【感想・ネタバレ】ヒトラーのウィーンのレビュー

あらすじ

各界の天才が一堂に会していたウィーンで、天才とは程遠い負け犬だったヒトラーは、ユダヤ人絶滅を「善」とする主観を形成した。彼の過剰な健康志向・潔癖症の根もウィーンにある。だが現在ウィーンからヒトラーの行跡は消されている。それをあぶり出すべく、ウィーンと関係の深い哲学者が怪物の青年期を様々な視角から追う。

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Posted by ブクログ

哲学者である筆者が、自身の人生において意味が深いウィーンを舞台に、同じくそこで青年期を過ごしたヒトラーの足跡や心情を、数々の場所をキーワードにして考察した本。

芸術家を志したが、ウィーンという都市にことごとく拒否された頃のヒトラーの惨めさが、生々しく伝わってきた。
ただ、特段、ヒトラーだからというエピソードは無く、才能と努力を否定された一人の青年の姿があるだけ。
この男が、並外れた何かを持っているとは、このウィーン時代を見る限りは、到底思えない。

筆者も最後に書いているが、人間が何を駆り立てるか、そして、その行動に対する、運命の符合の奇妙さというものを、これほど思わせてくれる人生も、確かに無い。

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2013年07月29日

Posted by ブクログ

 ナチズムや歴史ではなく、個人としてのヒトラーに迫った本。
ヒトラーと言えば、禁煙運動と菜食主義者として有名。また、本書で触れられるユダヤ人の最終解決の方法をガス室にした理由「血を見たくないから」でわかる彼の神経質、強迫観念的、潔癖症、妥協を許さない性格。この性質があのユダヤ人大量殺戮をする行動と表裏一体だという分析は興味深い。
 今、巷で流行る嫌煙運動やベジタリアンと、現在の他人に非寛容な息苦しい社会との関係をついつい関連づけてしまう。
 

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2012年03月30日

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