【感想・ネタバレ】満潮に乗ってのレビュー

あらすじ

大富豪ゴードン・クロードが戦時中に死し、莫大な財産は若き未亡人が相続した。戦後、クロード家の人々はまとまった金の必要に迫られながら、後ろ盾のゴードンを失くし窮地に立たされる。“あの未亡人さえいなければ”一族の思いが憎しみへと変わった時……戦争が生んだ心の闇をポアロが暴く。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

いやー面白かった。クリスティ作品の中ではなかなか目立たない作品だが、いやはやどうして面白いではないか。「チムニーズ館」と同じくロマンス色が少し強いかな。
それにしても、リン、それでいいのか…? とは思った。「若い女は危険な男に惹かれる」という信条がクリスティにはあるのだろうか。リンの男に惚れる理由には戸惑いしかない、が、まぁロマンス詐欺もどき兼殺人者か傷害致死の犯人なら後者の方がマシなのだろうか……すまんわからん。こう並べてみるとリンの男運と見る目がなさすぎる。とはいえ昔の、とりわけ戦後のことだから選択肢はなかったんだろうが。

さてはて、肝心な3つの殺人事件について。
見事にどれもこれもが予想外の犯人すぎて驚いた。さすがに想像はつかなかったな。
1番気の毒なのはロザリーンじゃなかろうか……。

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2026年04月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

戦後の不穏な雰囲気が濃厚な作品。
クリスティは戦争のことを書きたくないのかなと思い込んでいたけれど、こんな作品もあったなんて知らなかった。
各々の生活、思想だけでなく、物語を動かす三角関係さえも戦争の影響下にあるように思える。
トリックは当時の電話交換など少しピンとこなかったので、再読したい。

戦禍ではもてはやされ、通常の社会では受け入れられないディビットの、暗い魅力が余韻で残る。

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2024年04月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【再読】
老富豪ゴードン・クロードから莫大な遺産を相続した若き未亡人ロザリーンと、金を必要とする富豪の一族クロード家。突然遺産を奪われるかたちになったクロード一族の面々は、ロザリーンを忌々しく思う。
そんな中、ロザリーンには前夫がおり、しかもその前夫は生きている可能性が浮上する。そうなれば富豪との結婚そのものがなかったものになるため、クロード一族は躍起になる。一方ロザリーンの兄デイヴィッドは、そんなことになれば妹の遺産はなくなってしまうので大いに慌てる。しかも前夫の知り合いを名乗る男が現れ、前夫が生きている事実を公表されたくなければ金を払えと恐喝までされる始末。
そしてデイヴィッドを恐喝した男が死体となって見つかると、実はその男こそがロザリーンの前夫ロバートだったことが発覚する。動機と機会からデイヴィッドが逮捕されるが、ポアロはそのことに疑問を呈する。ロバートと見られていた男は、クロード一族の一人フランセスのいとこチャールズという男だったのだ。夫の経済的な損失を補填するためフランセスはチャールズにもちかけ、ロバートのフリをして恐喝を働いたのだった。ポーター少佐が死んだチャールズを見てロバートだと証言したのは、クロード一族のことを思ってのことだった。偽証をしたポーター少佐はその後ピストル自殺を図る。
ここにきても、チャールズを殺した犯人はわからないままだった。だがチャールズが殺害される直前に謎の女性と会っていたことがわかった直後、ロザリーンが自殺する。遺書には自分がチャールズを殺したことが書かれていたが、真相は全く違ったものだった。
チャールズを殺したのはローリィだった。ローリィはロバートになりすましたチャールズに気づき、腹を立てて死なせてしまった。直後チャールズを訪ねたデイヴィッドは死体を発見し、自分に嫌疑がかかることを懸念してチャールズの死体をめちゃくちゃにし、さらに女装までしてチャールズを訪ねた女がいたように見せかけた。
さらには、デイヴィッドとロザリーンは兄妹ではなかった。本物のロザリーンは戦時中にすでに死亡しており、デイヴィッドは使用人を唆してロザリーンになりすまさせたのだった。だが偽のロザリーンが罪の意識に苛まれるようになったため、自殺に見せかけて殺したのだった。

ロザリーンとデイヴィッド兄妹を憎むクロード一族、死んだはずの前夫が現れると困る兄妹。それぞれの思惑が渦巻き複雑な人間ドラマが形成される。戦争から戻り安穏な暮らしに戻ったことに倦むリンが、無軌道な青年デイヴィッドに惹かれるというのも戦争が投げかけた暗い影の一つなのかもしれない。
人は変わるようでいて変わらない。
「いやー、リンの最後の選択はないよね」などと語り合えるのもクリスティー作品の魅力だと思う。
●見どころ
 ・自分を殺そうとしたローリィを逆に愛するようになるリン
 ・いつの時代も、女性はちょっと危ない男性に惹かれるもの(だが少し危な過ぎやしないだろうか)
●名言
 「人生の悲劇は、人間はぜんぜん変ることができないというところにあります」
 「さて話をはじめますか。私がこう宣言するときは、本気で根こそぎしゃべります。そのおつもりで」

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2026年08月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

真実を全て世間に明らかにしない、明らかにしないほうが幸せなこともある。殺人事件という非日常はそんなに起こり得ない。だからこそ事件が起こる前の人間の心情描写を丁寧に描く。動機を持っている人が犯人ではないこともあるし、一見動機がないのに明らかになると納得できるような隠された動機がある。みんな怪しいし、殺されそうな人は明らか。えっこの人から殺されるの!この人今死んじゃうの、、そんなドキドキも味わえる良い作品

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2024年08月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

世界的富豪ゴードン・クロードの別荘でガス爆発事故が発生、ゴードンは死亡し、新妻ロザリーンと、その兄デビッドは生存する。それから2年が経ち、ロザリーンとデビッドの厳しい遺産管理により、クロード一族は苦しい生活を強いられ、クロード一族にとってロザリーンは邪魔者となる。一族の反感をくらうロザリーンは、日に日に憔悴の度を深める。さて、ポアロシリーズの中でも「推理」よりも、最後に誰と誰が恋中でゴールインするのでしょうか?という問い探しミステリーといった方が良い作品。今回「おかしい」人間の多さにはびっくりたまげた。③

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2022年12月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

悲劇はあたかもシェイクスピアのように。

大富豪の未亡人、その兄と、困窮する一族。戦争の傷が描かれた作品で、戦後を生きるイギリスの人々の姿に思うところがある。戦時中は従軍し、戦後田舎に帰って婚約者との結婚に戸惑うリン・マーチモントが印象的。前半でたっぷりとクロード一族の人間模様を描き、ポアロは名探偵だが、もはや主役ではないのでは。ラストは、すっきりとまでは言わないが、ひとつの人間関係の決着に満足した気持ちになった。クリスティ作品に出てくる女性は、いつも印象的で、何十年たった今でも全然古びていないと思った。

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2019年07月04日

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