【感想・ネタバレ】Kのレビュー

あらすじ

1959年、〈ぼく〉は詩の同人誌で〈K〉と出会った。ふたりは結婚し、一児をなしたが、詩人としてのプライドが強すぎた〈K〉の言動は常軌を逸しはじめ、〈ぼく〉は困惑する。ふたりの生活は、すれ違い、やがて別居へと至る……。ただ、この奇妙な生活にも、「夫婦愛」は紛れもなく存在していた!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

男性が妻を亡くして書く追悼記には鼻白むことが多いのだが、これは違った。
著者が妻になる女性と知り合ってから、彼女が亡くなるまでを書いているが、まあこの女性の強烈なこと。
家事はしたことがなく、仕事もしたくない。お金はあるだけ使ってしまう。子どもは溺愛し、自立させない。夫は追いだす。(生活費は夫持ち)
普通の男なら離婚して当然のような人。
でも、いやな気持にならないのは、夫である三木さんが、彼女の生い立ち、性格を十分わかっていて、彼女の個性を認めているから。
確かに乳児の頃に乳母の家に預けられ学齢になったら、むりやり家に戻されるという体験が感じやすい女の子の心にどれほど深い傷を残したか想像に難くない。
生き方が非常に下手で、生きにくい世を精一杯生きた彼女、Kの冥福を祈ります。

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2012年07月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

がまくんとかえるくんの、心にしみる翻訳が好きだが、恥ずかしながら翻訳以外は初挑戦の三木卓作品。
生意気承知で言うが、さすがの文章力で、エッセイを読むのが苦手な私にも、とても読みやすい。
奥様(K)と、奥様との暮らしの回顧録だが、読んでいくとKという女性が奥様という言葉が遠い方だとわかる。そして、三木さんとKさんの夫婦生活が、普通とずいぶん違うことも。
この本をKさんが読まれたら、と想像すると、思わず笑ってしまう。でも、芥川賞作家で日本中の子どもたちに愛されるアーノルド・ローベルの名翻訳者の三木卓さんがあるのは、ちょっと変わったKさんと、Kさんとの結婚生活があったからかもしれない。

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2014年08月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

K(妻)と私(三木卓)のなれそめからKの最期まで。

児童書も書かれている三木さんのことが知りたくて読んでみた。
夫婦の話はいいなあ、と思って読めるのは最初だけで
Kが病につくあたりからとても苦しかった。
早く読み終えてしまおうと思った。
私自身が母の死を経験したばかりの時期だったせいもあり
そのことを重ねずに読めなかった。
なのに読んだのはなぜだろう。
ひたすら読み遂げなければと思っていたなあ。


Kが手術をするところ、手術のむごさに耐えられずレストランに転がりこんでハンバーグとビールを頼んだ三木さんは号泣したと書いていた。

夫婦の形は様々で、この二人はお互いを必要としているもの同士の結びつき。
恋愛?最初に愛はあったのかと疑う馴れ初めではあったし
仲睦まじかったようには思われないし。。。
それでも夫婦を続けるうちに情になり、こんな風に三木さんは本にすることに決めたのだろうと思う。
理想の夫婦、とは言えないけれど三木さんの気持ちは受け取れました。
三木さん今どうしてるかな。

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2013年05月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

三木卓が、自分と奥様をモデルに書いた私小説。
社会人になったばかりのころの二人の出会いから結婚、出産、二人の仕事、長く続いた別居結婚。
そして、闘病と死。他の人には決してわからない夫婦の間の気持ちの揺れ動きを描いていて、秀逸。
詩人同士の結婚って、大変そう。

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2012年08月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

不可思議な夫婦の在り方を描いた作品です。

夫(小説家)と、妻(詩人)は、40年に近い結婚生活を、ほぼ没交渉で送ります。このような生活で、夫婦としての感情を維持できるものかどうか・・・。
妻が癌を宣告された後、夫は悲嘆にくれますが、これは「妻」だからでしょうか、「知人」だからでしょうか。

夫婦と一言でいっても、様々な在り方があるものだと感心した一冊です。

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2012年08月07日

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