕掛けしてくるし、特に終わり方のイメージがつかなかったんです。どうやってオチつけるのかしらと思ってたんですが―― なるほど、しっかりと作者の想いが伝わってきましたよ。

キャラクターでイチ推しなのは主人公の実帆ですね。学生で人生経験の少ない彼女が、裁判員という他人の人生に足を踏み入れた時、世界の見え方はどのように変わるのか。後半からの飛躍っぷりには惹きつけられましたね~、これからも彼女の成長していく姿を見続けたいと思いました。

さて裁判員制度が始まって15年くらいは経過してますが、法曹界や国民での評判はどうなんでしょうか。ひろく国民が参加するという点、またその人の人生経験、良心をもとに評議するという点で、個人的には良い制度だと思っています。

こういった作品が読まれることで、あらためて裁判員制度を考える機会が増えるといいですね。

■ぜっさん推しポイント
私も社会人生活が長いので、本作で語られているような課題だったり、当事者の葛藤なんかはよく理解できます。物事には筋ってのがあるのは分かってるんだけど、物事を進めるには筋よりも優先させなければいけないこともある。

さらに立場、粒度、レイヤーごとにも、それぞれの筋があるから、より複雑化してくるんですよね。

特に法曹の皆さんは他人の人生に大きく影響を与える職業ですから、ご心労痛み入ります。でもだからこそ法律家の皆さんには、胸を張って職務を全うして欲しいと思いました。

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2025年05月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とっっても面白いミステリーでした!
話が二転三転、こっちに決まったと思ったら
それが覆されて実は…!と最後の最後まで真相が分からず急いで読み進めてしまいました。
裁判員制度で集まった(集めた)人々に復讐することが目的かと思いきやそれは土台で、
本当の相手はさらに…と驚かされっぱなしでした。
また、最初の実帆の印象は私の中でそんなに気の強くない女の子、といった印象でしたが物語が進むにつれ、推理力・思考力のすごさや物怖じせず答える場面があったりと、強く賢く優しい人だなと感じるようになりました。
これは想像ですが、佐藤のお母さんと似ているような気もしました。
実帆のその後が知りたいです。

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2025年04月24日

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私にとってど真ん中ストライクの本。法廷もののミステリー小説。裁判員裁判の在り方を問うまさに現役弁護士ならではのストーリーだった。
文章も読みやすく、一気読みした。終盤ちょっともたつきを感じさせる箇所もあったが、最初の勢いで一気に突っ走っていった。
所々、えっと思わせる展開。次作が待ち遠しい。

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2025年04月21日

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第28回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。

錆びれたビルの四階にある評議室に集められた七名の裁判員たち。

彼等を呼び出したのは裁判官・元邑太朗。
とある殺人事件の評議を言い渡されるが、もし元邑が求める回答でなければ部屋丸ごと爆破すると告げられる。

タイムリミットは午前零時。

裁判員制度の是非に考えを巡らせながら緊張感を持って読み進めた。

閉ざされた空間で繰り広げられる会話劇から目が離せない。

あちこちに張り巡らされた伏線、終盤は伏線回収のオンパレード。

二転三転する真相、最後まで油断ならないスリリングな法廷ミステリー。

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2025年04月14日

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評議室に集められた裁判員たち。とある殺人事件の評議を"真摯におこない"、"答え"を出さなければ爆殺される。リミットは午前零時─

弁護士が書いた本格ミステリ。おもしろかったです。閉ざされた評議室での会話劇と外部で調査する弁護士の動きが同時に進行する中で少しずつ謎に迫っていく。法廷もの、密室劇としての枠組みだが大オチまでしっかり本格ミステリとして組まれているのが良し。

最近の新人賞は弁護士か医者が多い気がしますね。こういう専門知識が元になったミステリもいいけど個人的にはなにかの専門家じゃない"ただのミステリ作家"の書いた"探偵ものでしかない"ミステリのほうが好みだな、とあらためて思いました。
いや、本作は本格ミステリとして充分おもしろかったです!本業が忙しいかもだけど次作も楽しみに待っております。

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2025年03月19日

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とある殺人事件の裁判員として集められた七人の男女。オリエンテーションと称して集められたが、「正しい評決をできなければこの場に仕掛けられた爆弾を爆発させる」と。

法廷ミステリとデスゲームの融合。いい感じにきれいにまとまっていて面白かったです。デビュー作みたいですが読みづらいということもなく最後までサクッといけましたし。
ただ、なんだろうな?奇麗にまとまりすぎていて謎があって真相なのか、真相ありきの逆算で謎や伏線がつくられたのかそんな気にもなってしまった。
あとは被害者の悪辣っぷりへの同情や言及がやたら少ないのとか、依頼主のしたたかさみたいなのは現役弁護士さんだからこその視点なんだろうなあ。こちらのほうがむしろ作り物めいていないリアルさが感じられてしまった。

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2025年10月20日

Posted by ブクログ

ある事件の関係者が謎の建物に閉じ込められ、命をかけた「評議」をさせられる。という設定にワクワクさせられる。また、評議の題材となる事件と、このデスゲームの真相という2種類の謎を並行して解くという手法も凝っている。法律や司法制度を絡めた展開も斬新。
しかし、大した手がかりもなさそうに見える状況で主人公がいきなり真相にたどり着いたり、前半はおどおどしていた主人公が謎解きの場面から急に強気になったりと、やや脈略を欠くようにも思える。また、ラストにかけてあれこれと意外な真相が連発され、さすがに現実感が乏しくなる点が残念。

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2025年10月01日

Posted by ブクログ


本格ミステリかつ法律小説。

事件の真相に辿り着いたと思っていたら、
ラストでさらにもう一捻り。

真犯人と関係性については、おおよその
予測がついたけどラスト数ページ部分まで
繋がるとは読みきれなかった。

清濁併せ呑み、その上で法に温かみを添えた
読み応えのあるお話でした。

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2025年09月23日

Posted by ブクログ

第28回ミステリー文学大賞新人賞受賞作(この賞は、光文社の関連団体である光文文化財団が主催している。正賞・副賞のほか、受賞作が光文社から出版されることになっている)。

女性容疑者が過去の交際相手を殺したとされる事件。裁判員裁判となることが決まっていた。事件の裁判員に選ばれた面々が、「オリエンテーションがある」と、とあるビルに呼び出されていた。折しも外は大雨で、交通にも影響が出る可能性があるほどだった。
主人公・神山実帆(こうやまみほ)は、補充裁判員として選ばれた。欠員が生じた場合のための要員だが、裁判には最初から参加することになるため、オリエンテーションにも来てほしいと請われた。
ところが、集まった7人は、呼び出した裁判官により、スマホ等を没収され、1室に閉じ込められてしまう。実は、実帆以外の6人は、過去、別の裁判員裁判に関与しており、彼らの評決で無罪となった被告が、その後、有罪であったことが判明していた。
別室へと移った裁判官は、今回の事件では、全員一致で正しい結論を導け、そうでなければ7人のいる部屋を爆破する、と宣言した。
タイムリミットは午前零時。あと6時間。事件の資料はすべて揃っている。
さて、彼らは正しい答えにたどり着けるのだろうか。

なかなか凝った作りのクローズドサークルもの。田舎町のビルの1室なのだが、大雨の中、停電するといった条件も緊迫感を高めている。何より、現代では、電子機器を取り上げられ、外部との連絡手段がないという状態は、精神的に追い詰められるものとなるだろう。

ジャンル的には、あとがきで著者が述べる通り、本格ミステリとして書かれている。一応、伏線はちりばめられ、さほど姑息な感じはしないのだが、ところどころ、力技の印象を受ける。
事件を討論するうち、6人の素性もいろいろとわかってくる。糾弾されるべき人物は糾弾され、次にまた別の人物が槍玉に上がり、事態は二転三転する。
そもそも彼らを招集した裁判官の目的は何か。そして当該事件の真相は。
彼らはひとつの結論に到達するのだが、それは果たして真相だっただろうか。
さらには、事件は実は評議室では終わらない。
裁き、裁かれるどんでん返し。最後の数ページで読者が見る景色はどんなものだろうか。

脳をこねくり回されたような読み心地。少々てんこ盛り過ぎではないかと思うが、時には悪くない。


*著者の衣刀(いとう)信吾という名前もなかなかですが、登場人物にも西志(にし)、元邑(もとむら)、羽水(うすい)と結構こだわりを感じる名前が付けられています。作中、1点、名前の読みがキーとなるエピソードもあります。単なるこだわりかもしれないですが、別の作品等で、トリックに使われることもあるのかも?

*爆発物を仕掛けてなんちゃら、みたいな展開は、小説にも映像作品なんかにもありがちですが、そんな簡単に取り扱えるものなんですかね・・・? (「仕掛けたぞ」という威力業務妨害みたいなやつはともかく)現実の事件ではそれほど聞かないように思うのですが。そうでもないのかな。

*選評を読んでいたら、選考委員の作家さんたちが結構温かい言葉をかけていて、ちょっと「へぇ」と思いました。同士、あるいはプレ同士に向けたエール、的なものなのかな。

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2025年09月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

裁判員裁判への問題提起。

裁判員裁判をちょっとでも知っていたら、舞台設定が不自然なのがわかる(弁護士事務所でアルバイトしている実帆がそこに気づかないとか…)が、そこはスルーしないと話が進まない。
裁判の対象になっている事件と、それを巡って集められた人たちの事件と、二つの事件を扱っている。

復讐、なのだろうが、最も悪い相手(=事情もわからなずバッシングしてくる外部者)には復讐できないジレンマがある。
言論の自由をはき違えている輩にはそろそろ黙ってもらいたいものだが、諸刃の剣なので難しい。マスコミにはプロの矜持を見せてもらいたいものだ。

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2025年08月04日

Posted by ブクログ

大学生の美帆に届いた裁判員選任の案内状。記載された被告人の名前に聞き覚えがあったが、それはアルバイト先の羽水弁護士事務所が担当する事件だった。事前オリエンテーションとして担当判事に呼び出された裁判員たちに、通常とは違う異例の事態が訪れるー。現役弁護士の作者さんなので法廷ミステリーかと思いきや…。設定に少し無理があるような気もするのですが、このストーリーなら仕方ないのかも。デビュー作とのことなので、次作に期待したいと思います。

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2025年07月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

デビュー作は作者の経歴を先に見ることにしていますが、「日本弁護士連合会副会長」とありビビりましたが、ちょっといろいろと無理があるかと。しかしミステリ愛を感じました。

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2025年07月05日

Posted by ブクログ

設定とかモチーフとか作家さんが弁護士ということでなかなか着想は良いかと思いましたが、犯人に関してはなんとなく文脈の中で早めに想像できたので凄いという読後感は湧いてこなかったかな。ただ全体的には面白く頁を繰るのが楽しい作品ではあります。

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2025年05月02日

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