【感想・ネタバレ】少女地獄のレビュー

あらすじ

可憐なる美少女”姫草ユリ子”は、すべての患者、いな接触するすべての人間に好意を抱かせる、天才的な看護婦だった。その秘密は、彼女の病的な虚言癖にあった。一つのウソを支えるために、もう一つの新しいウソをつく。無限に増幅されたウソの果ては、もう、虚構世界を完成させるための自殺しかない。そして、その遺言状もまた……。〈夢幻〉の世界を華やかに再現する夢野久作。書簡体形式で書いた表題作ほか、男女の宿命的断層を妖麗に描いた「女坑主」「童貞」を収める傑作集。(C)KAMAWANU CO.,LTD.All Rights Reserved

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Posted by ブクログ

ネタバレ

まずこの本は短編集です。
その中でも表題の「少女地獄」の感想になります。
「少女地獄」は「何んでも無い」「殺人リレー」「火星の女」の三作で構成されています。この中でも「殺人リレー」は先に発表され、後から「何んでも無い」と「火星の女」と共に一つの本となって刊行されました。
書簡形式で書かれた作品ですが、同じ書簡形式をした短編は同じ著者だと「瓶詰めの地獄」がありますね。

閑話休題。

私がこの中でも一番好きな話は「何んでも無い」になります。私自身、虚言癖があります。なので、この「何んでも無い」のユリ子という彼女の嘘とその末路が美しくも鮮やかで寂しくて大好きです。
嘘つきにはロクな死に方は求められません。ユリ子は自殺“したことになっている”のです。ユリ子は主人公への書簡の中で死んでいます。これはユリ子という人格の死に他なりません。
実際に“ユリ子”にあたる人物が死んだかはわかりません。そこが、この話の美しさなのです。
嘘という言葉で構成されたユリ子の、最高の結末は、言葉による嘘でなければ、物語は終わることができないでしょう。

なお、この「何んでも無い」は映画化されたようです。気になる方はそちらもどうぞ。

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2022年11月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

①小栗虫太郎『黒死館殺人事件』、中井英夫『虚無への供物』と並んで、日本探偵小説三大奇書と言われる「ドグラ・マグラ」の作者、夢野久作作品。
②過日読み終えた「おちくぼ姫」同様に人気てぬぐい店「かまわぬ」とのコラボ和柄Specialカバーである。

上記2点が本書を購入した理由、「ドグラ・マグラ」の難解さを思い出す度に手にとることを躊躇い、積読となっていましたが、何故か今回はすんなりと手に取ることが出来ました。

初版は昭和51年1月30日に初版発行された本書、私が所持しているのは平成25年5月25日の70版発行分。

初版から約37年半で70版、いかに多くの読者が手にして来たかがわかります。

表題作でもあり巻頭に収められている「少女地獄」には「何でもない」「殺人リレー」「火星の女」の3篇の短篇ですが、著者が戦前(昭和11年)に書いた作品。

正直に言えば、やはり読み辛い...

ただこれだけ版を重ねてきた本書、読み辛いと感じるのはまだまだ私の力不足ということ。

好きで購入したまま積読となっている多くの皆川博子作品にも手がのびないのはそれが理由。

もっと頑張らないと^^;

説明
可憐な少女姫草ユリ子は、すべての人間に好意を抱かせる天才的な看護婦だった。その秘密は、虚言癖にあった。ウソを支えるためにまたウソをつく。【夢幻」の世界に生きた少女の果ては…。(松田 修)

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2023年03月25日

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