【感想・ネタバレ】魂に秩序を(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

わずか2年前、アンドルーは多重人格者の魂の代表として26歳にして“誕生”し、魂たちの共存のため奮闘していた。ある日、殺人犯を事故死へ追い込んだことで、自分が継父を殺害したのではないかという疑念に囚われる。真相解明のため、同じ障害をもつ女性ペニーと故郷へ向かうが、自身の隠された秘密だけでなく闇の魂からの脅威にも晒され……。あらゆるジャンルを包み込む物語の万華鏡!(解説・霜月蒼)

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

文庫本1冊で1077ページ(解説含む)。
京極夏彦にも引けを取らないページ数の長大な物語。
でも、紙質によるものなのかいわゆる「レンガ」まではいかず、厚揚げ程度の厚み。

始まりが良かった。
「父はぼくを呼び出した。
初めて湖から出てきたとき、ぼくは二十六歳だった。」

何言ってる?
となるのだが、次第に物語の設定が分かってくる。
「ぼく」の名前はアンドルー・ゲージ。
アンディ・ゲージを身体とする多重人格者の1人格。そして1魂。
そう、魂とは多重人格者における、人格達のこと。
この設定を明らかにしていく序盤の語りが多重人格者を題材にした小説にして、これまでにない引き込みだった。

『魂に秩序を』というタイトルに対する最初の印象は、もちろん内的な感情に対する何かを象徴したものが綴られたものだとは思ったが、どちらかというと理屈っぽい犯罪心理とか主人公の主義主張が語られるようなものかなぁと想像したのだが、全然違った。
混沌とする多重人格者の頭の中で秩序をもたらすために行われている営みのあれやこれやをSFチックに描きながら、「アンドルー・ゲージ」という1魂には記憶として持っていない、いわくありげな過去に向き合っていく物語。

『インサイド・ヘッド』の青年版という感じだが、売り文句にあるようにジャンル融合ぶりが凄まじい。
SF小説であり、青春小説であり、ミステリーであり、ロードノベル。

語り口はけっこうライト。
なのでさくさく読んでいけるので、全体のページ数に対して体感的には進みは早く感じる。
それでもやはり長い。
長いけど、不思議と必要性のある長さだと感じた。
ここの部分は冗長だなとかストーリーがもたついているなという感じは受けず、そのときどきの展開、ジャンルを勢いの中で楽しめた。
ふとした瞬間「あれ、これ何の話だったっけ?」と思うときもあるのだが、最終的にスタート地点に戻ってくるので、収まりも良かったと思う。

マット・ラフ、何か聞いたことあるなぁと思っていたのだが『バッド・モンキーズ』の作者だった。
あれも全く内容は覚えていないのだが、不思議なアメコミ調の話で意外と面白かった印象を持っている。
不思議なのはあの作品よりも出版年が前の大長編作品が今になってぽっと邦訳されたこと。
その辺の出版社事情とかも解説、あとがきで教えてくれると興味深かったのだが。。

このミス2025年度版海外編第8位。

0
2024年12月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

このミスのランキングに入っているのを見て知りました。大作で読み応えありそうとわくわくしながら本棚に飾っておき、年明けから読み始めました。

読み終えて、ミステリーの枠組みで期待しすぎたことを反省。
登場人物の違和感を感じる言動から伏線かもしれないと深読みしていた複数の事柄が、ただそういうパーソナリティの人物だったということでした。。勝手に期待外れな気持ちになってしまいました。

あとがきにもあったように、ジャンルの枠に嵌めず読むと楽しめたと思います。
「多重人格を持ちながら生きることを模索する」というテーマを縦横無尽に描ききった物語だったと感じました。邦題が物語の根幹を的確に表していて、秀逸。

文章量は多いけれど登場人物が少なく、訳も難しい表現は使われずに読み易く(「クソ」の多さにやや辟易するけど慣れます)するすると読み進められ、気楽に楽しめるエンタメ作品でした。

0
2025年01月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

期せずして多重人格ものを続けて読むことになりました。(順番が逆でなくて本当に良かった)

多重人格の多重ジャンルで1066頁。
多重人格には虐待描写が避けられないのと、汚い言葉がそれはそれは多発するは正直言って辛かった。

0
2024年09月25日

「小説」ランキング