あらすじ
「私はいつだって、何も解っちゃいなかったのだ――」。元編集者・加藤麻美子を悲嘆の淵へ突き落とした修養団体「みちの教え修身会」と“謎の薬売り”尾国誠一の暗躍に関口は呟く。一方で古武術の一派「韓流気道会」に襲撃された中禅寺敦子に「私は先のことが判るのです」と告げた女あり。その名は華仙姑処女。
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Posted by ブクログ
痛ェと感じるうちは大丈夫だ--。
躰が生きたがっている証拠よ--。
--木場。
ふたり切りで敗走した夜--。
前線で聞いた、戦友の言葉だ。
そして私は、微かに友人の顔を思い出した。
続く支度は猿っぽい「ひょうすべ」と狛犬のような顔の「わいら」。
「ひょうすべ」不幸な元編集者・加藤麻美子の身に起こった謎を京極堂にて解体する。
「わいら」書いた記事が原因で古武術の一派「韓流気道会」に襲われる中禅寺敦子。その最中に追われていた女と出会い、彼女が巷で有名な予言者であると知る。彼女と共に榎木津を訪ねるまで。
今回のお茶目な京極さんは、百鬼夜行を片手に「こいつの出番が多くって困る、貴重な本が傷む」とぼやきつつ引用するところでしょうか。あとは、質問の多い関口君に素で答え、「でももういいよ。大体解ったから--ん?おい。余計なことを云うんじゃない。君は黙っていればいいんだ関口君」と応えている辺りでしょうか。学生時代から続く腐れ縁がこんな所で発揮されています(笑)
所々に差し込まれる捕われている関口君の独白。
最後の場面は木場を思い出し、生きていることをなんとか自覚している事に儚さを感じます。