あらすじ
マッカーサーの「日本人は12歳の少年」という発言や、「エコノミック・アニマル」「ウサギ小屋」といった言葉は、日本人をネガティブに評する際に使われる決まり文句である。しかし、実はこれらの言葉に批判的な意味はなかった。日米開戦のきっかけになった誤訳、ダイアナ妃の招いた誤解、世界には通じない「グローバル・スタンダード」の意味等、近現代史のさまざまな場面での誤解、誤訳を紹介する。
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Posted by ブクログ
小泉政権時代、某省の官僚が「全面的民営化」とすべきところを「全面的に民営化」という文言にしたことで意に沿う法案を作ることに成功したという話をどこかで聞いたことがある。
本書でも同じように、単数形と複数形の違いといった細かな表現の違いで歴史が動いた、あるいは動きかけたケースについて、丁寧に原典をひきながら論じている。
それと並んで重要なのが通訳にまつわる話で、通訳が意味をねじ曲げるようなことが起きてしまったケースを取り上げている。語学力をあなどってはならないと肝に銘じた。
Posted by ブクログ
さすが元?外交官英語の表現は、ちょっとしたことで全く意味が違ってくるんですね。こういった微妙な違いが、勘違いを生むということが、面白かったです。
Posted by ブクログ
へぇーっ、っていうことが沢山あり読んで損はないと思います。著者は(元?)外交官なので、英語には精通されているはずですが、その著者にしても「英語は難しい」と言わしめています。名詞の countable, uncountable、冠詞、英語と米語の違い、王室英語など話題も多彩で、かつ読みやすい。英語勉強しなきゃ。。。
Posted by ブクログ
私もしっかり翻訳せねば!
翻訳者(ときには読者)の性格や心理から思わぬ誤訳が生まれてしまう事を指摘している。日本では、マッカーサーの「日本人は12歳」発言を筆頭に、外国人の日本に対する発言を悪く誤訳する。その背景には日本人の国際社会での自分の立ち位置に関する自信のなさ、コンプレックスが表れている。
さらに英語では冠詞の有無で意味が大きく異なってしまうことや、自分のことを三人称で話すことから読み取れるニュアンスなど、英文法や語法に関するトピックも興味深い。
また、これだけ英語に造詣の深い著者が、moronという単語を知らず、また周囲の英語熟練者も知らなかった、でも英語ネイティブなら誰でも知っている単語であることに驚いていたエピソードが印象的だった。私にとっては、高校留学時にまっさきに耳にした単語の一つだった。
今思うと、現地で覚えた単語って使いようのない差別単語ばかりだったなぁ。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
マッカーサーの「日本人は十二歳の少年」という発言や、「エコノミック・アニマル」「ウサギ小屋」といった言葉は、日本人をネガティブに評する際に使われる決まり文句である。
しかし、実はこれらの言葉に批判的な意味はなかった。
日米開戦のきっかけになった誤訳、ダイアナ妃の招いた誤解、世界には通じない「グローバル・スタンダード」の意味等、近現代史のさまざまな場面での誤解、誤訳を紹介する。
[ 目次 ]
第1章 「日本人は十二歳」の真意―この一言で、マッカーサー元帥は日本人に嫌われてしまったのだが…。
第2章 「エコノミック・アニマル」「ウサギ小屋」は悪口か―二つの言葉には、日本への意外な高評価が隠されていた。
第3章 アーネスト・サトウと山下将軍の無念―外交の場では小さな勘違いが致命傷になる。そこに悪意はなくても…。
第4章 暗号電報誤読の悲劇 日米開戦前夜―悪意に溢れた米国側の「誤訳」が、日米開戦のきっかけだった!
第5章 漱石の鬱屈、魯迅の感動―イギリスで屈辱を味わった文豪と日本の人情に触れた文豪。
第6章 ダイアナ妃とブッシュ・シニアの文法―世界を揺るがせたプリンセスの三人称。大統領が見せた言語学の知識。
第7章 存在しない「グローバル・スタンダード」という言葉―政財界がお題目にした「基準」は、日本でしか通用しない言葉だった!
第8章 ブッシュ・ジュニアの国連演説―単数か複数か、それが大問題だった。イラク戦争を巡る駆け引き。
第9章 騒動の中心はたったひとつの言葉―「うすのろ」「強情者」呼ばわりで大統領も首相も激怒。
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[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
英語の知識がある程度ないと難解な本。
世界しに残る重要な事件が、翻訳の誤解によるものがこんなにたくさんあることを知り、面白く感じると同時に少し怖くもあった。
タイトルにあった「エコノミックアニマル」が実は褒め言葉だったことについては筆者の想像の域を出ていないのが残念だった。
Posted by ブクログ
褒めてもらった言葉なのに誤訳され批判的な意味の言葉として定着しやがて一人歩きして別の地域にも伝わることになります。こうなってしまうと訂正するのが難しくなりいつまでも間違った意味として使われてしまいます。
そう考えると翻訳し情報発信をした人の責任は大きいです。誤訳されたため批判的意味となってしまった言葉が本書によりその言葉本来の意味を取り戻したことは大変意義のあることです。本書を読まなければ誤訳・誤解について考えずに一生間違った意味のまま使っていました。
意味は知っていたつもりだけど本質的意味を勘違いしていた言葉がグローバル・スタンダードです。この言葉は世界標準という意味で多種多様な著作物の中で頻繁に登場しています。状況を表現するのにとにかく便利な言葉で響きも格好良いです。
世界標準という意味で使われている言葉が和製英語で外国では通じないという事実に驚きました。
演説などでこの言葉を使っても日本人以外には意味が通じてなかったのです。
この言葉を使って聴衆にインパクトを与えようとしても外国人はしらけてしまうだけということになる。
外国人にグローバル・スタンダードという言葉を使ったことはないけど
今後恥をかかないためにも意味を覚えておいた方がよさそうです。