あらすじ
漫画原作者の佐紀は、人生最悪のスランプに陥っていた。デビュー前から二人三脚、誰よりもなにもかもを分かちあってきた編集者の玖美子が急逝したのだ。二十歳のころから酒を飲んではクダをまいたり、互いの恋にダメ出ししたり。友達なんて言葉では表現できないほどかけがえのない相手をうしなってしまった佐紀の後悔は果てしなく……。喪失と再生、女子の友情を描いた、大島真寿美の最高傑作!
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Posted by ブクログ
大切な人を失った山本佐紀の失意と再生の物語。
泣けた。
第一章のワタルくんとの出会いの場面からもう涙が出た。
私自身が大事な人を亡くしてしまったような、なんだかそんな気持ちになりました。
喪失感に苛まれながらも、自分を取り巻く環境は何かが変わったようで、でも何も変わってないようで。
心にポッカリ開いた穴も、いつの間にか塞がっているようで、でも実は塞ぎきれてなくて。
大事な人は亡くなってしまったけれど、でも自分は彼女のいない世界で生きて行かなくてはいけない。
っていうもどかしさというか切なさというか、そういう空気が漂ってるのが、なんか胸に刺さるなー。
という感じもしたけれど、でも、スランプという長い長い喪を抜け出た佐紀は、きっとまた前以上に前進できるんじゃないかな。なんて思ったりしました。
とても素敵なお話でした。
装丁もかわいいですよね。
Posted by ブクログ
北上次郎大絶賛の本作、俺も読んでみた。
北上次郎書評はぴったりハマる時と、首をかしげるときが両方あるんだが、本作はハマった方である。北上好みの情表現が俺好みの方に上手いというか、表現はカラっとあっさり読めて、ちょっと考えると「あぁそれあるある」と入り込めるというか…。
親友同士女性二人の物語で、片方が亡くなってから話が始まるって設定も斬新だが、奇をてらった感は少なく、むしろこの設定ないと書けない友情モンなんだっただろうなぁ。
…あっ、この設定にある何かこそ、北上次郎を揺さぶったものなのかも。残された人々の日常って、好きそうやモンな。
Posted by ブクログ
人から見たら、いや自分でだって、なんてことない毎日を送っている
だけど、知らない間に、頑張っていたりして、疲れちゃうこともある
それでも、1日1日すこやかに生活をしている佐紀の姿がいとおしい
連作短編で、1章づつが短く、読みやすい文章で
とても好きな小説でした
Posted by ブクログ
「戦友」だったひとの死、というところから始まる物語だけど、頑張ってるのになんだかのんびりゆったりしている。
慟哭もなく、劇的な出来事もなく、感動的なセリフもなく、というのが良い。
「喪うことに慣れてしまったからこそ、ようやく繋がった、ようやく見つけたこの細い線を手放してはならないのではないか。」
そうだよね、と思う。いずれ失うものだとしても、だからこそ、しっかりつかんで、大事にしないといけないよね。