あらすじ
本屋大賞作家の新境地となるサスペンス巨編!
声なき声が届くなら、今度こそ記者を諦めない。
『52ヘルツのクジラたち』で2021年本屋大賞を受賞後、『星を掬う』『宙ごはん』で同賞に3年連続ノミネート。人間ドラマを中心に執筆してきた町田そのこさん、初のサスペンス巨編!
北九州市の高蔵山で一部が白骨化した遺体が発見された。地元のタウン誌でライターとして働く飯塚みちるは、元上司で週刊誌編集者の堂本宗次郎の連絡でそのニュースを知る。
遺体と一緒に花束らしきものが埋めれられており、死因は不明だが大きな外傷はなかった。警察は、遺体を埋葬するお金のない者が埋めたのではないかと考えているという。
遺体の着衣のポケットの中には、メモが入っていた。部分的に読めるその紙には『ありがとう、ごめんね。みちる』と書かれていた。
遺体の背景を追って記事にできないかという宗次郎の依頼を、みちるは断る。みちるには、ある事件の記事を書いたことがきっかけで、週刊誌の記者を辞めた過去があった。
自分と同じ「みちる」という名前、中学生のころから憧れ、頑張り続けた記者の仕事。すべてから逃げたままの自分でいいのか。みちるは、この事件を追うことを決めた──。
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Posted by ブクログ
読んでいて一番印象に残ったのは、自分の「多分」で描くのは「ほんとう」を見失ってしまうという言葉だった。その言葉がこの小説の芯を食っているんじゃないかと思った。偏見や妄想は邪魔でしかない。
人と関わる、人と向き合うと痛みを伴う瞬間がある。けれど誠実に向き合えば自分を人として成長させてくれる。前を向かせてくれる。あるいは深みのある人生を送ることができることを思い出させてくれた。
Posted by ブクログ
かつて事件記者をしていた飯塚ミチルは、自分の記事で自殺者を出してしまい、精神を壊してしまう。それからタウン誌の仕事をしていたのだが、元カレの堂本から事件の取材記事を依頼されたことをきっかけに、殺人事件を追うことになる。近所に住むタクシードラーバーの井口といっしょに、死んだおばあさんが誰なのかを調べていくなかで20代女性の死体を発見する。
胸糞ですが、すごく面白かったです。人を救うことで救われるってあるよね。出てくる女性たちがとても可哀想で、痛々しくて読んでいて辛かったんですが、いちばん心にキたのは、母親の本心を知ってしまう井口さんのエピソードかもしれない。辛すぎる……。
Posted by ブクログ
近所の男性が、なんで熱心に協力してくれるのか?怪しんでたけど何でもなく、理由がよくわからなかった...心が女性というのも取ってつけたような。
とはいえ人間ドラマにはとても読み応えがあって一気読みしました。
町田そのこさんハズレが無いなぁ(今のところ)
Posted by ブクログ
虐待をはじめとするシリアスなテーマを主題とする作家というイメージで、これまで手に取る機会がなかった。今回、サスペンス・ミステリーと云うことで、読み始めると予想していたような手軽なエンターテインメント作品ではないと気づいた。
物語は、元週刊誌記者の主人公がある属性のドライバー役と事件を追うバディものとして進んでいき、クライムノベルとしての展開の面白さもあるが、地方に暮らす女性の立場や家族や親との関係などこの作者ならではの視点で犯罪とともに明らかにされていく犯人たちの愛情に飢えた共依存と支配関係が、さらにその過去の…
「人は人で歪む」という悲しさ、恐ろしさ…
でも、「ひとはひとによって、まっすぐになることもできる。強さから輝きを分けてもらい、自分の糧として立ち上がることができる」
ラストの主人公の選択で心が救われた。