あらすじ
第一次大戦後、イタリア北西部にある村。貧しい家に生まれた、石工の弟子、ミモ。村の城館に住む侯爵家の娘でありながら自立を望むヴィオラ。出会うはずのなかった二人は惹かれ合い、時に反発し、両大戦間の激動の時代を生き抜いていく。
ゴンクール賞&日本の学生が選ぶゴンクール賞受賞作!
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Posted by ブクログ
ゴンクール賞。イタリアの20世紀前半激動史を背景に、軟骨無形成症の境遇で彫刻家への道を目指す主人公とパトロン家の少女とが、お互いの人生で交差する時間を大切に描いた作品。ミケランジェロ作品と並び賞されるピエタを頂点とする彫刻家パートがとても面白かった。彼女との接点での一番素敵なクライマックスは、フラ・アンジェリコの受胎告知を見せるシーン。2人の奇特な人生が絡み合う頂点の輝きを感じ取れた。もう一つの頂点は、彫刻家としての矜持を果たした授賞式のシーン。全体に反ファシズムへのメッセージが強く込められている佳品。
Posted by ブクログ
2023年のゴンクール賞受賞作という謳い文句にも惹かれましたが、とにかく「読み物」として抜群に面白い一冊でした!
舞台は20世紀前半、ファシズムの影が色濃くなるイタリア。貧しい彫刻家のミモと、貴族の娘ヴィオラ、それを取り巻く多くの人々。それぞれのキャラクターがはっきりと立っていて、そんな彼らが激動の時代に立ち向かいながらも翻弄される姿には、ディケンズの小説を読んでいる時のようなワクワク感がありました。
■ 飽きさせない構成とストーリー
過去から破局的な最期へと向かうタイムラインと、現代の謎めいた状況が交互に描かれる構成が絶妙です。先が気になって一気に読ませる推進力があり、エンターテインメントとして非常に高い完成度を感じました。
■ 作中で明かされる「ピエタ」の真実
この物語の核心である、ミモが作った「ピエタ」。その衝撃的な解釈についても、作中できちんと言語化されているのが良心的です。
マリアではなくキリストこそがヴィオラであり、時代に翼を折られた彼女を慈しみ、守り続けるマリアがミモ自身であること。
作者が作中ではっきりと描いているからこそ、読者は深読みしすぎることなく、ミモが彫り込んだ「失われたものを取り戻すことはできない哀しさ」や「喪失感」をストレートに受け取ることができます。その哀しみは、見る者を動揺させるほどの圧倒的な力を持って迫ってきます。
「文学」という言葉に身構えなくても、物語の奔流に身を任せて楽しめる傑作。この読後感の良さは、なかなか味わえないものだと思います。