あらすじ
東京大空襲から80年。パイロットを夢見た少年はなぜジェノサイドの司令官となったのか――。
第二次大戦中、米陸軍航空軍大佐として日本への無差別爆撃を指揮したカーティス・ルメイ。彼は非道な人物だったのか、それとも組織への忠誠心から行動しただけなのか。ルメイの生涯を辿り、東京大空襲がなぜ起こったのか、その背景を明かし、平和について問う。
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Posted by ブクログ
「カーティス・ルメイ」をどのくらいの日本人が知っているだろうか?恥ずかしながら、私自身も日本本土空襲に関わった指揮官程度くらいの認識しかなかった。本書は、一夜で10万人の犠牲者を出した東京大空襲を始めてとする日本本土への焼夷弾・無差別爆撃を指揮した男であり、1945年末までに13万人の犠牲者を出した広島の原爆投下や7万人の犠牲者を出した長崎の原爆投下にも関与したカーティス・ルメイ。カーティス・ルメイ本人の自伝や英語文献を丹念に調査・研究した書籍である。空にあこがれた少年時代。勉学に励みながらも生活のために軍隊に属した青年時代。空軍の地位向上や改善に取り組み、ヨーロッパ戦線から日本本土への焼夷弾・無差別爆撃など理論などより実地を好む「実際家」としての壮年時代。最終的には政争に巻き込まれる晩年。ベトナム戦争の北爆では「ベトナムを石器時代に戻せ」などと発言記録が残るなど、強硬な戦時姿勢があらわとなる。他方で、1964年12月の自衛隊創設10周年記念において航空自衛隊の育成に貢献したとして勲一等を授与されている。時代考証や解説に、明治大学文学部の山田朗氏(近現代史・登戸研究所所長)が加わっている点も、本書を重厚なものとしている。敗戦から80年を迎える今、ルメイを通じて世界史観で本書を読み込めたことは深い学びとなった。
Posted by ブクログ
東京大空襲の指揮官カーチス・ルメイ。
名前は有名だが細かくは日本国内でも、あまり知られていなかった人物。
その生涯はアメリカ空軍の創設の歴史と重なる。JFKの時代、キューバ危機からベトナム戦争にも深く関わっている。副大統領候補として大統領選に絡んだり、職業軍人としてだけでなく、アメリカ政治史にも微妙に絡んでいる。
無差別爆撃から旭日一等章まで、戦後日本を語る上で実は避けて通れぬ人物。その生涯を日本人なら知っておいて損はないだろう。
Posted by ブクログ
人類史に残る大戦争犯罪、東京をはじめとする日本の大都市爆撃。
「無差別」ではなく民間人を狙った殺戮を陣頭指揮したカーティス・ルメイ。
航空自衛隊の設立、指導にあたって多大なる貢献をしたと、日本から勲章を贈られている。
米軍人が贈られたのは知っていたが、この方とは知らなかった。
その人物の一代を描く。
のだが新書判が薄すぎて、内容も薄い薄い。
翻訳者が本業らしいのだが、文章下手すぎて、構成下手で、スカスカの干し芋食ってるみたい。
何つて、航空自衛隊を指導するあたりのエピソードはガッツリ抜けている。構成をどこかに絞ったほうが良かったのではないかと思う。
米軍の理屈、本土決戦のための米軍人の死傷者を減らすためだと言う大嘘。
日本には継戦能力がなかった。少なくとも、海を渡ってあんたらの国に攻め込む戦力はなかった。あんたらが攻め込んでこな、戦闘はない。
で、日本は休戦を模索してた。
米国は日本と戦う理由がなかった。
米国は、日本に勝つのでなく、日本を殲滅したかった。
ルメイ氏の、干戈を交えた以上は手段を選ばず相手を徹底的に潰すのが戦争だという発想は、まさにそれにぴったりだった。
金掛けた爆撃機を成功させないと大変なことになる。
空軍の力を見せつけて、戦後に地位を確立したい。
どれもこれも、生きるか死ぬかではなく、どう殺すかしかない理屈。
ルメイ氏は前線に出ていただけであって、その戦略を後押しした米軍、米国というのが、神の使命を背中に負ったある意味頭のおかしい連中なのはわかっているが、それでも勲章はないやろう。
坂井三郎が戦後米国から勲章をもらったのとは違う。
同等に戦ったから認められた勲章と、ただ冷酷に、戦争犯罪としりながら非戦闘員を虐殺した人間とは違う。
勲章を賜るのは、天皇だ。
戦中に、臣民を虐殺した当の本人に叙勲する陛下のお気持ちを慮るのは僭越であるのだが、ちょっとやってられん。
本の良し悪しとは別。