あらすじ
小説は、読まれてはじめて完成する。だから、たくさんの人に読んでほしいと思うのは、小説家の性。でも、いいことばかりではありません。誤読されたり、批判されたり、神様みたいに言われたり。そんなとき、誠実に応え、自分の心を守って書き続けるための、《読まれ方入門》。 【目次】はじめに/第一章 本を出したらどうなる?/第二章 読者との理想的な距離感/第三章 批評との共存の仕方/第四章 ファンダムと生きてゆく/おわりに
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Posted by ブクログ
本のおびが「書き手の心を守り、読む/読まれるという営みをいっそう豊かにしていくための読まれ方入門」となっている、ベテラン作家の手による新書。一般読者としては、その本が自分にとってどう面白かったかと感じて感想を書いたり、友人と話すといった読者なので、本の著者がどのような気持ちで読んでほしいかを考えたことが無かったことから、斬新な視点の読書方法の本でした。小説の著者は不特定多数の読者と向き合っていることから、林芙美子著「放浪記」の主人公のように感情の起伏の多少はあれタフな精神の人が多いのかと思っていましたが、作者の心の平穏について考えるよい機会にはなりました。高校や大学の図書室に一冊あってもよいかなと思いました。
最後の4章(ファンダムと生きていく)は当事者のファンダムを生み出した人にしか分からない話しなのでやじ馬的興味から面白かったです。作者の心境が心配になる作家は読者によって異なるとは思いますが、自分としては、ノーベル文学賞を受賞したにも関わらず、アメリカ文学史のテキストからほぼ無視されているパール・バックが、20世紀の暴力的な時代にアジアの貧農や狂信的宣教師の話しから障害児や孤児、核兵器開発までの話しを書いて、いろいろな評論を受けて作者の心持ちはどうだったのか心配になりました。
各章の終わりにコーヒーブレイク的にある、よもやまばなしという見出しの文章は付録というよりは、重い内容の割にあっさりとした記載なので何度読んでもよく分からない箇所が多々ありました。
Posted by ブクログ
小説家として、読まれる覚悟、読者と、ファンダムと、批評家と、小説を巡る色んな立場の関係性を考える本。
いくつか、心に残った箇所をピックアップ。
・よもやまばなし①
綺麗事でも、机上の空論でも、理想論だとしても、
実現不可能な正しさについて、真正面から叫び続けることが、作家としての義務。
この主張を読んで、桜庭一樹さんという作家さんを好きになりました。
・誤読、ということの定義
これも面白かった。なるほど。
・共話の件からの差別やハラスメントへの考察
共話、初めて知った言葉。
日本特有のコミュニケーション術。
一つの文を、二人でつくるような、会話の仕方。
作家さんを推しと思ったことないなぁ。
あ、新井素子さんが昔から好きだけど、これは、推しっていうか、バイブル的な?感じなので、、、
「推し」とは違う(^_^;)