【感想・ネタバレ】この世でいちばん大事な「カネ」の話のレビュー

マンガ家・西原理恵子が「カネ」と自らの人生について、赤裸々に語った本。
「カネ」で家族が崩壊するという壮絶な経験をしたのち、高知から上京。貧乏生活を続けながら美大の予備校に通うも、成績は最下位…。そんな状況で「絵でお金を稼ぐ」という信念を持ち続けるのは容易ではなかったはずですが、彼女は自分のやり方で道を切り拓き、徐々に「絵を描くこと」でお金をもらえるようになっていきます。やがてマンガ家になった西原さんは、またしても「カネ」に翻弄されてしまうのですが…。
才能がある人と自分を比べて落ち込む暇があったら、自分が戦える場所を探し、そこで勝負する…そんな生き方を選択できたのも、お金を得ることの厳しさを幼い頃から身に染みてわかっていたからこそ。逆境から這い上がり成功した西原さんの生き方には敬服。お金や仕事への向き合い方を改めて考えさせられました。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

色々と考えらさせられた。
貧困から抜け出すには?お金とは?と生々しいことが書かれている。

何より、絶対に貧困から抜け出すハングリーさに震えた。
豊かになったから、何をしたいか分からないという悩みが生まれたと書かれていたことにハッとした。稼ぐことは、自由になることだ。

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2024年04月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

貧乏がどれだけ人の心を病ませてしまうかということがわかる。

筆者のお母さん、男性を選ぶことがうまくいかなかった。再婚した夫。首を吊って亡くなった。筆者の試験日に。なんてこと!
葬式の日に、血だらけの母。お金がない父から暴力を振るったらしい。

「貧しさ」は連鎖する。それと一緒に埋められない「寂しさ」も連鎖していく。ループを立ち切れないまま、親と同じものを、次の世代の子供たちも背負っていく。私が大人になってから出会った人たちの中にも、子供時代に悲しい思いをいっぱいしてきた大人がたくさんいる。くぐり抜けてきたんだよね、そういうところを。くぐり抜けてちゃんと大人になったけど、それでも子供の頃の事は忘れてないし、忘れられない。

貧乏は病気だ。それも、どうあがいても治らない、心の病だ。それは、例えばあの窓ガラスが割れたまま、ほったらかされていた家みたいなもの。あれも何か1つの原因でそうなったわけじゃない。何年も何年もかけて、あーなって、いつからそうなったのかももはやわからない。

「そのまま行ったら破滅するに決まっている道を、人は突き進んでしまうことがある」
「こんなはずじゃなかった」という道を突き進んで、消えていった。
お金がないことに追い詰められると、人は人でなくなっていく。

人が落とし罠に落ちるきっかけは、多分1つではない。たったいっこの小さな事件で一家離散するようなあんな悲しいことが起きるわけがない。

才能なんて、天賦のものではなくて、ほとんど後からもらったのだと思う。他人が君のことを教えてくれる。

マイナスを味方につけなさい。今いるところがどうしても嫌だったら、ここからいつか絶対に抜け出すんだって心に決めるの。そうして抜け出すことができたなら、あの辛い場所にだけど絶対にならないって、そう決めなさい。そうしたら、どんな大変な時だって、きっと乗り越えることができるよ。だって、私もそうだったから。

人は反省しない生き物。
だからこそ、反省を心にとめなくてはと思う。

銀玉親方だけじゃない。私が博打を教わった大人たちは、みんな、そうだった。ものすごい負けた時でも、それをどうお笑いにもっていくか。そっちの勝負。こんなときの身を切るような捨て身のギャグは、私が漫画を描く上でもものすごく勉強になった。
なぜ博打にいってしまったのか。仕事のためとはいえ、壮絶な道を選んでしまうことに疑問を感じる。でもそうせざるをえないような状況に陥る人間の愚かさもわかる。

ただ、私は漫画家だからね。そんな現実もそのまま書いてあって、お客さんを喜んではくれないだろう。だから貧しい境遇の中でも、へこたれないで生きていく子供の姿を描いた。子供の頃、貧しさの中で辛い思いをする友達の姿をいっぱい見てきた私が本当はこうあって欲しかったと思う願い事として。

そうやって叱られて、社会勉強できて、しかもお金がもらえるってことなのよアルバイトっていうのは。働くことの入門編だよね。

日本では年間で30,000人もの人が自殺をしていると言う。この数字は先進国の中でも異様な数数なんだって。交通事故死者数が年間で5000人と言うから、その6倍もの人が自殺を選んでいる。それを思うと習性の音が聞こえないけど日本にも形の違う戦場があるのかもしれないって思う。

人の気持ちと人の金だけはあてにするな!合コンで男男子に怒られて当たり前と言う延長に左うちわな将来を思い描いているんだとしたら、いざ旦那が失業、いざ離婚てなったときにあなたはどうやって生きていくんだろう。

ここで何か商売を始めようよ。動き出すとそうやって考えをどんどん展開させることができる。自分から動いて何かをした人間は、そこから何かを始めることができる。なぜその子にそんなことができたんだと思う?それはきっと自分が生まれた環境がどんなに低く酷かろうとそれを受け入れてしまうことをしなかったから。希望をあきらめてしまうことをしなかったから。

アルコール依存症っていうのは恐ろしい病気なんだよ。家族の愛情や支えてどうにかしようっていうのが間違いなの。病気だから専門の病院にかかることが必要だった。

いざと言う時、大切な誰かを安心な場所に居させてあげたい。そう思うなら働きなさい。働いて、お金を稼ぎなさい。そうして強くなりなさい。それが大人になるって言うことなんだと思う。

貧しくて、悲しい出来事をたくさん見てきた子供時代のあの場所から、私もとうとうそう思える場所までたどり着いた。
家族の笑顔がある場所。幸せで安心な我が家に。

筆者の経験はなかなかないことだし、それを文章にして、子供にもわかりやすく発信されることは多くないと思う。貧困が病気のようなものであり、何か対策が必要だと思った。子供は親を選べない。

お金の大切さを理解するためにも、子供にも読ませたいと思った。

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2021年10月07日

mac

ネタバレ 購入済み

貧しさから抜け出すために

一部ご紹介します。
・「貧困」と「暴力」は仲良しだ。
貧しさは人からいろいろなものを奪う。
人並みの暮らし、子供に正しい教育を受けさせる権利など、お金がないと諦めなければならないことが次から次へと出てくる。
そして大人たちの心には、やり場のない怒りが蓄積されていく。
その怒りの矛先は常に弱いものへと向かう。子どもが理不尽な暴力の一番の被害者となる。
・「自分はどうやって稼ぐのか?」を考えると次の一手が見えてくる。
・「お金」は「自由」を手に入れるための手段である。
お金が稼げるようになれば、できることや行動範囲も広がっていく。
・いい仕事をすれば、それがまた次の仕事へと繋がる。その繰り返し。
ときには自分でも意識的に方向転換しながら、足を動かし続ける。
・「あぶく銭」は身につかない。降ってわいたお金を人は大事にしないものだ。
自分で汗水たらして稼いだお金は、大事にするものだ。
・好きなことでお金を稼いで、好きなご飯を毎日食べる。
・「返す当てのない借金」は人間関係を壊す。
楽しかった思い出や、大切な友情を駄目にしてしまう。
・金銭感覚は日々の習慣の積み重ねによって作られる。
・アルバイトと世界放浪は男の子の必修科目。
男の子は外の釜の飯を食べなければならない。
色々な仕事を経験して、大人から色々なものを教わり、社会勉強して、お金がもらえる「アルバイト」は働くことの入門編である。
・「いくら頑張ってもどうにもならない」ことを知るのは、極めて重要だ。
あまりにも疲れてしまっているなら、休む。逃げてもいい。
心と体を休めて、ちゃんとモノが考えられるようになったら、「これからどうするか」考えればいい。
・「人の気持ちと人の金」などあてにするべきでない。
「自分は他人におごられて当然」という延長に「左団扇で暮らす」ことを思い描いていたら、
「いざ(相手が)失業」「いざ離婚」となったときに生きていけなくなるからだ。
・働くことは生きること、人が人であり続けることである。


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2022年09月30日

ネタバレ 購入済み

生存本能を刺激する力強い本

「そうだよ! これが現実だよ!」主人公が最後に死ぬ映画こそが、当時小学4年生の著者に刺さった。小さい頃から暴力の飛び交う父と母の間で眠り、窓ガラスの無い戦場みたいな家を目にし、窃盗集団とも言える不良友達を周りに抱えていた。周りにお手本が誰もいない中、何とか東京の美大へと向かうが、その矢先にギャンブル中毒の父親が自殺。同級生の女の子達は不安で仕方なくて、心の寄る辺を探してヤリマンになっている。それらの原因を「貧しさ(≒カネ)」であると断言し、最後に、自分で力強く稼いで生きる人間になれと訴える。力強かった。

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2019年12月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

話し言葉で、読みやすい文章とはうらはらに、西原さんの体験からくる言葉の重みが凄い。
【心に残った箇所】
・子どものころって、誰でも、心がうんとやわらかいからね。でも、そのぶん、心の風邪をひきやすいんだと思う。

・「どうしたら夢が叶うか?」って考えると、ぜんぶを諦めてしまいそうになるけど、そうじゃなくって「どうしたらそれで稼げるか?」って考えてみてごらん。そうすると、必ず、次の一手が見えてくるものなんだよ。

・(著者が美大の学生だったころの話。)絵の具がチューブ一本千円。キャンバスが一万円。

・よく「自分に向いている仕事がない」って言う人がいるけど、食わず嫌いしてるってことも、あるんじゃないかな。やってみなきゃわからない、そんなことって、この世の中には、いっぱい、あるからね。

・(ギャンブルの話。)じゃあ、負けて当たり前のものを、なぜ、やるのか?それは、ギャンブルが本来は「そういうものだとわかっているけれど、だまされることを楽しむ」という、大人の粋な遊びだからだと思う。それなのに欲をかいて、本気で儲けようなんて思ったらダメ!

・働けることのしあわせ、働く場所があることのありがたさについて、考えたことがありますか?

・バングラデシュの「グラミン銀行」。少額無担保融資事業。融資している実に97%が女性。

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2021年07月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とにかく外に向けて働きかける
壁にぶつかったら逃げ道を探すことも大事な戦略
そうすると求められる場所が見つかる
そこでアクションを続ければ成果につながる
そして生業になる

自分で稼ぐことが大事

自分で自分の心を落ち着かせることができる分の
お金を稼ぐことが大事

自分の今に不満があるなら、
とにかく1円でも稼げることにエネルギーをぶつけたい

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2024年02月06日

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