あらすじ
京王線×井の頭線
東京・多摩に広がる街の怖い話
東京都下を縦横に結ぶ京王電鉄沿線の街で語り継がれる不思議や怪奇を多数収録したローカルご当地怪談集。
・朝方の激しいノック、消える老婆など怪異が頻発する異様な物件「笹塚のマンション」
・遺跡からの出土遺物保管庫で人知れずおこなわれている仕事と恐怖「府中のミイラ」
・怪女!杉並や中野に出没していた都市伝説が京王沿線にも…「調布の赤い女」
・渋谷駅東口に建つとある高層ビルにて、異様な風体の男を目撃するも…「ビルの谷間から」
・町田街道沿いの葦茂る高尾の沼で目撃した戦慄の女の正体とは…「沼の女」
・千歳烏山のとある郵便局でバイト中に目撃した銃痕だらけの男の霊「烏山」
・多摩センター付近の某所にある、事故や事件が異常発生する曰くつきの忌み地「耕せない土地」
・池の畔を歩いていると、不思議な女性と出会い…。不思議あふれる吉祥寺の名所「井の頭池の女」
・人ならぬ異形が彷徨う聖蹟桜ヶ丘の川原「大栗川にいたもの」「多摩川にいたもの」
・初台の住宅街から迷い込んだ古い洋館が建つ緑色の歪な異空間「渋谷区緑町」
・明大前の某大学にある学生会館の舞台袖。その闇に潜む存在しないはずの者「上手の人」
・南大沢のとある集合住宅で多発する怪奇現象の数々「団地の日々」
・新宿三丁目駅を境に時空がループする奇妙すぎる体験談「三丁目の三怪」
・橋本から国道16号を走行中、緑色に光る謎の飛行物体が…「とびだし注意」
・八王子の山中で首吊り死体を発見した男性の身に起きた戦慄の出来事「あのー」
――など、新宿を起点に多摩地域を横断する京王線を中心に、相模原線や井の頭線など京王電鉄沿いに広がる街々に埋もれた怪異譚を怪談作家ふたりが綴る!
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
ホラーや怪談は苦手だ。子どものころは、うっかりそういうものに触れてしまうと、夜かなり怖い思いをしていたけれど(寝れなくなって……とはならなかったところが、なんだか自分らしいのだけれど)、歳を重ねて少しずつ耐性がついたのか、「怖いもの見たさ」で手を出す余裕が出てきた、ような気がする。
京王線のとある駅で、偶然立ち寄った本屋のレジ横に、この本が積まれていたら、買うしかないでしょう。それはもう。
吉田悠軌さんはクレイジージャーニーに出ていた方で、著者の名前に見覚えがある、と思った自分の勘は正しかったし。
怪談、それも、実際に体験した人に聞いた話をまとめたもの。
いつかどこかで、ではなくて、この時期に、この場所で、と特定されるからこその怖さはあるものの、「見間違いや思い込みかもしれない」「ただの偶然かもしれない」と、人ではないなにかのギリギリ境界線あたりにある感じで、怖がりでも十分耐えられた。逆に変に怖がらせようとしないあたりがリアル、とも言える。
なんというか、読者を怖がらせようとしているホラー小説だとかの方がよっぽど怖いんだよ。
四十数年生きてきて、なんというか、たぶん世の中不思議なことはあるし、悪いことをしたら自分に返ってきたり、そういうことはあるんだよ、ということを感じているのかもしれない。
短い話がたくさんある構成なのだけれど、話によって視点がブレるというか、話者の立ち位置が変わるというか、構成が変わるのが、少し読みづらい。
筆者が二人いるので癖が違う、のもあるかもしれないけれど、フラットな第三者トーンだったかと思えば、突然、書いている人の該当する駅への思い入れや印象が出てきたり、書いている人による補足が入ってきたり、しかもそのどちらも主語が「私」(二人いるのに)なので、なんだかすっきりしない。