あらすじ
小説は、読まれてはじめて完成する。だから、たくさんの人に読んでほしいと思うのは、小説家の性。でも、いいことばかりではありません。誤読されたり、批判されたり、神様みたいに言われたり。そんなとき、誠実に応え、自分の心を守って書き続けるための、《読まれ方入門》。 【目次】はじめに/第一章 本を出したらどうなる?/第二章 読者との理想的な距離感/第三章 批評との共存の仕方/第四章 ファンダムと生きてゆく/おわりに
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Posted by ブクログ
ここ最近、小説家の方が小説の書き方や手の内を明らかにする本がよく出ているが、「読まれ方」という視点にいったいどんなことが含まれてるんだろう、と思い手に取った。おそらく、発言する責任というようなことなんだろう、と予測はしていたけど。
本書は、
➀小説が出版されたときに起こること。
②一般的な読者の方にどう読んでもらうか。
➂批評家や書評家の方と共存する方法。
④ファンダムがある作品の原作者になること。
から桜庭さんの考えや経験から得たもの、また他者の意見や実際にあった出来事を例にあげながら話されている。
桜庭さんは文中で何度も人間だから間違ったり勘違いしたりすることは多々あるということを繰り返し、自分も誰かに対して気づかぬうちに傷つけていただろうことを語っている。
ところで、「桜庭一樹」と聞くと男性のように思ってしまうけど、桜庭さんは女性である(公開されている限り、ご本人は生物学的にも、自身の性自認も女性)。
文藝界の内情や過去の女性の作家が少なかった頃やご自身が若かった頃に「女性であるがゆえ」に受けた屈辱的な出来事にも触れられていた。
ただ、近ごろは風通しがずいぶん良くなったと。
昭和の、おじさんたちばかりで議論されていた時代は変わりつつあると願いたい。
が、表現の現場のジェンダーバランス調査が2022年に行なわれおり、
「その結果、文学の世界では純文学の公募新人賞の審査員の男女比率が男性六割、女性四割。男女比の大きなバランスは解消されていました。
でも同じ文壇でも、評論の公募新人賞は、審査員の約九五パーセントが男性、受賞者も約七六パーセントが男性。つまり批評の世界では男性の先生が審査して男性の新人を多く選んできたようです。
"評価をするのは男の仕事"なのでしょうか?」(P.118)
とのこと。女性の文筆家にエッセイスト、コラムニストなんていう肩書きの方が多いのは、こういう背景もあったのかもしれないということにも触れられていて、今の時代にデビューする女性の作家と20~30年前にデビューされた女性の作家では、きっと置かれた立場が違っただろうなと感じた。
こういうことは女性だけでなく、男性にも知っておいてほしい。今は改善されつつあったとしても、性別だけでなく、外国籍、障害のある方、性的マイノリティなど、色んな立場の人が表現の現場に関わっていくことが、風通しの良い場所になって、また新しい表現の世界の勢いというものが生まれるかもしれないから(←私の願望です)
ちょっと予想を超えた話題もあったので、読んで良かったな。
ちくまプリマー新書なので、学生の方も読みやすいと思う。
覚悟って、過去の間違いも認めて、そこから学んで、自らをアップデートしていくことを怠らない、ってことなんだなと私は受け止めた。
Posted by ブクログ
本のおびが「書き手の心を守り、読む/読まれるという営みをいっそう豊かにしていくための読まれ方入門」となっている、ベテラン作家の手による新書。一般読者としては、その本が自分にとってどう面白かったかと感じて感想を書いたり、友人と話すといった読者なので、本の著者がどのような気持ちで読んでほしいかを考えたことが無かったことから、斬新な視点の読書方法の本でした。小説の著者は不特定多数の読者と向き合っていることから、林芙美子著「放浪記」の主人公のように感情の起伏の多少はあれタフな精神の人が多いのかと思っていましたが、作者の心の平穏について考えるよい機会にはなりました。高校や大学の図書室に一冊あってもよいかなと思いました。
最後の4章(ファンダムと生きていく)は当事者のファンダムを生み出した人にしか分からない話しなのでやじ馬的興味から面白かったです。作者の心境が心配になる作家は読者によって異なるとは思いますが、自分としては、ノーベル文学賞を受賞したにも関わらず、アメリカ文学史のテキストからほぼ無視されているパール・バックが、20世紀の暴力的な時代にアジアの貧農や狂信的宣教師の話しから障害児や孤児、核兵器開発までの話しを書いて、いろいろな評論を受けて作者の心持ちはどうだったのか心配になりました。
各章の終わりにコーヒーブレイク的にある、よもやまばなしという見出しの文章は付録というよりは、重い内容の割にあっさりとした記載なので何度読んでもよく分からない箇所が多々ありました。
Posted by ブクログ
小説家として、読まれる覚悟、読者と、ファンダムと、批評家と、小説を巡る色んな立場の関係性を考える本。
いくつか、心に残った箇所をピックアップ。
・よもやまばなし①
綺麗事でも、机上の空論でも、理想論だとしても、
実現不可能な正しさについて、真正面から叫び続けることが、作家としての義務。
この主張を読んで、桜庭一樹さんという作家さんを好きになりました。
・誤読、ということの定義
これも面白かった。なるほど。
・共話の件からの差別やハラスメントへの考察
共話、初めて知った言葉。
日本特有のコミュニケーション術。
一つの文を、二人でつくるような、会話の仕方。
作家さんを推しと思ったことないなぁ。
あ、新井素子さんが昔から好きだけど、これは、推しっていうか、バイブル的な?感じなので、、、
「推し」とは違う(^_^;)