あらすじ
「複雑な産業構造と関連する企業群を製造工程から整理する」というコンセプトはそのままに、「生成 AI 以後」の激変を反映したベストセラー最新版。AI関連のメインプレイヤー37社も詳細に解説。巻末資料として「半導体メーカーと主要製品一覧」「半導体用語の解説」「世界と日本の半導体主要工場の新設状況」も。
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Posted by ブクログ
1.購入したきっかけ
半導体に関するニュースを見るたびに、いまひとつプレイヤーの立ち位置やシェアがわかっていなかったため、全体像を把握するために購入しました。
2.良かったところ
・半導体の製造プロセスを丁寧に解説していること
→「前工程」「後工程」という耳慣れた用語から全体像に入っていくスタイルであり、図解ふんだんに併用されていたため、イメージが湧きやすい構成となっています。
・各メーカーの役割を丁寧に解説していること
→工程ごとにどの企業がプレイヤーとして関わっているのか、シェアはどれぐらいあるのかなどが記述されており、知っている企業名と製造工程を紐づけられるように工夫されています。
3.不満だったところ
・製造プロセスの解説が頭に残らないこと
→専門用語が多用されており、各工程で何が行われているのか想像することが難しい面がありました。また図解と文章の連携がうまくいっていないように思いました。
・企業の解説や独自の技術についての説明が少なかったこと
→読者の中には、各企業がどのような事業をおこなっていて、強みや弱みなどがどのようなものかなど、企業の解説を期待されている方も多いかと思います。しかしながら、企業の解説は後半のページで1社あたり1ページ程度でされるにとどまり、少々物足りない印象でした。
・同著者による類似書籍の立ち位置がわかりにくいこと
→本書の著者である菊池氏は、本書以外に「新半導体工場のすべて」「教養としての半導体」という書籍を出版されています。おそらく「教養としての半導体」が入門書、他2冊が基本書という位置付けだと思いますが、私は後になって他の書籍を知ったのでありました。
4.結論
以上、私の感想を述べてきましたが、半導体についてまず全体像を把握したいという方にお勧めできる一冊です。少々難しい箇所もありますが、筆者が真摯に半導体について伝えようとする姿勢が伝わってきます。一読して本棚にしまうよりも、手元に置いておき辞書的に活用することで本書の利用価値が高まることでしょう。
Posted by ブクログ
半導体産業の大枠と最新動向、主要プレイヤーを網羅するのには適している。一方で、産業全体のトレンドを把握することに注力しているため、本書で触れられている技術や、その技術が注目される背景については他の媒体を参照する必要がある。
Posted by ブクログ
直前に読んだ「教養としての「半導体」」とよく似た書籍だと思ったら、同じ著者だった。
「教養としての「半導体」」と内容に重複する部分が非常に多いのだが、一部のトピックについては分かりやすく図解されていたりして、本書の方が一層勧められる内容かもしれない。
最近は分かりやすく解説されているYoutube動画などもあるので、それらと一緒に読むことで理解を深められると思う。
Posted by ブクログ
半導体業界の歴史や最新事情が書かれていてとても勉強になる本。
エヌビディア・インテル・TSMC・キオクシアなど半導体メーカー、AMAT・東京エレクトロン・アドバンテストなどの製造・検索装置メーカー、信越化学などの材料メーカーなど、半導体業界に関わる企業についても理解が進みます。
これで経済ニュースがより深く理解出来るようになった!
半導体系の銘柄の選別に役立ちます(^o^)
Posted by ブクログ
半導体業界
・IDM:設計・製造・販売を一貫して行う。Ex.インテル,サムスン電子,キオクシアなど
※需給のバッファ、または自社で出来ない先端技術製品のために、
一部はファウンドリー,OSATに委託する。
※インテル・サムスンなどは保有する膨大な製造ラインをフル稼働させるため、
ファウンドリー事業も行っている。
※製造の前工程・後工程を融合させた3D実装技術に対応するため、
全製造工程を担うシステムファウンドリーという構想を
インテルなどが提案している。
・EDAベンダー:設計を自動化するための各種ツールを提供
・IPベンダー:回路機能ブロックを有する設計資産としてのIP(地底財産)を提供する
・ファブレス:開発・設計に特化し製造工場を持たない
・ファウンドリー:製造の前工程を請け負い、設計に基づき受託生産する。Ex.TSMC
・OSAT:製造の前工程を請け負う
AI半導体:高速で効率的な演算処理に特化した半導体の総称
・GPU:学習のための大量のデータ処理
・ACIC,FPGA:推論のモデル処理によるアプリケーションの最適化
・CPU:GPU,ACIC,FPGAの処理全体の制御
・APU:GPUとCPUが一緒になったもの
・NPU:特定のAI関連タスクを高速処理
ex.エッジ処理を担うAIPCのプロセッサなどに搭載
(エッジAI:クラウド端末のエッジデバイス内でデータ処理、
必要に応じてクラウドにアップしリアルタイム処理、
データ通信料・コストの削減)
・AIアクセラレータ:AIの学習・推論処理の高速化をサポートするハードウェア
→生成AIの登場で処理にかかる計算量が爆発的に増大
→超並列かつ高効率で処理できる半導体が必要
→各種AI半導体を1つのチップに搭載したSOCが開発されている
世界の半導体トップ企業
・TSMC
最先端プロセスの開発・生産はあくまで台湾国内を維持、
少し古いプロセスはアメリカ(4nmプロセス24年→26年に生産開始)、
さらに古いプロセスは日本(6/7nmプロセス27年稼働予定)、
ヨーロッパ(ドイツ 22nm 24年竣工)で行い、少しずつ強化する戦略
・SUMCO
シリコンウエーハの世界シェア第2位。
サムスン電子のメモリ依存が高いなどの理由で直近は経営低迷
⇔同業種1位の信越化学は顧客バランスがとれており好調
国から750億円の支援→吉野ヶ里の工場建設へ