あらすじ
ウクライナ戦争、ガザ紛争で分断される世界。
国際秩序が大きく揺らぐ中、米国第一主義を掲げるトランプ2.0 徹底予測
シリーズ累計18万部 最新版!
トランプ氏の圧勝に終わったアメリカ大統領選挙2024。
ロシア・ウクライナ情勢、中東情勢、日米関係、そして世界秩序はどうなる?
激変する世界情勢がこの1冊でまるわかり。
中東、アメリカ、アジアなど世界各地を取材し、明快なニュース解説で定評のあるジャーナリストの池上彰氏が、複雑に絡み合う各国の思惑を解き明かす。
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Posted by ブクログ
久々の池上さん。国連英検受けるから国際情勢を理解したいと思って手に取った。ニュースや社会問題なら池上さんで基礎を学ぶのが1番いい。
この本も毎日新聞の小学生向けに書かれた記事を肉付けしたらしく、各国の選挙の仕組み、戦争が起こっている理由などをわかりやすく解説してくれている。
池上さんの本はもう何冊も読んだので、めちゃくちゃ基礎的なことは過去の著書と被る内容が多いが、それでもぶっちゃけ忘れていることも多いのでちょうどよかった。
今回は、アメリカ、日本、中東、アジア、ロシアと主にこれらの地域で24年に起きたこと、25年の予想などが書かれている。
いくつか面白かったところをあげる。こういうの、何回まとめてもすぐ忘れちゃってかなしいけど笑 中東はすごくややこしい。
◎アメリカが銃を禁止しない理由
→独立戦争のときに市民が銃を取り戦い、勝ったという歴史があり、憲法で認められている
◎イスラエルとパレスチナの歴史
第二次大戦後、ユダヤ人がイスラエルに戻ると、ユダヤ人がいない間に住み着いていたパレスチナ人と喧嘩になり、国連が間に入って国を分割した。イスラエル人の国、パレスチナ人の国をつくったがアラブ諸国がこれを認めず中東戦争。イスラエルがヨルダン河西域とガザ地区も支配することに。
◎イスラエルとハマス、フーシ派、ヒズボラ
ハマス→ガザ地区に住むパレスチナの軍事組織、イスラエルを国として認めてない。
フーシ派→イエメンの軍事組織。スエズ運河で海賊やってて、イスラエルの船を攻撃など。もともとサウジアラビアと戦っていたが、イスラエルのハマスへの攻撃でイスラム教徒としてイスラエルを敵に
ヒズボラ→イスラエルの隣のレバノンの軍事組織。イスラエルが以前レバノンに侵攻し、ダメージをうけていたところ同じシーア派のイランが支援、イスラエルと交戦状態に
◎習近平は毛沢東超えを目指している
祖国統一をできなかった毛沢東超えをめざしている。
◎池上さん的に台湾有事は起こらなさそう
軍事的に統合するのはのちの関係に傷を残すことになり、中国も避けたい。経済的に頼らせたり、台湾から歩み寄るように操ろうとしている
◎韓国の尹大統領は日本との関係をよくした
慰安婦問題など、日本はすでにもう何回も謝ったじゃないかと日韓関係を改善。北朝鮮の脅威が背景っぽい。北朝鮮は韓国を敵として24年に認める文書提出
◎ロシアの選挙は民主主義じゃない
プーチンは他の候補がたてないように排除して、しょぼい候補だけを残し、圧勝。民主主義に見せかけた独裁。
◎欧米諸国はウクライナ支援に疲れ
ウクライナの勝利計画はロシアの軍事施設にミサイルを撃ち込むこととNATOに入ることが入っているが、欧米諸国は微妙な顔。アメリカの停戦仲介は、ウクライナがロシアに占領地域を渡すことと、NATOに入らないことが含まれる。
以上。
トランプが注目されているけど、こう見るとどの国も、どの人も結構勝手だなぁと思う。自分とこの利益が1番なんじゃないかなぁ。
全員を幸せにすることはできないから、歩み寄って理解することは重要だけど、歴史とか宗教とか戦争が関わると、もう冷静に、平等にとは考えられなくなるのも理解できるなぁ。
Posted by ブクログ
あと1週間足らずで米国にはトランプ大統領が再来して、世界を変えていくことになると言われています。実際に登場する前に具体的にどのように変化するかを本に記すことは大変勇気の要ることだとは思いますが、読者としては大変興味がある所です。
今までにも何冊か読んでお世話になっている池上氏の最新本が出て、それが第1章に記されています。その内容も参考にして、激動の幕開けとなる2025年も過ごしていく所存です。
以下は気になったポイントです。
・戒厳令とは、戦争などの非常事態が起きた時、政府や裁判所などの権限を軍隊に移す宣言である、議会を開かせないようにするため、大統領の命令で軍隊が出動した、しかし国会議員たちは、国会に入ろうとする軍隊を押し留め、戒厳令を解除させた。韓国の憲法では大統領は戒厳令を出せるが、一方で国会議員の過半数が反対すれば解除できるとなっている、国会で大統領弾劾が決まり、今後は憲法裁判所が大統領を辞めさせるかどうかを判断する(p5)
・関税は他国の製品を輸入する企業が負担するもの、従って不用意に関税をあげると、アメリカの輸入企業にとって大打撃、輸入製品の値段が上がることになり、それはアメリカでの物の値段が上がることを意味する(p33)
・大統領選挙と同時に行われた連邦議会選挙でも、共和党が上院と下院の両方で多数派となり、共和党が、ホワイトハウス・上院・下院を掌握する「トリプルレッド」の状態となり、トランプ政権は政策を通しやすい状況になっている(p51)
・アラブ系アメリカ人の多くは民主党を指示してきたが、今回の選挙ではアラブ系コミュニティが「どちらの政党も支持しない」という姿勢を示していた「トランプは嫌いだが、結局はリスもイスラエル寄りだろう」と反発が広がったことが、ハリス氏には致命的になった可能性がある、ハリス氏の夫がユダヤ人であることも影響していたかも(p59)
・日本ではすべての大臣が衆議院解散に反対しても、総理大臣は全員を辞めさせて自らが大臣を兼務し、閣議決定を行うことができる。憲法や法律でこのように定められているため「解散権は首相にある」と言われる、実際に小泉総理が行ったことがある(p83)
・衆議院には「大衆の代表が議論する場所」という意味がある、それに対して参議院は「衆議院の議論に参加する人たちの場所」ということを意味している(p84)参議院を半数ずつ選ぶのは、衆参同時に選挙が行われるときに、国会に議員がいなくなり、緊急事態が起きたときに十分な対応が取れないから(p86)
・年収103万円の壁とは、それを超えると所得税がかかる、103万円とは給与所得控除額(=必要経費)55万円(年収162.5以下)と所得税の基礎控除(=最低限生活に必要)48万円との合計、106万円の壁:従業員51人以上の企業で働くひとについて、週20時間年収106万円を超えると配偶者扶養から離れて、厚生年金・健康保険の保険料支払いが発生する、130万円の壁:50人以下でも年収が130万円を超えると配偶者扶養から外れて、国民年金・国民健康保険料の支払いが発生する、150万円の壁:超えると配偶者特別控除の38万円から徐々に減少して配偶者の所得税負担がルエル、210万円を超えると配偶者特別控除が適用外となる、これらを踏まえて、国民民主党は103万円を178万円に引き上げようとしている(p98)
・トラフとは、海底の溝や窪みのことで、水深600メートルまでのものをトラフ、それより深いものを海溝と呼ぶ、南海トラフとは、静岡県の駿河湾から九州の東方沖にかけた水深4000メートルの海底に、フィリピン海プレートが潜り込んで作った、約700キロに渡って続く海底の窪地のことである(p106)
・現在まで続くパレスチナ問題の原因の1つに、イギリスの「三枚舌外交」がある、1)フサイン=マクマホン協定:オスマン帝国支配下のアラブ人たちに、オスマン帝国と戦えば、パレスチナの地にアラブ人国家の建設を認める、2)バルフォア宣言:ユダヤ人たちに、連合国側(第一次世界大戦)に味方すればパレスチナの地にユダヤ人国家の建設を認める、3)サイクス=ピコ協定:フランスおよびロシア帝国とオスマン帝国の分割を密約していた(p136)
・国連安全保障理事会による北朝鮮制裁は、制裁の実施状況を監視する専門家組織の活動によって支えてれてきたが、常任時理事国であるロシアの拒否権発動により、2024年4月30日をもって停止した(p211)
・2024年10月、北朝鮮が韓国を 「第一の敵対国、不変の主敵」と明記した憲法改正を行ったことが報じられた、これは、金正恩総書記が、長年目標として掲げてきた南北の平和統一を放棄したことを意味する(p215)
・ノーベルが書面(遺書)に遺していたのは、物理学、化学、生理学・医学、文学、平和の5分野である。1968年にスウェーデン国立銀行創立300年記念にあたり、これに経済学賞を加えることを提案し「ノーベル経済学賞」と通称される学術賞が設立されたが、ノーベル財団は「同賞はノーベル賞ではない」としている、正式には「アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞」という。各賞の選考は遺言で指示された、スウェーデンのアカデミーや研究所が行うが、平和賞だけはノルウェーで選考される、これは当時スウェーデンとノルウェーが連合王国だったから、両国に敬意を払う意図があるとされる。ノーベル賞の授賞式はノーベルの命日に当たる12月10日にスウェーデンのスットックホルムで行われるが、平和賞だけはノルウェーのオスロで行われる(p223)
2025年1月13日読破
2025年1月14日作成