あらすじ
●成長に必要なのは戦略的背伸び。その論理と進め方を明快に解説。
オーバーエクステンションとは、現在の自社の能力基盤に弱いところがあることを承知の上で、あえて新市場や新しいビジネスシステムに乗り出すこと(新しい企てに乗り出す背伸び戦略)。どの企業でも成長の転機には、オーバーエクステンションがあった。しかし、日本企業はそれへの挑戦が減ってしまったのではないか。そのうえ、まっとうな投資すら抑制してしまった。今こそ、オーバーエクステンションが必要な時代だ。トヨタ自動車、ヤマト運輸、アマゾン、東芝、信越化学、JSR、セーレンなどを題材にその進め方を明快に解説する。日本企業復活に必要な「挑戦する仕組みづくり」を徹底的に解説する待望の書。
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Posted by ブクログ
業務時間の20%を本来業務以外に当てられるのは、東芝が先だった。それで日本語入力ができた。
大きな目標、戦略的ビジョンでの直接的な企業への効果、企業の将来のポテンシャルをどう大きくするか、どう実力不足を克服するかを描く。
学習内容が豊富な業務は他人に任せない。
無茶はたまにはした方がチャレンジできる。
Posted by ブクログ
四つのオーバーエクステンションの共通点
これまでの二つの章で詳細に紹介してきた四つのオーバーエクステンションには、少くとも以下のような五つの共通点がある。
(1)到達点に大きな夢がある
(2)そのときの組織の能力基盤をかなり超えた挑戦であった
(3)さまざまな困難な新しい仕事を現場が始めざるを得ない
(4)当初は組織内でそれほど支持されていない
(5) 途中でさまざまな想定外の困難に遭遇する
オーバーエクステンションの三つの基本論理
なぜ、オーバーエクステンションが能力基盤の拡大・強化につながり、それが企業成長のバネになるのか。
その基本論理の三つのキーワードは、夢、緊張、覚悟である。それぞれのキーワードを核として、三つの基本論理、つまりなぜオーバーエクステンションが成功するかの論理があるというのが、この本の主張である。その三つの基本論理の全体像をまずこの節で解説しよう。そして、次節以下でそれぞれの基本論理のくわしい解説をしたい。
オーバーエクステンションという、「自分の実力(能力基盤)が自分のやりたいことを成功させるには不十分な部分がかなりあることを承知の上で、そのやりたいことに挑戦し始める」という戦略は、組織に(トップにも現場にも)三つのものをもたらす。それが、 夢、緊張、覚悟である。
緊張からの現場学習の論理
オーバーエクステンションの緊張がどのように現場学習を促進させ、加速させるのか。
その論理は、緊張が生み出す次の三つの効果がつながり合って生まれるものである。
・現場シグナル効果
・現場学習加速効果
・ポテンシャル顕在化効果
ひらたくまとめてしまえば、緊張が「どんな能力がとくに欠けているか」についてのシグナルを現場に送ることになる。そうして明確になった「とくに能力不足解消の努力が重要な部分」について現場の仕事で強度を重点的に高めることで、現場学習が強化される。 さらに、実地学習だけでは補えない能力基盤の弱さが出てくると、その弱さを補強できるポテンシャルが組織の中のどこかにないかについて探索が強化される。その結果、ポテンシャルが見つかり、顕在化する。こうして能力基盤の弱さが補強され、オーバーエクステンションが解消され、結果として事業活動がうまくいくようになる。
オーバーエクステンションのプロセスマネジメント
・助走
・踏み切り
・学習
・やり切る
・夢を語り続け、本気の背中を見せ続ける
・退路を断つ
・赤字(苦境)に耐える体力の確保
つまり、戦略的挑戦(オーバーエクステンション)の発想と計画づくりの両方の段階で、市場への魅力と能力基盤をどうつくれるかをきちんと考えることが、無理と無茶を分ける境界線だということである。それは、いわば「成功の論理の境界線」である。
その事前の思考の論理が全体として安易ならば失敗する。つまり、無茶になる。しかし、現状の能力基盤がかりに不十分でも、市場への魅力をきちんと確保できそうな発想を持ち、あえてその能力基盤不足を承知の上で能力整備計画をきちんとつくって実行できれば、オーバーエクステンションは成功する。無理の範囲にとどまるのである。
三つの基本論理
・夢からのエネルギー供給の論理
・緊張からの現場学習の論理
・覚悟からの意識集中の論理