あらすじ
年間150万人という驚異的な動員を続ける美術館が金沢にある。そこは宇宙船のような外観で、無料でも有料でも楽しめるという不思議な美術館。奇抜なアイデアを連発し注目を集め続ける名物館長がその全てを公開する。
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Posted by ブクログ
なぜ、金沢21世紀美術館には人が集まるのか?
それは初代館長である著者を中心とした新しい取り組みの成果であることがわかった。
その取り組みは奇抜に見えて、実は非常に合理的なものであった。
美術館はお客さんに来てもらうところ。
来たけりゃ来い来たくなけりゃ来るな、というような従来の美術館のモデルではダメだ、著者は外国で働いた経験からそう気づいたのであった。
美術館もサービス業、お客さんに来てもらうために工夫を凝らすのが大事。
言われてみたらそうだが、コロンブスの卵のようなものである。
子供目線の取り組み。
開放的な空間作り。
肩肘張らずに、ふらっと寄れる身近な感覚。
その他諸々。
言葉でいうのは簡単かもしれないがそれを実行する行動力と手腕は天晴れの一言。
シャッター街になりかけた繁華街を蘇らせた芸術の力。
経済ありきの芸術ではなく芸術が経済を動かすという新しい発想には、驚嘆とともに感動を覚えた。
文化の重要性とそれによる人間形成にも触れた興味深い一冊。