あらすじ
米文学史に名を刻む天才作家にして「推理小説の始祖」ポーは、なぜある時から突然、推理小説を書くのをやめたのか? 世界最高峰のミステリ賞〈エドガー賞〉(評論・評伝部門)で日本人初の最終候補、『謎ときサリンジャー』で小林秀雄賞受賞の稀代の〈文学探偵〉による世紀の「発見」とは。作家解釈をも揺るがす震撼の論考。
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Posted by ブクログ
ポーは子供向けの「黒猫」や「落とし穴と振り子」を読んだことがあったくらいで、「犯人はお前だ」は完全に未読だった。のだが、それでもいや明らかに描写が変っていうか死体だろ! 誰もテキストで指摘してこなかったってなんで!? と大いに困惑させられた。
この本はその「未解決殺人事件」の話を下敷きに、ポーの作品の対比構造をわかりやすく描き出してくれていて、大変おもしろかった。論文については査読で牽強付会ともいわれたようだが、素人目には十分な説得力があるように思える。いやそれにしたって、テーブルに倒れて自白しだすのも急に飛び上がって死ぬのも明らかにおかしいだろ。